年間の電気代を97%も減額できたマンション管理組合の奇跡

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マンションを終の棲家とし安心して永住したいと考える方々は多いと思いますが、では、快適さを実感できる「魅力的なマンション」を住民や管理組合が目指すには、どんな手立てがあるのでしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、「マンションの資産価値向上に貢献した住民や管理組合の取り組み」を称えるコンテストの受賞例をヒントとして紹介しています。

グランプリは西京極大門ハイツの「電気代97%削減」

こんにちは!廣田信子です。

先日、マンション管理業協会主催の「マンション・バリューアップ・アワード2019」の公開審査と表彰式がありました。昨年まで「いい話コンテスト」だったものが、衣替えしたもので、マンションの資産価値アップに積極的に取り組んだ事例を応募していただき、すばらしい取り組みを表彰するというもので、管理組合、管理会社、双方からの応募があります。

まず、「マンションライフ」「工事」「防災」「財政」「高齢者対策の5部門ごとに審査し、すぐれた取り組みと考えられるものを複数選定し、その中から、二次審査で、「部門賞」「特別賞」「佳作」の受賞作品を選びます。二次審査からは、私もメンバーになっている審査委員会で審査することとなります。

それぞれの部門賞が決まった後、当日5部門の「部門賞」受賞者が、プレゼンテーションを行い、それを元に、審査委員会で「グランプリ」を1つ選ぶというものです。二次審査では、マンション名は秘されていますが、一目見て、私には、どのマンションの応募かが分かるものがいくつもあり、私情をいれないようにと、かなり選定に苦労しました(笑)。

「部門賞」受賞は、管理組合からの応募が2つ、管理会社からの応募が3つで、どれもすばらしい取組みでした。

管理組合で部門賞となったのは、私が何度もご紹介している「西京極大門ハイツ」の佐藤芳雄さんとマンションコミュニティ研究会副代表榎本明弘さんの「コーシン王子マンション」でしたから、よく知っている話なのに、ドキドキしながらプレゼンを聞きました。

そして、最終審査で「グランプリは、西京極大門ハイツ」に決まりました。タイトルは、「省エネ創エネで共用部分の電気代97%削減」です。建築後9年目の1984年度に管理組合が負担した共用部分の電灯電力、低電圧電力の年間使用料は80,543kw。電気料金は、年間2,798,005円。年間管理費額の20.6%を占めていたのです。

それを、様々な節電の努力を重ね、さらに、太陽光発電設備を設置して、年間20,000kwの電力を生み出し、2018年の実質電気使用は、7,144Kwまで減少。電気料金は、年間76,718円まで減少しています。電気料金は2,798,005円から76,718円まで下がっていて、何と、97%の削減です。

さらに、地球温暖化対策に資するように、共用部分だけでなく、専有部分の電気使用料の削減にも取り組み、外断熱工事・エコガラス改修工事を実施し、住宅部分で、京都市民の平均使用エネルギーの2/3にまでエネルギー使用量を削減し、京都環境賞を受賞しているのです。

電気使用量を様々な工夫で削減していく過程は、見事としかいえません。

そこで、削減できたお金は、マンションの住環境を豊かにするために活用できるのですから、それだけでも価値があることですが、自分のマンションのことだけでなく、地球環境にも資する取り組みということが、大きく評価されたことは言うまでもありません。

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