もう米国には頼れぬ。それでも日本に敵基地攻撃能力は不必要か?

 

日本は、「アメリカ没落」に備えよ

私が本をはじめて出版したのは、15年前の2005年です。『ボロボロになった覇権国家』という名前でした。

「アメリカ発の危機が起こって、没落する」という内容です。08年、実際にアメリカ発の危機が起こり、「アメリカ一極世界」は崩壊しました。09年から世界は、「米中二極時代」に突入したのです。そして、2018年から「米中覇権戦争時代」に入りました。私は、「アメリカが勝つ」と予測しています。ですが、中共崩壊後、「アメリカ一極時代に戻る」とは思いません。アメリカは、ライフサイクルで見ると、20世紀のイギリス同様衰退していく方向なのです。

パワーを失っているアメリカは、中東への関与をどんどん減らしています。それで、同盟国イスラエルやサウジアラビアは「捨てられた状態」になりつつある。そして、トランプは、「ドイツ駐留米軍の数を3分の1削減する」と宣言しました。アメリカは、欧州への関与も減らそうとしているのです。

アメリカは、アジアへの関与をつづけることができるのでしょうか?10年~20年単位でみると「関与は減っていく」と見るべきでしょう。その時日本はどうするのか?今から考えて備えなければなりません。

やることは二つです。一つは、「軍事の自立」、つまり「自分の国を自分で守る力」を徐々に獲得していく。「敵基地攻撃能力」も「軍事の自立」の一環です。もう一つは、同盟国アメリカの衰退分を補う、もう一つの同盟国を作るべきです。それは、10年後に中国に匹敵する大国になることが確実なインドということになるでしょう。

時代は急速に変わっています。やるべきことは、

  • 自分が強くなること
  • 強く誠実な仲間をつくること

の二つです。今回の議論が、「軍事の自立に向かう第1歩」になることを心から願います。

image by: viper-zero / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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