一番いい例がブルーシートです。被災直後に、天気予報では大雨が迫る中で、各被災地では必死になってブルーシートの配布が行われました。ですが、この時点ではとても職人を集める時間はないわけで、多くの住民が自分で屋根に登ったわけです。
ブルーシートを配るのなら、高所作業をする職人を集めるべきですし、どうしても間に合わないのなら安全に作業をするための注意事項を(携帯も通じないので)紙か、(選挙カーや街宣車のような)スピーカーでのアナウンスで伝えるべきです。また、超高齢の方が無理して作業していないか、近隣の人々、それがダメなら行政が見回って、明らかに危険な状態のケースは支援をするべきです。
そうした「やっておけば命が救えたかもしれない」ことが、ルールにないからできない、その一方で、少し状況が進んだところで「危険だから専門家しか屋根に登ってはダメ」という正論を小出しにする、これではダメだと思います。
とにかく、屋根が飛んだ、あるいは屋根が大きく損壊したという中で、大雨が迫るというのは、人々の生きていくのに必要な家屋という財産が奪われるということです。そこで住民が命がけでブルーシートを張ろうとした、その緊急避難的行動に対して行政は何もできなかった、その結果として100名が負傷して3名が死亡した、こうしたことは「仕方がなかった」では済まないはずです。
いずれにしても、今回の危機管理は失敗です。その原因は、個人に帰するものではないわけで、ルールの設計と、その設計思想にあると思います。徹底的な検証が必要と思います。
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