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改憲より「サクラ逃れ」を選ぶ安倍首相が打つ解散選挙の大バクチ

次から次へと明らかになる「桜を見る会」疑惑追求のため、国会会期延長を求める野党の要請を、頑として受け入れようとしない自民党。そもそも安倍首相は、憲法改正への足がかりとなる「国民投票法改正案」の今国会での成立を目論んでいたとされていますが、悲願の改憲を「先送り」するかのような動きの裏にはどんな事情があるのでしょうか。有名ブログ「きっこのブログ」の著者にして、メルマガ『きっこのメルマガ』で毎週社会問題を独自の視線で切り続ける「きっこ」さんは今回、「考え得る2つのシナリオ」を提示するとともに、首相が解散総選挙に打って出る可能性についても言及しています。

逃げ回る安倍晋三、ゴールまで逃げ切れるか?

今も人気沸騰中の「桜を見る会」ですが、とても面白いことがあったので、皆さんに報告させていただきます。「桜を見る会」に、安倍晋三首相だけでなく、安倍昭恵夫人も自分の友人知人を招待していたという問題に関して、「森友学園問題の時には野党からの参考人招致を回避するために『首相夫人は私人であるという閣議決定までしたのに、その私人が国の功労者を決めて招待するのはおかしい」という声が相次ぎました。そこで、あたしは11月28日に、次のツイートをしました。


きっこ @kikko_no_blog
森友学園問題で野党が安倍昭恵の参考人招致を要求したら「首相夫人は私人である」と閣議決定して要求を拒否した安倍内閣。今度は「首相夫人は「桜を見る会」の時だけは公人扱いとなり招待者枠が与えられる」とでも閣議決定するのかな?
11月28日

もちろん、これはジョークのつもりでツイートしたものです。そして、あたしの狙い通リに、けっこうフォロワーさんたちにウケました。それなのに、この次の日、とんでもないことが起こったのです!このあたしのジョークが、現実となってしまったのです!

この問題については、立憲民主党の熊谷裕人参院議員が「私人である安倍昭恵夫人が「桜を見る会」の招待者を推薦できる法的根拠」を尋ねる質問主意書を提出していました。すると、安倍内閣は11月29日、「桜を見る会での安倍昭恵夫人による招待者の推薦は、安倍晋三首相の公務の遂行を補助する一環である」という答弁書を閣議決定したのです!その上「安倍昭恵夫人が『公人ではなく私人であるという認識に変わりはない」として従来の見解を維持したのです!これって、前日にあたしがツイートした内容と99%同じというか、もしかして、あたしのツイートを参考にしたのでは?…と思えるほどのトンデモ閣議決定じゃないですか!

…というわけで、こんな面白いことも起こりつつ、この「桜を見る会」の問題は、主犯の安倍首相が国会に出ずに逃げ回っているため、次々と発覚する新疑惑がすべて宙ぶらりんになって積み重なり、冬だと言うのに桜の山は満開になってしまいました。そして、「牡丹」なら猪肉ですが、「桜」と言えば馬肉なので、安倍首相は、かつてのミホノブルボンやサイレンススズカのような大逃げをかまして逃げ切ろうと必死です。

安倍首相という駄馬の調教師である今井尚哉補佐官が立てた作戦は、12月2日を最後に国会に出ずに12月9日の会期末まで逃げ切れば、あとはゴルフでもしているうちに年が明け、新年になればバカな国民どもは桜を見る会のことなど話題にしなくなる…という、加計学園問題の時とまったく同じ「逃げ切り作戦」でした。そして、この作戦を成功させるためには、どんなに野党が要求しても、絶対に会期延長だけは突っぱねなければなりません。会期延長などしたら、安倍首相は厳しい野党からの追及によって、逃げ切りどころかゴール手前で落馬してしまうからです。

でも、皆さん、覚えていますか?3カ月前の9月11日に現在の「第4次安倍第2次改造内閣が発足した時、安倍首相が会見で何と言ったのかを。覚えていない人も多いと思いますので、改めて紹介します。

この新しい体制のもとで、憲法改正に向けた議論を力強く推進して行きます。令和の時代にふさわしい憲法改正原案の策定に向かって、自民党は今後、衆参両院の憲法審査会において強いリーダーシップを発揮して行きます。

そして、ちょうど200回目を迎えた今の臨時国会が招集された10月4日には、安倍首相は所信表明演説の最後を次の言葉で締めくくりました。

今を生きる私たちは、令和の新しい時代、その先の未来を見据えながら、この国の目指す形、その理想をしっかりと掲げるべき時です。現状に甘んずることなく、未来を見据えながら、教育、働き方、社会保障、我が国の社会システム全般を改革して行く。令和の時代の新しい国創りを、皆さん、共に進めて行こうではありませんか。その道しるべは、憲法です。令和の時代に、日本がどのような国を目指すのか。その理想を議論すべき場こそ、憲法審査会ではないでしょうか。私たち国会議員が200回に及ぶその歴史の上に、しっかりと議論して行く。皆さん、国民への責任を果たそうではありませんか。

安倍首相は、今国会の最重要課題として、最悪の売国政策である「日米貿易協定承認案」を挙げましたが、こんなものは表向きのポーズに過ぎません。何故なら、これまでの数々の悪法と同様に、ダラダラと審議時間だけを稼いだ後に、自・公・維新による数の暴力で強行採決することが最初から決まっているからです。安倍首相にとっての本当の最重要課題とは、念願の憲法改正」なのです。もちろん、今国会で憲法を改正することは不可能ですが、これまでずっと停滞していた「憲法改正」を一歩でも前へ進めること、それが今国会の最重要課題だったのです。

安倍首相は「憲法改正」を一歩でも前へ進めるために、今国会での国民投票法改正案の成立を目論んでいました。現在の「国民投票法」を、さらに改憲派が有利になるようにする卑劣なルール変更」です。しかし、今国会の招集とともに発生した「大学受験の英語民間試験化問題」と、それに続く萩生田光一文科相の「身の丈発言」、そして、政治資金規制法違反による菅原一秀経産相と河井克行法務相のドミノ辞任からの「桜を見る会」問題、とても「国民投票法改正案」まで手が回らなくなってしまいました。

しかし、これも「日米貿易協定承認案」と同様に時間さえあれば数の暴力で強行採決できるのですから、今国会を12月9日に閉会せず、会期延長すれば成立させられるのです。長年にわたって「憲法改正」の旗印を掲げ、毎年の「憲法記念日」には日本最大の右翼組織「日本会議」の改憲大会にビデオメッセージを送り続けて来た安倍首相なのですから、こんなチャンスは他にありません。自民党内から「4選は無理」という声が出始め、そろそろレイムダック化して来た安倍首相にとって、「自分の政権で憲法改正を成し遂げて歴史に名を残す」という念願を達成するためには、今が最大のチャンスなのです。

もちろん、こんなことは、あたしが言わなくても安倍首相本人が誰よりも分かっていることです。それなのに、安倍首相は、自分の最重要課題である「憲法改正の前進と引き換えにしてまで、桜を見る会の追及から逃げることを選び、野党が要求した会期延長を拒否したのです。もしかすると安倍首相は、本当は憲法改正など、どうでもいいのではないでしょうか?自分の支持層である改憲派へりリップサービスとして「憲法改正!」「憲法改正!」と連呼して来ただけで、本当は憲法など読んだこともないのではないでしょうか?なにしろ「ポツダム宣言」も読んだことがなかったのですから。

それとも、「憲法改正」は本当に念願であり、何としてでも前へ進めたいという気持ちに嘘はない。しかし、「桜を見る会」でのやりたい放題がすべて明るみに出てしまうと、憲法どころの話じゃなくなる。そのためには、今国会での「国民投票法改正案」の成立と引き換えにしても、野党からの追求から逃げ切らにければならない…ということなのでしょうか?そうであれば、安倍首相は、自身の進退が問われるほどの悪事を働いていたことになります。

あなたは、前者だと思いますか?それとも後者だと思いますか?あたしは、後者だと思っています。そして、今国会を逃げ切って年が明けても、この「桜を見る会」の話題はフェードアウトせず、来年1月からの通常国会でも野党から厳しく追及されることとなり、万事休すとなった安倍首相は、森友学園問題の時と同じく、解散総選挙でリセットを図ろうとすると思います。解散総選挙をすれば、多少の議席を減らしても自公で過半数はキープできますから、「憲法改正を国民に問う」とか何とか抜かして解散総選挙に打って出て、その結果を持って「憲法改正に国民の信を得た」というお得意の我田引水フレーズを炸裂させ、ついでに「桜を見る会の問題もチャラにされてしまうでしょう。

image by: 安倍晋三 - Home | Facebook

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