危機管理のプロが嘆く、識者も整理できないロックダウンのあり方

2020.05.11
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by MAG2 NEWS編集部 u
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「悪循環を避けるにはロックダウンしかない理由」「緊急事態宣言も強制力なし。台湾式リーダーシップを」など、感染症対策に関し、一貫した主張を続ける危機管理の専門家で軍事アナリストの小川和久さん。主宰するメルマガ『NEWSを疑え!』で、読売新聞に掲載された学者2人のロックダウンへの認識不足を正します。今回の日本の取り組みでは終息に導けなかった事実と、徹底したロックダウンで感染を抑え込んだ台湾の取り組みを教訓に、次なる感染症への備えとして、ロックダウンの目的と位置づけを明確にする必要があると訴えています。

一般論でロックダウンを語るな

4月30日付の読売新聞朝刊の「論点スペシャル」に、コロナ対策について3人の論者のコメントが掲載されました。篠田英朗氏(東京外国語大学教授)、細谷雄一氏(慶應義塾大学教授)、野口元郎氏(弁護士)という顔ぶれで、いずれも日本を代表する知識人です。

楽しみにしながら読み進んだのですが、細谷氏のところでロックダウン(都市封鎖など)について整理が必要な見解にぶつかってしまいました。細谷氏は言います。

「“劇薬”であるロックダウンは短期的収束のケースには向いているが、長期化すると経済は疲弊し、自由を求める市民の反動が起きる」   「法制上、ロックダウンができない我が国の自主的行動変容を求めるやり方は、生ぬるく見えるが、比較的問題は少なく、持続可能なコロナ対策と言える」

篠田氏も似たような見解を示しています。

「欧米をまねてロックダウンすべきだと批判する声もあるが、日本は日本のやり方でやってきた。世界最高水準とはとても言えないが、死者数などを欧米に比べ相当に抑え込んでいる。卑下するよりも、特性をいかすことを考えた方がいい。   日本モデルの最大の課題は、その特徴を把握する『意識化』がされていないことだ。せめて政治家はモデルの強みと弱みをきちんと認識し、地道に努力している人々を戦略的に支援してほしい」

以上の見解は、ロックダウンを事態終息への取り組みの中に適切に位置づけていない点で、日本政府の対応や国民一般の認識と同様の一般論でしかありません。

なんのためのロックダウンなのでしょうか。目的ははっきりしています。終息が遅れるほどに医療崩壊が起き、経済活動の低迷により財政逼迫につながり、補償どころではなくなる恐れがあるからですが、それだけではありません。国民の生命に関わる危機はコロナだけではないからです。いつ大規模災害が起きるかもしれず、日本周辺海域で小規模な武力衝突が起きる可能性も皆無ではありません。感染拡大のうえに緊急事態が重なったら、目も当てられないことは言うまでもないことです。

このように考えれば、国民に不自由な生活を強いたり、経済活動を休止させたりする期間を極力短くし、一気に感染を抑制していく取り組みがロックダウンなのだと理解できるでしょう。

むろん、都市封鎖と言っても生活必需品の買い出しや散歩、ジョギング、在宅勤務できない業務の通勤などは許可証によって認められますし、重要インフラや物流なども確保されます。これを徹底すれば、それこそ1~2か月ほどで収束の兆しを掴み、段階的にではあっても経済活動を再開することが可能になるでしょう。そのためには一定の罰則を設けることも避けられません。

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