ピンチはチャンス。アパレルは「デジタル化」の浸透で生き返る

 

店舗と工場をデジタルで直結する

日本の縫製工場は、生地を支給され、縫製工賃を受け取って、アパレル製品に加工します。数量も指図された通りに裁断し、縫製します。海外のOEM工場は、自社で生地を仕入れ、製品を販売する形態です。そのため、オーダーがあれば、期中で追加生産することも可能です。日本は、アパレル企業(商社)が生地を調達しない限り、追加生産はできません。

かつて米GAP社は、インドのOEM工場と店頭情報を交換し、売れ行きの良い商品は、追加生産する契約を結んでいたそうです。つまり、工場が世界の店頭を見ながら、追加生産の段取りを行うことができるというわけです。もし、追加生産ができなければ、次の企画の商品が展開されることになります。アパレル企業が全ての意思決定をするのではなく、情報データを結ぶことで、意志決定が分散されるということです。

例えば、パターンについても、縫製工場が作っても良いわけです。そうなると、アパレル企業はサンプルのアプルーバルをすれば良いことになります。これは、前述したパターン会社との連携も可能であるということです。

クリエイティブディレクター、デザイナーとのデジタル連携

デザイナーは都会にいることが多く、縫製工場、テキスタイル工場は地方にあることが多い。これら3者をオンラインでつなげば、ファクトリーブランドができるかもしれない。クラウドファンディングを活用して、ブランドのストーリーを紹介し、テキスタイルの特徴、縫製の技術をアピールし、それぞれの顔が見えれば、顧客にとっても魅力的ではないか。

あるいは、日本のテキスタイルメーカーが世界の10人のデザイナーにオファーしてコレクションを作ることも可能だ。テキスタイル、縫製、デザイナーが、フリーな立場でつながることで新しいクリエイションが生まれる可能性がある。

あるいは、クリエイティブディレクターがブランドのテーマや考え方を公開して、それに共感するメーカーを募集して、コレクションを作ることもできるかもしれない。

print
いま読まれてます

  • ピンチはチャンス。アパレルは「デジタル化」の浸透で生き返る
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け