台風15号被害で森田健作知事「誰が悪いわけではない」の無責任

 

一番いい例がブルーシートです。被災直後に、天気予報では大雨が迫る中で、各被災地では必死になってブルーシートの配布が行われました。ですが、この時点ではとても職人を集める時間はないわけで多くの住民が自分で屋根に登ったわけです。

ブルーシートを配るのなら、高所作業をする職人を集めるべきですし、どうしても間に合わないのなら安全に作業をするための注意事項を(携帯も通じないので)紙か、(選挙カーや街宣車のような)スピーカーでのアナウンスで伝えるべきです。また、超高齢の方が無理して作業していないか、近隣の人々、それがダメなら行政が見回って、明らかに危険な状態のケースは支援をするべきです。

そうした「やっておけば命が救えたかもしれないことがルールにないからできない、その一方で、少し状況が進んだところで「危険だから専門家しか屋根に登ってはダメ」という正論を小出しにする、これではダメだと思います。

とにかく、屋根が飛んだ、あるいは屋根が大きく損壊したという中で、大雨が迫るというのは、人々の生きていくのに必要な家屋という財産が奪われるということです。そこで住民が命がけでブルーシートを張ろうとした、その緊急避難的行動に対して行政は何もできなかった、その結果として100名が負傷して3名が死亡した、こうしたことは「仕方がなかったでは済まないはずです。

いずれにしても、今回の危機管理は失敗です。その原因は、個人に帰するものではないわけで、ルールの設計とその設計思想にあると思います。徹底的な検証が必要と思います。

image by: 陸上自衛隊 東部方面隊 - Home | Facebook

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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