読売は安倍首相の批判避ける「作文」社説。「学校再開」各紙論評

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安倍首相が独断で決めたと言われる全国一斉休校の解除が決まり、新学期からの学校再開の方針が示されました。各紙が社説で論評したその内容をメルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』で、ジャーナリストの内田誠さんが解説します。内田さんは、再開後の留意点は示されたものの再開するか否かの判断基準は示されず、自治体の負担が増すことを懸念。読売新聞の社説に関しては、安倍首相批判にはならないような「作文」になっていると指摘しています。

各紙社説は「学校再開」という政府の方針についてどう報じ分けているか?

ラインナップ

◆1面トップの見出しから……。

《朝日》…五輪延期 1年程度
《読売》…東京五輪1年延期
《毎日》…東京五輪延期
《東京》…東京五輪 来夏に延期

◆解説面の見出しから……。

《朝日》…延期へ 流れ一気
《読売》…「21年」首相が直談判
《毎日》…IOC追い込まれ
《東京》…予定白紙 不安噴出

【プロフィール】

■具体的な状況把握と柔軟な判断■《朝日》
■全国一律休校措置に「区切り」を…■《読売》
■政府は判断基準を示すべき■《毎日》
■政府は学童保育に「丸投げ」■《東京》

具体的な状況把握と柔軟な判断

【朝日】は14面の社説1本目。タイトルは…。
 学校再開へ 学びの確保を柔軟に

uttiiの眼

《朝日》は、安倍首相の要請で始まった乱暴な一斉休校を止め、万全とは言えないまでも、様々な指摘を受け入れて課題の克服に目配りした今回の指針が出されたことを評価している。「自治体が学校ごとに危険度を見極め、柔軟に判断する」というのがその核心的な内容。

その上で、それでも登校に不安を持つ家庭へのさらに柔軟な対応、仮に周辺地域で感染者が出た場合に直ちに休校に切り替える臨機応変、あるいは開校か閉鎖の二者択一でなく、分散登校などの工夫、休校の場合でも学校施設は開放して居場所を提供することなども考えてほしいと言っている。

それでも、最大の問題である「学習の遅れ」は残る。東日本大震災の時には夏冬休みを短くしたり土曜授業を行ったりして遅れを取り戻した経験があり、「当時の知見も生かし」てほしいと。

思うに、《朝日》の言っていることはまったく正しいけれど、個別な対応のためには、自治体の官僚組織はかなりの負担を覚悟しなければならないだろう。

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