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GSOMIA破棄目前。文在寅の反日政策が「日本に有利」という皮肉

米国の再三の「再考要求」にもかかわらず、GSOMIAの破棄に向けてひた走る文在寅大統領。その先には「脱日米、北朝鮮主導の朝鮮半島統一」があるとされていますが、隣国がもたらす混乱は日本にどのような影響を与えるのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者の津田慶治さんが、マイナス要素が強調される一連の動きを「日本の大チャンス」としその判断理由を記すとともに、日本が今すぐ取り組むべき「課題」を列挙しています。

韓国問題を考える

韓国の文政権は、23日に迫るGSOMIA破棄撤回をしないと米国防長官に表明した。韓国は米国の反対を押し切り、北朝鮮主導の朝鮮統一に向かう。何が起きるのか、今後を検討しよう。

米国株価

NYダウは、とうとう11月15日に222ドル高で史上最高値28,004ドルと28,000ドル台に乗せた。PERは18倍台に乗せて、非常に割高な水準になっている。

その理由は、1つに10月アメリカ小売売上高は、前月比+0.3%と好調な消費者性向があるし、もう1つが、トランプ大統領は、弾劾調査で不利な状況になっているので、株高を進めて不利な状況を覆したいようで、このため、米中通商協議が、うまくいっているとクドローNEC議長に言わせている。

しかし、トランプ大統領が中国に求めていた500億ドルの農産物購入の取引条件として、すべての関税の撤廃を中国が求めたが、トランプ大統領は拒否したので、中国が200億ドルの購入と国営企業への補助金停止の代わりに9/17分の関税を止める方向で進んでいるかどうかですね。中国は金融市場開放と知的財産権保護については実施すると言っている。しかし、詳細は不明。

現時点の株価上昇は行き過ぎであるが、その市場の熱狂を盛り上げるような発言をして、株価をより一層上昇させている。今は、バブル絶頂期で、悪いニュースを見ずに良いニュースだけを見て、株価は猛然と上がり、熱狂の中にいるので、その相場に巻き込まれてしまうことになる。

農林中金や日本の地銀は日銀と金融庁からの注意を受けて新規にCLO債を買わないことでCLO価格が急落している。CLOの元であるジャンク債が売れずに、それを発行するシェールオイル会社の資金繰りができずに倒産が増えている。

これと並行して、WeworkのIPO失敗でIPO人気が急落している。大企業の自社株買いも社債発行量の限界にきて一段落した状態である。米企業利益はそこそこであるが、ウーバーやリフトなどでは、労働争議になり、利益が減る方向であり、株価は下がっている。

その上に、ウーバーでは、決算発表前後のロックアップ解除後、創業者カラニック氏が、同社株21%を売却している。このように、多くの経営者は、自社株を売り、暴落に備え始めている

ここは、米国株投資をしている人は、利益確定をして当分お休みが一番良いような気がする。現金ポジションを多くしておけば、暴落時に割安株を買えることになる。ジム・ロジャーズ氏も同じことを言っている。

しかし、今が一番、上昇する可能性も高いので、相場に巻き込まれる人が多いのも事実である。

日本の株価

日経平均株価は、2018年10月2日24,448円になったが、以後低調で、12月26日18,948円と暴落し、その後はレンジ相場になり、10月から売り残の買戻しや海外投資家の大幅な買い越しで、連日の年初来高値になっている。たぶん、海外の買いの半分以上は投機筋の先物買いで、24,000円に向けて上昇している。

11月15日23,303円となり、11月11日23,520円から落ちたが、NYダウ上昇で割高になり、日本株が割安に見えることで、海外投資家が押し寄せている。このため、当分、上昇する可能性があるが、熱狂相場が日本にも来たことになる。このため、日経平均もPERも14倍台になり、そろそろ割高な水準になってきた。

2019年1月当初、19,650円で始まったので、4,000円も上昇したことになる。しかし、自動車業界の売上高、利益が大幅な減額修正になっている。このため、1株当たりの利益としては、10月始めは1,750円であったが、企業業績の下方修正と株価上昇で、現在1,665円と100円も下がっている。

今後、景気上昇が見込めるかというと当分は無理である。しかし半導体産業は、5G関連で期待できるようであるが、工作機械などでは、当分無理のようで、米中貿易戦争が解決しないと中国の投資が増えないと見ているようだ。

悲観論はここまでだ。衰退途上国ニッポンを再興させる一筋の光明」でも書いたが、日銀の金融政策の方針を転換する必要がある。バブル抑止に替えることだ。最低でも、当分、株価が下がってもETF買いはしないことである。米国のバブル崩壊、経済崩壊に巻き込まれてはいけない。

韓国知識人の行動

韓国の文在寅大統領は15日、ソウルの大統領府でエスパー米国防長官と会談したが、23日に失効する日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)撤回に対して、安全保障上の懸念を理由に輸出管理強化措置を取った日本とは「軍事情報を共有することは難しい」と主張し、日本の措置撤回なしには協定維持は困難との見解を改めて示した。米側の説得は不発に終わったもようだ。

その前に、「反日強硬派」の筆頭格で、「GSOMIAファイター」と呼ばれる金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長にも6日、デイビッド・スティルウェル米国務次官補と、在韓米軍のロバート・エイブラムス司令官が説得したが、首を縦に振らなかったことで、想定できる事態ではあった。

米国は、在韓米軍の経費負担を、今までの5倍にするように要求していたが、これに対しても、韓国は要求を受け入れない方向であり、韓国からの米軍撤退が徐々に現実的な問題になってきた。

在韓米軍を守るためには、GSOMIAで米日韓の軍が緊密に連携する必要があるのに、それができないし、それなら経費を掛けて守りを固める必要があるが、それも拒否となると、米軍の安全を守れないことになり、日本などへ撤退するしかないことになる。

というように、韓国は米国から離れて、中国や北朝鮮の陣営に入る方向で政治をする。文政権は、最初から北朝鮮主導での朝鮮統一を目指しているので、そうならざるを得ない。韓国国民にとっては、最悪政権であるが、自分たちが選択したことであり、自業自得ではある。

金正恩委員長は、北朝鮮主導の朝鮮統一しか受け入れないので、金王朝が朝鮮全体を支配することになる。北朝鮮では資本家は敵であるので、韓国企業の経営者は粛清の対象になる。1国2制度の政治体制というが、北朝鮮はなし崩し的な金王朝体制にするので、韓国から経営者や優良企業の管理職や社員は早く亡命しないと危ない

韓国企業は、北朝鮮の金王朝からのタカリ、ユスリで、多くの企業の存続もできなくなる。そうなる前に、日本や台湾やシンガポール、米国などに企業ごと逃げるしかないようだ。

サムソン、LG、現代などは、海外工場も多く逃げられるが、一番問題なのが、ポスコなどの韓国内の工場しかない所であろう。逃げようとしても、逃げることができない。経営者、管理職は資金を持って逃げれるが、社員は無理でしょうね。

この韓国の展開次第では、日本の問題点を解決してくれることになる。日本の人口減少と労働力不足は、韓国から知識人階級が大量に日本に逃げてくることで、ある程度は解決できることになる。大体、インテリ層は、北朝鮮の残虐な政治手法を知っているので、自分たちに押し寄せる運命を推測できるから、韓国から逃げるしかないことを分かっている。

日本の経営者も、韓国の経営者の苦境を知るので、助けることになる。自民党政権も韓国の文政権とは対立するが、韓国経営者とは対立していない

日本は、韓国知識人が亡命してきて、労働力不足などの問題点を解決することになる。大量の韓国亡命者が日本に来れば、慰安婦問題も徴用工問題も、解決はしないが対応策を亡命者が考えてくれるような気がする。韓国企業の日本国籍化などで、日本のGDPは大幅増になる可能性も高い。

このことで、期せずしてして、日本のチャンスが来たようだ。

韓国亡命者で、一時的には、日本が救われることになるが、その後、防衛ラインが対馬になり、防衛費を増額する必要があり、かつ、朝鮮統一政府には核ミサイルがあるので、事ある毎に、脅されることになる。このため、防衛問題が畢竟の課題になることも確かである。

香港問題

香港の学生・市民は、中国の独裁政治を拒否して民主政治に復活するために、生命をかけ始めている。米国の下院では、「香港人権法」を成立させ、上院に送り、上院も審議を迅速に行い、成立させるようである。

習近平国家主席と共産党常務会は、「暴徒の排除」を優先的に行うとして、外出禁止令の布告も検討しているようである。

しかし、中国経済は、広範囲にわたる米国の関税上昇で、輸出量が減り減速が止まらない。投資伸びが最低になり、生産も失速している。豚肉が、この1ヶ月で100%上昇して、約倍以上の値段になっている。この豚肉の上昇から牛肉なども値上がりして、消費経済も伸びていない。

この上に、香港紛争で米国議会から経済制裁を受けると、大変なことになるので、常務会内部でも意見が割れているように感じる。

10月に開催された第4回中国共産党全国大会(4中全会)で経済政策が出てないことで、米中通商交渉の結果を見て、政策を作るようであり、習独裁体制が確立したというが、経済問題では、習主席の指導力は発揮されていないこともわかる。

11月に香港の林鄭月娥行政長官と習近平が会い、直接、「香港の波風は5カ月も続いたが、あなたは香港政府を率いて安定維持のために困難な仕事を遂行してきた。中央政府はあなたに高い信頼を置いている」と声を掛けている。

しかし、体制的には、常務会メンバーであり「中共中央港澳(香港・マカオ)工作協調小組」の組長(トップ)でもある韓正副首相が先に会い、意向を習近平に伝えてから会うはずが、先に習近平が直に会っている。

しかも、デモ発生から5カ月も経って初めて韓正副首相は、習近平の後に林鄭と会談したこと自体が無責任かつ不可思議である。

しかし、その席で、香港の事態収拾に対する中央政府の方策・方針をいっさい示さず、よくやっていると発言したのである。

米国との関係で、中国軍を鎮圧で香港に出したいが、米国の香港人権法ができて、米国との関係がおかしくなると、中国経済が破壊的な状況になるのを恐れているようである。

事実、米議会の超党派の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は14日に、中国政府が香港の抗議デモ抑圧に軍を投入すれば、香港に対する経済優遇措置を停止するよう提言している。

中国の多くの部品を、香港で製品化して米国に優遇関税で輸出しているが、それもできなくなるのは、中国にとっても非常に厳しいことである。

しかし、いつかは鎮圧するしかなくなり、第2次天安門事件になる。そして、米中通商交渉は、破局化してくる。それは、中国経済の動向とトランプ再選の行方を睨んだ展開になる。「香港人権法」に対して、トランプ大統領も署名の意向を明らかにしていないことでわかる。

しかし、いつかはそうなり、米中は経済分離になることは、中長期的には、非常に高い確率で起きることであると見ている。96歳になるキッシンジャー氏も、米中の対立は避けられないし破局的結果を招くだろうと予測している。私も同じように感じている。

日本の対応

韓国と香港という日本の近くで大きな事件や問題が起きているのに、それを国会でどう対応するべきかの議論せずに、「桜を見る会」の名簿がどうしたとか、後援会の前夜祭の会費がどうとか、日本の将来に大きな影響もないことを延々と問題化している。それに同調して、マスコミもワイドショー化している。あまりにも低次元である。

まだ、「れいわ新選組」の山本太郎氏が言うように、日米貿易協定の議論してもらった方が良いし、日本の将来を問題にした討議をして政治の質が上げてほしいものである。

日本は、韓国からの亡命者を大量に入れてどうするべきかを検討しておくことが必要で、日本語の教育や住居なども、来たら、どの県に入れるか、希望を聞いて、九州に大量に入れるのかの検討を、今から九州の県と国が意識合わせをすることである。対馬に韓国からの移民の窓口を設定することも視野に入れる必要がある。

サムソン、LGなどの企業が、どのような意向を持っているのか、経済団体を通じて、聞いておくことも必要になる。韓国企業の日本国籍化の方法も検討しないと間に合わない。日本は、韓国から企業と大量の移民を受け入れ準備をしないと間に合わないことになる。移民政策の根幹に関わる大転換点が目の前に来ている。

香港からは移民はないと思うが、香港への渡航禁止の条件や中国軍が介入した場合の日中関係をどうするのかの検討もする必要がある。勿論、米国との意識合わせもしておくことである。

東アジアの大変動になる可能性が、刻々と迫ってくる切迫感を感じているが、それに比べて、日本の政治家や報道機関の見識のなさは、いかほどのことであろうか。

どちらにしても、日本の大チャンスが到来している。令和時代の日本の大逆転劇が始まっている。それを確実に物にするよう準備をすることである。

さあ、どうなりますか?

image by: 대한민국 청와대 - Home | Facebook

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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