ピンチはチャンス。アパレルは「デジタル化」の浸透で生き返る

 

3Dデータとアバターによるデジタルクチュール

オートクチュールのメゾンでは、顧客全員のボディ、頭型を作り、服や帽子を立体裁断で作っていました。現在もシルクドソレイユのからだにフィットした衣裳や仮面はオートクチュールの手法で作られています。これをそのままデジタル化することができないでしょうか。

顧客の体型を3Dスキャナーで写し取り、コンピュータの中にボディを作ります。アパレルのパターンCADデータをボディに合わせて、自動的にグレーディングし、3Dシュミレーションすることで、実際に着用して歩いた時にどのように服が動くかをチェックすることができます。

レーザーによる一枚裁断をすれば、フルオーダーに近い形てオーダーメイドができるはずです。もちろん、現段階ではまだ不十分ですが、理論的にはオートクチュールをデジタル化することは可能だと思います。そして、2次元のアバターと3次元の自分が同じスタイルで登場することが可能になります。

これまでは2次元のキャラクターのコスチュームを3次元の人間がコピーしましたが、それを同時に作ることができるということです。そうすれば、ゲームの中でファッションショーをすることもできるでしょう。

編集後記「締めの都々逸」

「ゼロとイチとで デジタル化して 糸と針とで縫っていく」

やはり、デジタルは手段ですね。手段だから、使えるものは使った方がいい。でも、便利なものを追求していっても、幸せになれるわけではありません。結局、DXって「もっとデジタル投資してよ」というキャンペーンではないでしょうか。

繊維って元々デジタルの元祖のようなものです。織物の組織はまさにデジタルで表現できるし、ジャカードのパンチカードもデジタルです。でも、最終的には指先のタッチや全身で感じるフィット感が勝負です。(坂口昌章)

image by: Shutterstock.com

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