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ダマされる日本。武田教授が明かす「温暖化」利権の不都合な真実

前回掲載の「武田教授が暴露。昨今の『プラスチック汚染』は大嘘と断言する訳」で、 中部大学教授の武田邦彦さん。今回武田さんはメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』で、化石燃料に依存する日本を激しく批判しながらも、欧米を含む各国が温暖化ガス削減対策を一切取っていないという「真実」と、その当たり前とも言える理由を記しています。

温暖化ガスの50%以上を排出する中国、米、印、露が対策しないワケ

温暖化は科学的にはとても難しい問題です。到底、普通の人が「自分で計算して」理解できるものではありません。著者が名古屋大学で教鞭をとっているとき、学内で温暖化の研究会がありました。専門の教授が1時間程度の研究発表をして、私が二つほど質問をしましたが、十分なお答えは得られませんでした。

学者同士ですから、研究会が終わったらみんなで軽い食事に行きましたが、お互いに温暖化を科学的に結論を出すことの難しさを語り合ったものです。

ですから、「温暖化するかどうか」を「科学的普通の人が結論を出すことはできないので、多くの人は、「NHKが放送しているから」「政府が政策としているから」「国際的に温暖化することになっているから」など他人の判断をそのまま宗教的に信じているのが現状です。

個人個人が科学的に判断できないということになると、この難しい問題をどのように考えたらよいかを決める必要があります。もう一度繰り返しますが、下手な科学的な説明を受けないことです。よほどの物理の訓練を受けている人でも判断できないのですから。

突然、話が飛びますが、若い男女が「愛している」といくら言っても、プロポーズしないということになると、それは「ウソ」だということでしょう。つまり、人間は口では何とでも言えるけれど、その人の最終的な行動に真実が現れるということです。温暖化の場合も、なにしろ膨大な利権なので「温暖化で損をしたくないと思っている人は温暖化対策をしないと考えた方が良いでしょう。

まず、世界の大国の行動ですが、中国、アメリカ、インド、ロシアの4大国で温暖化ガスの50%以上を排出しています。その他の小さな国を合計しても50%もいかないので、もし温暖化ガスが増えると温暖化するなら、この4大国が削減しないと何の効果もありません。多くの環境破壊とは違って、温暖化がもし起こるとすると「気体」が原因するので、空気中にでればどの国が出してもすぐ平均化されてしまうからです。

排出量の多い国からみると、中国は習近平主席の独裁ですが、温暖化騒動が起こってから一度も温暖化ガスを削減したこともなく、しようともしていません。中国は国土の南半分が亜熱帯地方であることと大陸性気候なので、もし温暖化したら大変な被害がでるはずですが、知らぬ顔です。

ついでアメリカですが、もともと温暖化騒動は1988年6月にアメリカ上院の公聴会が震源地ですから、アメリカがもっとも熱心でなければなりませんが、歴代の大統領は「温暖化対策をやる」と口で言っていますが、一度もやったことはありません。日本のマスコミはトランプ大統領が温暖化防止のパリ条約を締結しないというので、盛んに報道していますが、トランプ大統領が否定的なのではなく、初めてアメリカの大統領が言っていることとやっていることを一致させたというだけです。

温暖化対策の旗振り役ヨーロッパが、見せかけの削減をしていたカラクリ

インドやロシアはもちろん、なにもやっていません。ロシアのプーチン大統領は「もし温暖化してもロシアは寒いので良いことだ」と言っていますし、インドはとても暑い国ですが、温暖化を全く信用していないようです。

かくして、4大国が何もしていないので、それ以外の国でもっとも多くの温暖化ガスを出している日本は、たった世界全体の2.7%しか出していないので、日本人が全部死んで、温暖化ガスを出さなくなっても地球の気温は変わりません

日本以外の国も出している量が少ないので、大国が抑制していない状態ではバカらしくて温暖化対策をしないのは当然です。ヨーロッパ(EU)は複雑な計算方式をとっていて(1990年基準とEUバブル)、本当は温暖化ガス排出量が増えていても減っているように計算される(あまりに複雑なので、文末に注を付けた)ので、心の中はやる気がないと思います。

このように世界では日本以外の国で、温暖化ガスの排出を抑制している国はないので、温暖化騒動はウソと思っているということです。つまり各国首脳は、「温暖化の被害は大したことはないので、それより経済発展が大切だ」と思っていることになります。

それではなぜ、日本だけが一所懸命、温暖化対策をしているのでしょうか?この問題は日本における環境問題の真実が見えるものなので、次回に「日本人と温暖化」について整理したいと思います。

注:ヨーロッパと温暖化

ヨーロッパはアメリカとともに温暖化の旗を振ってきたように見えますが、その実、ヨーロッパは実質的に温暖化ガスを削減しなくても良い計算方法を採用しています。

まず、1997年に温暖化ガス排出規制に関する京都会議を控えて、ベルリンで予備会議が開かれ、温暖化ガスの排出基準の年を1990年としました。これは大きなトリックで、「過去を基準にして規制するというのは極めて異例です。でもこの「異例」は1989年のベルリンの壁の崩壊から東ヨーロッパの共産主義が雪崩を打って崩壊しましたが、共産主義はきわめて効率が悪い社会だったので、生産量を一定にすると自由主義に変わることによって温暖化ガスの排出が30%から40%も削減されます。従って、ヨーロッパやソ連は1990年を基準にすることによって、自動的に35%程度を削減したことになり、たとえば10%増やしても35-10で差し引き25%削減になるからです。

次に、アメリカは京都議定書に代表を送るにあたって、批准の権限を有する上院がバードヘーゲル決議を全会一致(95対0)で議決し、「中国とインドが調印しなければアメリカは批准しない」という制限を代表団につけました。だからゴア副大統領がアメリカ代表としてどんな条件で調印しても、アメリカが条約に参加する可能性はなかったのです。(メルマガより一部抜粋)

image by: Shutterstock.com

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中部大学教授の武田邦彦です。主に環境問題や資源に関して研究を行っております。 私のメルマガでは、テレビや雑誌新聞、ブログでは語ることが出来なかった原発やエネルギー問題に鋭く切り込みます。

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