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会社からの「割増退職金」オファーを絶対に断ってはいけないワケ

新型コロナウイルスによる業績悪化で、今後ますます採用する企業が増えると思われる早期退職制度。会社側から制度利用を打診された際、つまりは自分が「リストラの対象」となっていることが判明した時、どのように動くのが正解なのでしょうか。今回の無料メルマガ『サラリーマンで年収1000万円を目指せ。』では著者の佐藤しょ~おんさんが、自身の経験を交えつつ、「リストラに遭う時の対応策」をレクチャーしています。

狙うは割増し退職金

リストラリストラって言ってますけど、日本は世界的に見ても非常に解雇の難しい国でして、会社が潰れない限りは、事実上解雇ができないようになっています(揉めないのは懲戒解雇くらいですから)。

だからいくら景気が悪いからといって、自部門の業績が悪化したからといって、簡単に解雇という手段を執ることはできないんです。ここは労働者は須く理解すべきポイントです。

結局のところリストラといっても、最後は本人が納得して辞めたという形、体裁になっているものがほとんどです。ここで注意すべきは、そのリストラが会社都合での解雇なのか、本人都合による離職なのかです。前者であれば、最悪の場合裁判をすることで、身分保全ができる(つまり解雇が無効になる)というケースもあるんです。

ですから会社側は、なんとかして本人に自発的に辞めてもらおうとするわけですよ。大企業がやっている追い出し部屋って要するに、そういうところに閉じ込めて、嫌気が差すようにして、自ら辞めますって言わせるための装置ですから。事情がどうであれ、本人都合つまり自己都合での退職となると、これは退職願を出した途端に、裁判は厳しくなります。無実の罪で捕まったのに、自白してしまいそのことが供述調書に書かれたようなものです。

ここが分かると、リストラに遭う時の対応策が見えてきます。

会社としては裁判という最悪の結論にならないように、なんとか自己都合で社員に辞めて欲しいわけです。そうなるための最大のエサが、早期退職制度なんですね。これは例えば50歳以上の社員全員に、

 ● 今退職するのなら、退職金を割り増ししてお支払いしますよ

という通知を出して、応募してきた人たちを自己都合で辞めてもらうというやり方です。自己都合とはいえ、たっぷりとおカネをもらっているので揉めることはありません。あなたがリストラの当落上にいるのなら、この割り増し退職金が出ないかを見極め、場合によっては要求したら良いと思います。どうせ辞めようと思っているのなら、後は辞めるという行為をマネタイズすべきなんですよ。会社側はどうにかして人員を削減させたい、でも裁判で揉めるのはイヤだと考えているんですから。おまけにあなたも、割増退職金をもらえるのなら、辞めても良いと思っている。それなら交渉はその一点に絞られるわけですよ。

私はサラリーマン最後の会社で、退職勧奨を受けたんですが、まさにこの交渉をやったんです。私は会社に、会社都合で辞めることと、割増退職金(外資ではパッケージとかシビランスっていいます)の2点を要求した交渉をしたのです。もちろん会社都合とはいえ、割増退職金をもらって辞めたらもう裁判はできませんよ。裁判をするのは、あくまでも自分は絶対に辞めたくない!というケースで、一切の譲歩を(割増退職金も)拒否する場合ですからね。

これは駆け引きのゲームですから、駆け引きが上手な人はたくさんもらえて、下手な人は最低限のおカネしかもらえないことになります。たくさんもらった人は、他の人に自慢なんてしませんし、会社から他言無用とクギを刺されますから、誰がいくらもらえたのかという情報は、なかなか表に出て来ません。

ちなみに私は、この交渉で在籍たったの3年だったのに、850万円をもらいましたから。おまけに退職金としての所得でしたから、ほぼ無税でした。まさにごっつぁんでした!という感じですね。

ちなみに追い出し部屋って、そういう会社側のオファーを蹴った人が入れられるんです。会社もおバカじゃありませんから、最初は穏便にことを済ませようと、下手に出ておカネの話をするんですよ。ですから、この話があなたにもたらされたら、そのオファーを断るイコール、追い出し部屋に行かされるか、裁判で決着を付けるかのどちらかしかないのだ、と知っておくべきです。これはどちらも同じくらい最悪の選択ですから。

なぜ最悪なのか?を次回解説します。

会社にしがみついても良いことは無いよ

あなたがリストラの対象になると、会社はまずは下手に出て来ます。そこで割増退職金の話が出て来るのが良くあるパターンです。私はこの状況になったら、必ず会社を辞める方を選択すべきだと考えています。

その理由は、ひとつはそこで留まっても、あなたが浮かび上がる目が無いからです。リストラの対象になったということは、(あなたが優秀かどうかに拘わらず)会社はあなたをこの先に戦力だと認めないという宣言をしたのと同じなんです。そんな人が、たとえこれから先、景気が良くなっても幹部に登用されたり、出世したりすることは考えにくいんですよ。特に日系企業では、それはほぼありません。

なぜならば、同じ状況下で、リストラの対象になっていない人がいるからで、当然チャンスはそちらの人の方が優先的に回ってくるだろうからです。その人たちにあなたは負けたということなんですから、そこはアタマを切り替えるべきなんです(外資なら、経営陣が入れ替わったらガラッと全てが変わるのでその限りではありません)。

もうひとつの理由は、それでもそこに居座ろうとすると、会社は手のひらを変えて、厳しくあなたに対応するだろうからです。日本の労働基準法では、会社都合による一方的な解雇には厳しい反面、それ以外の部分では相当の裁量を会社に認めているんです。ここはアメリカなどと大きく異なる部分です。

アメリカなどでは、採用時にジョブディスクリプション(職務記述書)が明確にされ、その枠内の仕事しかさせられませんし、その枠内の成果で給料が決まるんです。ユーザーサポートという職種で雇用された人間が、会社の都合で営業に転属したりすることは許されないんです。ところが日本の会社では、それがユルいというか、新卒採用ではそんな縛りは全く無くて、何でも良いから会社の都合の良い仕事をしなさいということが許されているわけです。これを会社の裁量権といいます。

この裁量権が強いので、社員の意志に反した転勤や転属、配置転換が、かなりの部分会社の自由意志でできるんです。それは会社の持つ権利ですから、あなたが会社に居座ろうとしたら、少なくとも今までと同じ仕事はやらせてもらえないと思います。地方にオフィスがあれば、そちらへの転勤や単身赴任を告知されるかも知れません。社員はこれに抗えません。唯一抗う方法は、辞めるということだけです。もちろんその時には、自己都合ですから、割増退職金をもらえない可能性もあります。その最悪の結末が、追い出し部屋ですから。

体力のある会社は、あなたが音を上げるまで、このような理不尽な転勤や配置転換をするでしょう。それでもあなたが辞めなければ、次には人事評価が低い、成果を出していないということで、PIP(成果改善プログラム)なるものをやって、あなたが会社の求める基準に達していない、だから解雇するのだという道を選ぶはずです。小さい会社は最初からこれをやるかも知れません。このプロセスをすっ飛ばして解雇することは、労働基準法違反ですから、どの会社の人事部もこのプログラムを用意しています。

その挙句の果てが裁判となるわけですが、これが最悪の一手です。最悪というのは、労働者にとってであって、会社にとってではありませんよ。なぜならば、これは労働裁判ですから、こんな面倒なことをする人間をこの先雇用しようとする会社が無くなることを意味するのです。裁判は相手が大きな会社なら、たいていの場合、労働者が勝つのですが、それでも会社の裁量権は変わりませんから、この先その会社で楽しい業務ができる可能性はゼロですね。裁判の結果、金銭で和解したとしても、裁判をやったという記録は残りますから、次の転職が見つかる可能性が著しく下がるのです。

どんな会社だって、そんな面倒なことをやらかした人を自社で雇いたいとは思わないでしょ。入社して気に入らないことが起こったら、また裁判をするかもしれないな、って人を雇うわけがないんです。あなたが業界で偏差値70レベルの逸材なら話は別ですが(そんな人はリストラされませんっての)。

これをまとめると、不幸にしてリストラ対象者になってしまった場合には、ニッコリ笑って割増退職金の交渉を極限までやって、早く次の会社を見つけてオサラバするというのが最善手だということです。そのために、次の会社の目星は考えておく、そのための準備をしておくということが大事になるんです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤しょ~おん 【発行周期】 平日刊

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