新型肺炎で判明した「事実」と、日常で行える具体的な「対策」は

kitano20200227
 

諸外国に比べ対応の遅さが目立つ、日本の新型肺炎感染防止に向けた動きですが、2月24日、ようやく厚生労働省がその基本方針の具体化に向けた見解を発表しました。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、その見解を読み解きつつ、現在までに判明している事実と、今後私たちが自ら取ることができる対策をピックアップし解説しています。

新型コロナウイルスのこれから

他の国から遅れる事3週間。ようやく日本政府が動き始めました。

2020年2月24日 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議

は、どんな意見を発表したのでしょうか?まず「緒言」から一部引用。

我々は、現在、感染の完全な防御が極めて難しいウイルスと闘っています。このウイルスの特徴上、一人一人の感染を完全に防止することは不可能です。

 

ただし、感染の拡大のスピードを抑制することは可能だと考えられます。そのためには、これから1~2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際となります。仮に感染の拡大が急速に進むと、患者数の爆発的な増加、医療従事者への感染リスクの増大、医療提供体制の破綻が起こりかねず、社会・経済活動の混乱なども深刻化する恐れがあります。

感染の拡大が急速に進むと、医療崩壊もあり得るそうです。大いにあり得ますね。

これからとるべき対策の最大の目標は、感染の拡大のスピードを抑制し、可能な限り重症者の発生と死亡数を減らすことです。

目標は、二つ。

  1. 感染拡大のスピードを抑制すること
  2. 重症者と死亡者数を減らすこと

次に、「日本国内の感染状況の評価 」これも、一部引用します。

2019年12月初旬には、中国の武漢で第1例目の感染者が公式に報告されていますが、武漢の封鎖は2020年1月23日でした。したがって、その間、武漢と日本の間では多数の人々の往来があり、そのなかにはこのウイルスに感染していた人がいたと考えられます。

 

既に、国内の複数の地域から、いつ、どこで、誰から感染したかわからない感染例が報告されてきており、国内の感染が急速に拡大しかねない状況にあります。したがって、中国の一部地域への渡航歴に関わらず、一層の警戒が必要な状況になってきました。

  1. 武漢は昨年12月初旬にはじめての感染者が出たが、今年1月23日まで封鎖されなかった
  2. この期間に、武漢から日本に来た人、日本から武漢に行った人がたくさんいる
  3. その中にウイルスに感染した人がいたのだろう
  4. 結果、すでに日本国内では、「感染経路が明らかでない感染者」がたくさん出てきている

専門家会議の見解は、正しいとは思います。しかし、他の多くの国が実施しているように、1月末から2月はじめ時点で、「中国全土からの渡航を禁止」「中国への渡航を禁止」していれば、現在のような事態にはならなかったでしょう。

しかも、現在のようなひどい状況になっても、まだ日本政府は、「中国全土からの渡航禁止」「中国への渡航禁止」をしません。与党からも野党からも、「そうしろ!」という意見がでないのは、驚くべきことです。中国の影響力はどれほど強いのか、驚きますね。しかも、自民党は、「習近平の国賓訪日は予定通り行う」と宣言しています

専門家会議は、「どうすれば感染するのか?」について触れています。

このウイルスの特徴として、現在、感染を拡大させるリスクが高いのは、対面で人と人との距離が近い接触(互いに手を伸ばしたら届く距離)が、会話などで一定時間以上続き、多くの人々との間で交わされる環境だと考えられます。我々が最も懸念していることは、こうした環境での感染を通じ、一人の人から多数の人に感染するような事態が、様々な場所で、続けて起きることです。

それで、これから、集会、セミナー、講演会などは、中止になることが増えるでしょう。コンサートもそうでしょう。上映中止はないでしょうが、映画館も厳しそうですね。ひょっとしたら学校も、「いつもより長い春休み」に突入するかもしれません(ちなみに、親戚の女の子が通う高校が、休校になりました)。

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