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ソフトバンクの5G基地局計画値が他社より少なかった納得の理由

2月第1週、NTTドコモとメルカリの業務提携が発表され、ソフトバンクの決算会見では5Gのスタート時期について発言がありました。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんが、それぞれのポイントを解説。ドコモとメルカリの提携については「メルペイ」終了の予感を、ソフトバンクについては、一般メディアから「やる気がない」と取り沙汰されていた5Gへの取り組みのカラクリを伝えています。

NTTドコモとメルカリが業務提携――早くもメルペイの存在意義は消滅したか

2月4日、NTTドコモとメルカリ、メルペイが業務提携すると発表した。ポイントやID、決済の分野で連携していくという。あくまで提携が決定した段階であり、詳細はこれから詰めていくようだ。

LINEとヤフーの経営統合が発表された時、「次はメルカリがどこと組むのか」が話題になったが、NTTドコモがまずツバをつけたということだろう。将来的にNTTドコモによるメルカリへの資本提携という話があってもおかしくなさそうだ。

ユーザー視点でいえば「メルペイはd払いに切り替えてもいいのではないか」と思う。メルカリがなぜ、メルペイなんて決済サービスを手掛けているかといえば、メルカリユーザーが、フリマで売り上げたお金をリアルの世界で支払えるようにするための「出口」を用意したかっただけということだろう。

つまり、「出口」があればいい話であって、何もメルペイにこだわる必要はない。メルペイの代わりにd払いになったからといってユーザーは何一つ困らない。

メルカリはフリマ事業は堅調に成長しているが、決済事業とアメリカ展開がさっぱりの状態で、大赤字が全体の足を引っ張っている。ならば、メルカリはorigamiなんて救済している場合ではなく、とっととメルペイを畳んでd払いにしてしまったほうが賢明だろう。

NTTドコモ側からすれば、規模が小さく、ユーザーも少ないメルペイを押し付けられても大したメリットはない。NTTドコモが欲しいのはメルカリの会員基盤であって、メルペイには興味はないはずだ。つまり、メルペイを消滅されるのが現実路線ではないか。

ソフトバンクの決算会見で、LINEとヤフーの統合について聞かれた宮内謙社長は「言えたらいいが、言えない。相当、大きなシナジーを出せるのではないか。中国で言えばWeChat PayとAliPayが一緒になるようなもの。いろいろと面白いことができるのではないか」と語った。

おそらく、将来的には、年間200億以上、ベライゾンに支払っているとされる「Yahoo!ブランド」を廃止する方向にあるだろうし、LINE Payはなくなり、PayPayに統合されるのではないか。LINE上でPayPayが使えるようになるのだろう。

早晩、スマホ決済サービスの統廃合が現実味を帯びる中、メルペイの寿命も決して長くはなさそうだ。

ソフトバンクの5G基地局計画は4G周波数転用を想定済み――2021年にはエリアとスマホが一気に拡充か

いよいよ始まる5G。ソフトバンクの宮内謙社長は、2月7日に行われた決算会見で「来月末よりスタートする」と言及した。「3月末」という具体的なスケジュールを明らかにしたと自分のTwitterで報告したところ、広報担当者から「前から3月末だと言及している」との指摘があった。サービス開始当初のエリアについては「ピンポイントになる」(宮内社長)とのことだ。

そもそも、ソフトバンクが総務省に提出した5Gの基地局開設計画は他社に比べてかなり少ない数字となっていた。基地局数はNTTドコモが1万3002局、KDDIが4万2863局、楽天が2万3735局であるのに対して、ソフトバンクは1万1210局に過ぎなかったのだ。当時、一般メディアは「ソフトバンクはやる気がない」なんて書いていた。

しかし、決算会見で宮川潤一副社長に「最近、総務省が4Gの周波数帯を5Gに転用できるよう準備を進めているようだが、ソフトバンクはそれを見越して計画値を少なめに出したのか」と質問したところ「そのとおりだ」という回答であった。

宮川副社長によれば「5G用に割り当てられた周波数帯は衛星との干渉が難しい周波数帯。干渉がないインドアなどの場所ではネットワークを整備していくが、道路などの面展開は難しい。既存の周波数帯の転用は4Gの基地局を整備する時から意識してきた。総務省では、4G周波数転用の計画を前倒すようなので、一気に全面的に展開していきたい。2021年にはカバー率90%を目指したい」という。

5Gの割当当時も、4Gとの併用に言及していたが、かなり具体的な計画が明らかになったと言えそうだ。宮川副社長は当時、「2021年には5Gスマホの選択肢が一気に増える」とも話していた。端末が増え、エリアが一気に広がる2021年こそが「5G元年」になるのかも知れない。

ちなみに、いくつかのスマホメーカー関係者に話を聞くと、「2021年にはほとんどのスマホが5G対応になる」という共通認識であった。ハイエンドだけけでなくミドルやエントリーも5G対応が当たり前になるというわけだ。

さらに2022年にはNSAからSAに切り替わっていくとされており、ようやく「真の5G」が始まる。5Gの盛り上がりは、これから2~3年、続くことになるだろう。

image by: Ned Snowman / shutterstock

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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