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マツキヨのプライベートブランド戦略に学ぶ消費者の惹きつけ方

ココカラファインとの統合協議が話題となったマツモトキヨシが、新たなプライベートブランドを立ち上げると発表し、市場に話題を提供しています。今回のマツキヨの新PBの狙いはどこにあるのでしょうか?メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』発行人の理央周さんが、ローソンのスイーツなどの例も上げながら、単に安さだけが魅力ではなくなっている「プライベートブランド戦略の“いま”」について解説します。

マツキヨのPB戦略に見るブルーオーシャンの作り方

ドラッグストア大手のマツモトキヨシホールディングスが、10月に香りを共通軸にした「レプリカノーツ」という日用品のプライベートブランドを立ち上げるとのこと。

PBとは、その店独自のブランドという意味で、全国どこででも売っているブランドの、「ナショナルブランド」とは異なり、主に小売のチェーン店がメーカーと商品開発をし、自分の小売チェーンの独自ブランドを作って販売する、といったブランドの形です。例えばコンビニなら、セブンプレミアムとか、イオンのイオンスタイルとかがPBに当たります。

マツキヨのPBは何が違うのか?

今回のマツキヨのPBは面白く、ファッションスナップによると、「レプリカノーツ」のコンセプトは、「ファッションや香水を楽しむように、柔軟剤やファブリックリフレッシャーを選びたい人に、向けた“洗練された香り”の商品を展開する」とのことです。

「Feminine Flower」という香りの場合、オレンジ系の香りからローズ系に変化して、最後にムスクが香るという感じで、時間によって香りが変わっていくそうなのです。なんだか、ちょっと試してみたくなりますね。

なぜ企業はPBを作るのか?

PBを作るメリットとしては、ナショナルブランドと異なり、自社で大量に作って販売するので製造コストや、物流のコスト、宣伝費などがかからず、コストを抑えることができます。いわゆる規模の経済による、コストリーダーシップ戦略を取れるのです。

また、ナショナルブランドだと、どの店に行っても同じものが売っているので、どうしても価格競争や販売促進の戦いになりがちです。一方で、PBはその小売店にしかない商品なので、いいものを作れば、お客様がそのお店に行く「理由」になります。

あなたは、今流行っているローソンの、バスチーを知っていますか?バスク風チーズケーキのことで、私も妻が一度食べたいというので、ダイエット中にも関わらず、「じゃあ半分もらうよ」と食べてみたら、食べたこともないようなとても濃厚な味で、一度食べると忘れられなくなる美味しさでした。

この商品はかなり話題になっていて、SNSでは、「バスチーは温める?それとも冷やす?どっちが美味しい」などと盛り上がっています。こうなると、同じコンビニに行くにしても、「バスチー」があるからローソンに行ってみる?というように選ばれる理由になります。

これからのPBのあり方

これまで、PBというと、どうしても同じようなカテゴリーの製品の「廉価版」というイメージもありました。それはやはりナショナルブランドより安くできるからその分を安く売る、という考え方もあったからでしょう。

しかし、このバスチーや今回のマツキヨの芳香剤などは、これまであった何らかの商品の廉価版ではなく、同じカテゴリーではありますが、今までなかった味が濃くバスク風のチーズケーキ、だったり、香りが時事刻々とかわっていく芳香剤といった具合に、値段の安さ以外の、新しい付加価値がついています。こうなると、値段の安さ以外の理由が、その店に行く理由になりますよね。

マーケティング活動において、まずは市場でライバルに「勝てる売り物」を作らなければ、消費者に選ばれません。そして、価格の安さや値引きではない、お客様価値を明確にアピールしたいところです。

image by: PR times

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