台湾を裏切り中国を選んだソロモン諸島が陥る「債務の罠」

 

中国は、金銭外交で台湾の外交関係を壊そうとしていると同時に、強引な方法で海洋戦略を着々と進めています。中国の軍事費が年々増加しているのも、海洋戦略につぎこむためです。特に、「一帯一路」構想を公表して以後は、あからさまに世界の港を中国の軍港にしてきました。すでに、パキスタン、ミャンマー、スリランカ、マラッカ海峡、オーストラリアなどで港湾の運営権を得ています。すべては、産油国と中国を結ぶシーレーンを確保するため海洋強国として世界に君臨するためです。

米中関係が悪化している中、台米関係が良好なのも気に入らないようです。今年7月、アメリカは台湾へ大量の武器売規約を決めました。これに対して中国は「強烈な不満」を表明し、アメリカ側に直ちに武器売却の撤回を要求しました。

米が台湾へ武器売却へ 中国「強烈な不満」

今年8月には、中国人の台湾への個人旅行を停止すると発表しました。台湾の観光業へのダメージを狙ったものです。もうこうなると、蔡英文政権への嫌がらせ丸出しです。しかし、台湾人も中国の嫌がらせに踊らされるほど馬鹿ではありません。ネットでは、マナーの悪い中国人観光客がいない今こそ観光地に行くべきだとの意見もあります。

中国の嫌がらせは総統選挙が近づくにつれ激化するでしょう。台湾はアメリカや日本などの友好国と手をつなぎこの難局を乗り越えて欲しいものです。

台湾と中国の承認外交競争は、カネをめぐる外交競争となっています。アフリカ諸国も台中の弱味を突くように、カネをより多く出すほうに承認」するようになりました。しかし、そんな競争はバカバカしいとして、台湾側はもう「金銭外交はしない」と公言したのです。

中国の対台湾併呑作戦は、外交だけでなく軍事、経済とあらゆる面で行われています。その中には、「武力も放棄しない」という恫喝も含まれており、2000年以降、こうした恫喝は1,000回以上にも及んでいます。

前述したように、蔡英文政権になって、中国に奪われた台湾と国交を持つ国はすでに6カ国となりました。残る台湾との国交樹立国は16カ国ですが、私は台湾が国交を樹立するのはアメリカ一国だけで十分だと思っています。

アメリカは主に軍事的な理由で台湾を重視しています。そして、中国の台湾に関する強引な外交戦略には批判的です。パナマ、ドミニカ、エルサルバドルのように、台湾と断交し中国と国交を結んだ国々からは、駐在米大使を召還する処置を取ることもあります。

アメリカは台湾関連の政策もかなり変更してきました。台湾旅行法も成立させました。武器売却も決めました。その流れで、日本でも日本と台湾の交流を法制化する日台基本法」の成立が求められています。

「日台交流基本法」日本の議員が制定に意欲 台湾の対日機関が協力へ

日本がこの波に乗れるかどうか、日本の決断が迫られています。

image by: Matias Lynch / Shutterstock.com

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年9月18日号の一部抜粋です。

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