新型コロナウイルス感染症によるロックダウンから段階的に経済活動を再開しているアメリカニューヨーク。6月22日から小売店などが営業できる第2フェーズに移行したことを受け、『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』著者のりばてぃさんが、マンハッタン5番街に並ぶ高級店の感染予防対策についてリポートしてくれました。ただし、営業を再開していない店もあり、イタリアの高級ブランド「ヴァレンティノ」は、ビルの貸主に対してリースの解除訴訟を起こし話題となっているようです。さて、その理由とは…
高級店の新型コロナ対策とは?
6月22日からニューヨーク市で経済再開の第2段階(フェーズ2)に移行し、対面での小売店販売が再開した。もちろん、6フィート(約2メートル)のソーシャル・ディスタンシングを保ち、店内ではマスクの着用を義務付け、また、入店可能な人数を収容人数の50%に制限する…等々の『新型コロナウィルスの感染予防対策』の制限付き。
それでも店内の買い物を楽しみにしていた人は多かったようで、ニューヨークに限らず他州での客足、例えば、高級デパートのサックス・フィフス・アベニューは、フロリダやテキサスでコロナ感染者が急増しても、買い物客は減っていないと報じられている。
● Saks Fifth Avenue says shopping hasn’t dropped as coronavirus cases rise in Florida, Texas
では、マンハッタンの5番街はどうなのか?ということでお散歩がてら視察に行ってきた。高級ブランド店や高級デパートなど、そのお店がラグジュアリーになればなるほど『新型コロナウィルスの感染予防対策』も、より「ハイエンド」(“high-end”)で念入りなものになる傾向があるようだ。
特に、世界的に有名なショッピング通りのニューヨークの五番街にある高級ブランド店や高級デパートではその傾向が顕著。実際、お客さんだけでなく、店員である従業員の安全も守る姿勢を明確に示している小売店が多めという印象を受けた。
例えば、五番街を代表し、世界一のデパートとも評される老舗の高級デパートのバーグドルフ・グッドマン(Bergdorf Goodman)では、五番街沿いの正面入口前のドアマンがお出迎えしてくれる。理由は事前に予約したお客さんのみ入店できるためなのだけども、空いていれば、その場ですぐにアポを入れることもできるそうでその対応。また、店内で余計に時間を費やさないよう事前に希望のフロアに行く手順を案内してくれるとのこと。予約はオンラインで可能。
高級ブランドのカルティエ(Cartier)も事前予約が必要。5番街沿いの正面入口は閉まっており、入店するお客さんの数や動きを制限するため、入り口はストリート沿いの1つのみとなっている。
同じく五番街沿いにあるザラ(ZARA)は店頭に行列ができていて、予約は取らないため来た人から入場制限内で入店できる。5番街沿いや周辺店舗の状況はthinknumに掲載された以下の記事に地図でまとめられているので確認できる。
● A walk down Fifth Avenue: what reopening looks like for luxury brands
ちなみに、すべてのお店が万全に準備できるわけではないようで、高級ブランド店のヴァレンティノ(Valentino)は…because the coronavirus is stopping it from conducting “high-end” business(コロナウィルスのせいで『ハイエンド』ビジネスを行えないから…)、また、もし規制が多少緩和されても、ソーシャル・ディスタンシングやその他の制限が続けば小売店舗をリース締結時に思い描いていたようには運営できない…という理由で店舗のリース契約を一方的に打ち切る訴訟をおこし、NYポストの記事などでニュースになっている。
● Valentino sues NYC landlord to get out of 5th Ave lease amid pandemic
ハイエンド・ブランドというだけで対策にもお金がかかることが予想されるし、何よりブランディングとして対応できないという判断なのだろう。ただ商品が買えれば良いってだけではなく空間デザインなども関係するのだろうし…。今後どんな対策をとっていくのか非常に興味深い。
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