危機管理のプロが嘆く、識者も整理できないロックダウンのあり方

2020.05.11
by MAG2 NEWS編集部 u
 

実を言えば、5月5日の時点で感染者438人、死者6人とコロナの抑制に成功している台湾は、言葉こそ使っていないものの、国全体をロックダウン同様にして大きな成果を挙げているのです。

いち早く外国からの入国を遮断し、帰国者や感染者の自宅隔離のケースについては携帯電話のGPS機能を使って管理し、違反者には日本円で360万円の罰金を科しています。違反者が公共交通機関を利用した場合は720万円の罰金というのですから、違反者が出ないのも道理です。

台湾政府のナンバー2である陳建仁副総統は、公衆衛生学の専門家として重症急性呼吸器症候群(SARS)に対処した経験者です。そこまで徹底しないと、医療崩壊を防ぎ、速やかに国民の自由を回復し、経済活動を再開することは難しいとの認識から、上記のような基本方針を打ち出したのです。

細谷、篠田両氏が言うように、日本独自のやり方を追求するのはよいことです。しかし、それは日本方式のロックダウンから始めるべきものです。感染拡大を断ち切らなければ、どんな妙薬も効果を発揮しないことを忘れてはなりません。

3人の論者のうちで野口氏だけは、基本的に私と同じ見解を示しています。

「新型コロナウイルスは、我々が考えているよりはるかに危険で深刻かもしれない。医療現場から日々発せられる悲鳴にも似た警告を聞くと、これは人類にとって未曽有の危機である。拡大を防ぎ、早急に封じ込めるためには、一定の時間、全国民ができることを全てやることが必須であろう。そのためには、強制力をもってでも執行(エンフォース)するという不退転の決意を政府が国民に示すことが必要ではないか」

いま必要なのは、これまでの取り組みから教訓を学び取り、ロックダウンについても目的と位置づけを明確にする中で、次なる感染の拡大や新たな感染症への対策を向上させていくことだと思います。(小川和久)

image by: Ned Snowman / Shutterstock.com

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