大混乱の香港に栄光は戻るか。現地在住日本人が見た「香港の今」

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既に半年にわたり世界に混乱が伝わる香港情勢。激しいデモの様子は日々報道されていますが、香港市民はどのような日常を送っているのでしょうか。アジア各地に住む日本人著者がリレー型式で現地からの情報をリポートする無料メルマガ『出たっきり邦人【アジア編】』では今回、香港と中国国境の近くのエリア在住の著者がその目で見た生活用品店街の変貌ぶりなど、「香港の今」を伝えています。

香港景気がさっぱり、デモはまだまだ続く見込み

逃亡条例に反するデモが6月に始まり半年が過ぎた。こんなに長く、こんなに荒れてしまうと当時は思っても見なかった。忙しいいう言い訳で私はまだ一度もデモには参加してないけど香港人の団結力には本当に敬意を表したい。暴力的な行為がテレビやネットで注目されているけど、デモはいろいろな形で行われている。歌を歌う人、手と手を繋いで大きな線を作る人、アートで表す人、断食をする人、様々な形の訴求活動がある。先週の選挙では民主派が圧勝し、そしてアメリカ大統領トランプの指示表明があり、デモは少しは緩和するのかと思えば、5つの要求を叶えるまで今日もどこかで民主化運動が繰り広げられている。

私の最寄り駅は上水という香港中心地から最も遠い駅で、中国との国境に近い為たくさんの中国人(大陸人)が買い物に来られる。その為中国人御用達の生活用品店が多く、普段はスーツケースを持った日帰り大陸人が爆買いにやってくる。今日近くを歩いてみると、10~20%のお店のシャッターが下りていた。シャッターには「大陸の豚野郎」と黒いスプレー缶で落書きされていた。すでに商売を辞めてしまって貸物件と不動産の張り紙が貼られている店もあった。中国銀行支店はガラスが破られないよう各支店の窓が鉄板で覆われており、それに比べH S B CやStandard Chartered銀行のガラス壁は普通で、違いがはっきりしていておかしく思えた。

車で道路を走ると信号機が壊れているので赤信号で泊まる必要がなかった。右から左からと車が気を付けながらそろそろと渡って行った。意外と便利だなあと感心してしまった。

香港人は香港人だと言い出したのは今に始まったことではない。イギリス統治下であった30年前もずっと香港人だったし、一度も中国人と思ったことはない。中国人は大陸人で自分たちとはっきり線引きをしていた。尖閣諸島の問題があったときは台湾人、香港人、大陸人と一致団結した時もあったけど、昨日の友は今日の敵なだけ。なんせ言葉が違ってるし、香港人は広東語なのである。

一見ひ弱に見える香港の若者達、しかし死ぬ気で正義を貫く精神、団結力は鋼よりも硬い。2014年の雨傘運動では長丁場になり次第に民衆の勢いが消えて行ったけど、前回の二の舞にならぬよう長期戦の備えをしている

外国労働者ですでに香港を去って行った人も少なくはない。ネット広告に「香港出ます、家具売ります」のポストが増えた。

果たして香港の栄光は帰ってくるのか?ここ香港に生活するイチ意見でした。

おそまつ。

image by: PaulWong / Shutterstock.com

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【著者】 アジア6カ国の在留邦人メンバー 【発行周期】 週刊

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