多様化を考える上で重要な社会と宗教の融合と備えたい5つの人間力

 

この高木シスターは矍鑠とした様子で「努力して持ちたい人間力」として以下の5つを説いた。それは、

  • 「全ての人に対して持つ尊敬と信頼」
  • 「確固たる信念に基づいた判断力」
  • 「高い理想に基づく倫理観」
  • 「おおいなるものと全ての人に対する謙虚な心」
  • 「逆境にあってもゆるがない感情コントロール力」

である。
これら、示されていることが大きくて、自分が小さなものに見えてきてしまうが、目指すべき方向であることは変わりない。苦難の中にある人の支援者であろうとする私にはどれも必要と思いながら、現実の壁も感じてしまう。

例えば「確固たる信念に基づいた判断力」は、その判断が出来たとしても組織の論理によって、判断が「出来て」も、行動が「出来ない」ことはよくある。これは苦痛だ。

その時に必要なのが「感情コントロール」であろう。簡単に言えば、決して怒らないこと。高木シスターも、「他から言わせれば怒ったことがない」という。出来ないことで諦めてしまいがちであるが、出来なくても、やり続けることが重要かもしれない。

そして「全ての人に対して持つ尊敬と信頼」は「全ての人」だから難しい。神奈川県相模原市の障がい者入所施設「やまゆり園」事件で大量殺人をした加害者にも面会している高木シスターだが、「加害者の彼にも尊敬と信頼は忘れない」という。どんな人でも尊敬と信頼を持たれるべきである、という確固たる普遍的な信念だ。

しかしながら、長年のグリーフケアでも死を間近にしてもなお「嫁には感謝しない」「嫁は許せない」という怨念に似た心持ちの人は少なくないという。高木シスターは、手塩にかけて育てた息子を奪われる感覚のある母親の気持ちは理解できる、としながらも、やはりそのような執着から解放されないと、本当の幸せな心持ちにはなれない。

この5つの大きな言葉は、考えれば考えるほど、かみしめればかみしめるほど、自分のテーマとして具体的な事象とともに浮かび上がってくる。そして、まだまだやるべきことは多いことを実感する。

image by: Shutterstock.com

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特別支援教育が必要な方への学びの場である「法定外シャローム大学」や就労移行支援事業所を舞台にしながら、社会にケアの概念を広めるメディアの再定義を目指す思いで、世の中をやさしい視点で描きます。誰もが気持よくなれるやさしいジャーナリスムを模索します。

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