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コロナで潰すな。全飲食店経営者が緊急でやるべき「4つの行動」

新型コロナウイルスによる感染症流行の影響で、飲食店が大打撃を受けています。多くの経営者が資金繰りに苦しんでいますが、この苦境を乗り切る手はあるのでしょうか。ライブドアの再建に尽力した経験もある高岳史典さんのメルマガ『銀行とP&Gとライブドアとラムチョップ』では高岳さんが、国や自治体の緊急融資制度でキャッシュを借りられるだけ借りるべきとして、融資を受けるための具体的方法を紹介しています。全飲食店経営者が必読の記事です。

緊急寄稿:飲食店がいま融資を受けるために

3月に入り、あっと言う間に日本をそして世界を新型コロナウィルスが席巻しています。前回のメルマガからわずか3週間の3月30日現在で感染者数は1,989人(前回8日は449人)、死者数は59人(前回は7人)と大きく脹れ上がりました。

数字だけを冷静にみれば、日本の人口と比して決して大きな数字ではなく、人口当たりの死者数の割合も他の国と比べて相当低く抑えられています。しかしながらいま日本には重篤な問題が少なくとも2つあります。

  1. 特に東京などの都心部において感染の拡大が加速していること
  2. それに伴う「自粛」の要請と実際の「自粛」によって経済活動が止まり始めていること

1.を抑えるための2.とわかっていても、何ら「補償」のないままに、そこには行くなと政治から名指しされる業界・業態は、ウィルスにかかる以前に瀕死の状態を迎えようとしています。そこで今回は国や自治体で用意されている緊急融資制度について、実際にウルトラチョップで動いてみた体験から記してみたいと思います。

もちろん融資は、売上や家賃の補償とは違っていずれは返さなくてならないものです。だからといって、来るかどうかわからない補償を待ってる時間はもはやないはずです。飲食店にせよ企業にせよ、キャッシュが廻らなくなったらそこでTHE ENDです。

この災禍は終わりがまだ見えません。だからこそ、すでに火がついている方はもとより、当面は大丈夫という方も、融資については検討してみるべきだと考える次第です。

まずは経産省からこのようなまとめのページが用意されています。

新型コロナウイルス感染症で 影響を受ける事業者の皆様へ

よくまとまっているのですが、普段お店のことで手一杯のオーナーさんやスタッフさんからみると

となって、後回し後回しにしてしまっていることもあるかもしれません。

またそもそもランチもディナーもやっているお店ならば、これらの書式や手続きに向き合う時間も物理的に限られてしまう。そうこうしているうちに3月も半ばをすぎ、後半になり、売上の落ちを目の当たりにし、このままでは月末の支払いができないとパニックになる。もう、本当に一刻の猶予もない。現実的に僕の周りでは珍しい光景じゃなくなっています。

これから書くことは、書式の読み方や書き方の解説ではなく、具体的なアクションプランです。制度がどんどん追加になり、状況もどんどん変わっているので、もちろんもっといい方法もあるかとは思いますが、「いま」何をしてよいのか混乱しているならばぜひ参考にしてみてください。

アクション1:直近の支払いをなんとかする

今日はまさに月末です。もはや支払いに詰まったという方もいるかもしれません。また月末をやり過ごしても月半ばに給与の支払いなどがくる方もいるかもしれません。ここはもう自力で乗り越えるしかありません。身も蓋もありませんがこれは厳然たる現実です。なぜなら公的な制度はいまからどう頑張っても着金が早くて4月半ば以降になるからです。但し、自力といっても、それこそ支払いを待ってもらってもいいし、頼れる人からの借金でもいいし。とにかく融資を受けるまで直近の支払いのキャッシュを確保することに専念してください。

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アクション2:とにかく窓口へ行く

行きべき窓口は

  1. 近くの政策金融公庫
  2. 自分の店(法人)が登記している区の区役所(市役所)

です。2つとも行ってください。ちなみに公庫は国からの融資です(だから必ずしも自分の区や市の公庫でなくてもよい)。

各区役所は自治体からの認定を出す機関であり、ここで認定証をもらって銀行などの金融機関から融資を受けます。区役所の場合、「その区内で法人登記して業務継続1年」とか書いてありますが、今回は1年未満でも問題ありません。

またそれぞれの窓口によってはHPに「事前に電話で予約を」と指示があったりします。でも電話してもなかなかつながりません。つながるまで頑張ってみてください。

中には担当窓口は9時から、公庫/役所自体は8時半からの場合があります。8時半からかけてください。それでもかからなければ朝一番で行ってしっかりと順番待ちをしてください。もちろんその1回で全てが終わることはなく、何度か足を運ぶことになるでしょう。でもとにかくまずは窓口に行くことが重要です。

なぜ重要か?

いまどんな制度があり、次回までに何をしなくてはいけないか、説明してもらえるからです。だから、上記の経産省のページを眺めている間にも、とにかく窓口にアポをとってください。アポ取れなくても行って順番待ちをしてください。そして窓口で話すことは以下の3つです。

  1. いまどんな緊急融資制度があるか?(毎週のように追加されているのでより良い制度がどれかしっかり聞きましょう)
  2. ぞれぞれ必要書類は何か?
  3. 必要書類を持ち込む日(面談日)はいつか?

いま、この3.の設定が1ヶ月待ち以上になっています。急いているならば、窓口で事情を説明して早めに設定してもらえるように徹底的にお願いしましょう。これが最初から窓口までいくことの価値です。

アクション3:必要書類をそろえる

揃える書類は極めて似ています。

決算書は当然として、印鑑証明、謄本や納税証明なども以前にとったことがあるでしょう。今回重要になるのは直前月の売上データと、前年同月の売上データです。いまならば4月の申し込みになると思いますので直前月は今年の3月になります。即ち、今年3月の売上データと前年3月のデータを比べて、今年が15%あるいは20%以上落ちていることが重要となります(5%以上の減少で申し込める融資もありますが条件がやや不利になります)。

そしてもう一つ、直前月を含めた今後の3ヶ月と、前年同期の3ヶ月の比較も要求されます。即ち、今年の3月4月5月の売上予想と、前年の同期の売上実績の比較ですね。ただこれについては今年の3ヶ月は大幅に悪くなることが容易に予想されますので、よほど極端な予想値を出さない限りは問題ないかと思われます。

そしてここが重要なんですけど、このデータの確からしさ証明するために、今期と前期の月次の試算表を出さなくてはなりません。試算表って何?ってなる方、案外いるんじゃないでしょうか?簡単にいうと月ごとの決算書です。これで今年の3月の実際の売上データと去年の3月の実際の売上データを比較するのです。

試算表なんて見たことないという方、ぜひ顧問税理士さんに相談ください。試算表は年次決算の数字と整合性が当然取れてなくてはならないので、例えば自分で適当に作るとかは許されません。逆にいえば、決算をお願いした税理士さんならば必ず出せるはずです。

普段から税理士さんと親しい方もそうでない方も、ここは必ず相談して正確な数字を出してください。出す表自体はエクセルなどでOKです。今回の融資はこの数字で決まると言っても過言ではありません。

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アクション4:書類提出と面談

書類が揃って期日がきたらいよいよ面談です。

一度で終わらせるために、必要な書類が揃っているかどうか電話で事前に確認してから行くことをおすすめします(またつながるまでかける)。面談自体は書類の確認が主なので、きちっと揃えていたら何ら恐れる必要はありません。30分ほどです。

公庫の場合は、書類に不備がなければこの後審査に進み、1~2週間で融資実行に関する連絡がきます(書類を確認してもらって受領されればまず審査には落ちないと思われます)。もちろんこの時も、急いでいるならば鬼気迫る勢いで「1日でも早く」と訴えてください。担当もできるだけのことはしてくれるはずです。

役所の場合は、銀行に渡す認定書をもらうための面談です。こちらは書類に不備がなければ、翌日にはもらえます(のはずです)!そしてこの認定証が水戸黄門の印籠のごとく強力です。この認定証を銀行に持ち込むと、銀行は信用保証協会からの100%の保証付で融資を実行できます。

ちなみに信用保証協会とは、銀行との取引が浅い中小企業などが円滑に融資を受けれるように、万一融資の返済が焦げ付いても返済保証をしてくれるありがたい機関です。銀行で融資を受けたことのある方なら、最初はまず間違いなく保証協会付きの融資だったと思います。

通常時は保証協会の保証割合はまちまちなのですが(例えば80%保証ならば20%は銀行が返済焦げ付きのリスクをとる)、今回自治体の認定書を出せば100%保証されます。即ち、銀行は全くノーリスクで融資を実行できるのです!なので、銀行はよほどの事情でもない限り、今回皆さんへの融資に極めて積極的です。

なので、役所との面談の日程が決まったらすぐに取引のある銀行に行って「いま役所に認定の申請をしている。認定書をもらったらぜひ融資をお願いしたい」と言いましょう。極めて前向きに対応をしてくれるはずです。そして認定書が出たらその足で銀行に持ち込み、そこでまた銀行の指示する必要書類を揃えて、今度は銀行がそれを保証協会に持ち込みます。

保証協会から保証のOKが出たら、無事銀行からの融資となります。銀行に認定書を持ち込んでからやはり1~2週間と考えておくのがよいでしょう(もちろんここでも「早くお願いします」と懇願するのは有効です)。

最後に:幾ら借りるか?

冒頭に記したように、無償の補償と違って融資はあくまでも借金です。それがいかに低金利であろうと、返済猶予期間があろうと、いずれは返さなくてはなりません。そう考えて、申請金額を抑えるべきではと考える方もいるかもしれません。

でも、今回のオススメは「借りれるだけ借りる」です。

今回の新型コロナの影響はいつまで続くか先が読めません。そして、やはり冒頭に記したように、飲食店にとっても企業にとっても最後はキャッシュが命綱です。借りるだけ借りて、使わないで済んだらとっておけばよいのです。金利は無金利またはそれに近い低金利なのですから。

逆に、追加で借りるとなると、また上記のステップの繰り返しです。またその時はここまでの条件は出ないかもしれません。公庫にも、銀行にも、思い切った額で相談してみてください。

ざっと以上になります。繰り返してになりますが、アクションにフォーカスして記しました。それぞれの書式に何を書き込めばよいのかは、公庫や役所の窓口で質問しまくってください。丁寧に教えてくれますし、代行業者などに頼まなくても十分に自分でできるので心配なくです。

これからさらに新たな救済施策が出てきて、上記アクション以外にもいろいろできること、やるべきことが出てくるかと思います。でもいずれにしても、いま大切なのは、動くことです。不安な気持ちで過ごす時間を解消するためにも、いますぐ窓口に連絡してみてください。連絡がつながらなかったら実際に行ってみてください。一緒にこの苦難な時期を乗り越えていきましょう!!

※ 自治体により対応が異なる場合もありますので、各窓口でのご相談をお願いします。

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image by: Rick Menapace / Shutterstock.com

高岳 史典この著者の記事一覧

バブル末期の日本興業銀行、日本事業を飛躍させていたP&G、事件以降の混乱から再生へ向かうライブドア、そしていきなり飲食業界での起業。期せずして得た脈絡のないキャリアは、驚きと学びと挑戦の連続でした。今回はじめて、メルマガという形で「ここだけの話」を記していきます!

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