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重要なのは死者を出さぬこと。PCR検査の件数批判に意味はあるか

メディアでたびたび取り上げられる、新型コロナウイルス感染の有無を調べるPCR検査の件数。コメンテーター諸氏は「少なすぎる」と批判的な言を口にしますが、はたしてそれは本当に問題なのでしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者の廣田信子さんが、「医療専門家以外の人間」として知り得た情報を元に、検査件数に対して我々はどのような受け取り方をすべきなのかを考察しています。

PCR検査が少ないことは本当に問題なのか

こんにちは!廣田信子です。

新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言が出ました。とにかく、ひとり一人が、自分の行動を自制していくしかないです。本当に、私たちひとり一人が試されているのだと思います。

安倍総理の記者会見は、多方面に気配りし過ぎて、緊迫感が今一つ伝わりにくかったのは残念ですが、最初の、医療関係者等への感謝を述べ、彼らの安全に全力を尽くすというところは、安倍総理の感情が伝わりにくい言葉であっても、自分の気持ちとシンクロして、私は、何だか、うるっと来てしまいました。

テレビで紹介されていた看護師さんが目に浮かびました。親にはやめてほしいと言われたけど、自分の使命感でやっている。自宅には祖父母がいるので、うつさないよう病院の寮に泊まり込んでいる…と。

コロナ治療の最前線で働いている方の家族は、どんな思いで毎日を過ごしているのでしょうか。まさに、大事な家族を戦場に送っているような気持ちなのでは…と。それを思うと、自分が行動に気を付けることが、医療関係者の方々の負担軽減や安全に繋がるなら、それだけで頑張れる気がしました。

最前線でがんばっている方々の言葉の重さに対してマスコミの反応や、コメンテーターといわれる人の発言の軽さが際立ちます。いろいろ批判するのが仕事かもしれないけど、今、感染拡大を防ぐのに役に立つの?そんな仕事、今はいらない…と思って何だか苛立ちます。

繰り返される批判のひとつに、諸外国と比べてPCR検査の件数が少ないことがあります。しかし、今の日本のコロナ感染による重症者、死者の数の少なさからすると、これまでの検査のやり方には、それなりの合理性があったとまず認めるべきだと私は思います。もし、PCR検査の数が少ないために感染拡大が見えないところで進んでいたとしたら、重症者、死者の数が、こんなに低く抑えられているはずはありません。死者の数は明確なデーターです。

PCR検査をたくさんやって、たくさんの死者を出している国を日本も見習うべきというような発言は、意味がよくわかりません。水際対策が甘く、PCR検査の数も少なかった日本で、死者の数が圧倒的に少ない理由は、様々な要因があって、簡単には分析できないでしょうが、諸外国で感染者が多いのは、PCR検査の仕方そのものにも要因があるのでは…という感染症対策の経験があるドクターの発言が気になっています。外国のドライブスルー検査の様子や米国で検査を待つ人の行列を見て、あれでは、検査で感染者を生み出しているようなものだ…と。鼻に綿棒を入れて検体をとるという作業は、その作業をする側の人間に感染のリスクが高いし、流れ作業でするということは、その都度、手袋や防御服を替える訳じゃないので、次の被験者にうつしてしまう危険もあるというのです。ましてや、米国のように検査のために行列を作るなんで、感染者が確実にいる密接空間に長くいるようなものなので、そこで感染が広がってしまう…と。

さらに、PCR検査で正確な結果を出すということも大変なことなのだということが、下記の臨床検査技師の方の記事を読んでよくわかりました。

新型コロナウイルスのPCR検査が「偽陰性」となる原因は?

そもそもPCR検査というものがどういうものなのか、やっと理解できました。コメンテーターの方々は、これを知っているのでしょうか。日本は日本のやり方で、やっていけばいいのです。私は日本の最前線にいる専門家の方々の英知を信じます。

日本で、今、行われているのは、肺のCTスキャン検査やMRI検査で、コロナ感染を選別していくというものだといいます。画像診断でかなり正確にコロナ感染を選別できるようになっています。そして、コロナ肺炎が判明した患者の治療と救命に全力をつくすというものです。ですから、肺炎の症状がない軽症の人から、PCR検査をなかなかやってもらえないという不満が出ます。

私たちは、自分が感染しているかいないのか「白黒」を知りたがり、WHOや評論家や政治家は、感染者の「数」を知りたがる。そのためにPCR検査、PCR検査といいますが、今、重要なのは、死者を出さないことだと思います。

医療システムを崩壊させないための軽症者用の宿泊施設も整いつつありますので、これからは、PCR検査件数も増えるのではないかと思います。死者の数だけに注目しつつ、現場の専門家の方々の英知を信じて、余計な雑音に耳を貸さないで、できることをやっていきたいです。

そうすれば1カ月後必ずよい結果が出ると信じて。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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