国会でも「日本が敵基地攻撃能力を持つことは憲法第9条に反しない」との主張が再開されることになりましたが、いままで日本の軍事化の急展開を良しとしてこなかったアメリカも、中国の覇権国としてのプレゼンスの強化と、太平洋への野心、そして脅威と緊張が高まり、韓国が同盟グループから離脱してRed Teamに入ってしまった状況を受け、アメリカも「イージス・アショアのビジネスよりも、アジア・太平洋地域の安全保障とアメリカのプレゼンスの確保に向け、代わりに敵基地攻撃能力強化での協力に変えたほうが理に適う」と見ているようだとのことです。
日本の国会議論、特に憲法第9条に関する議論を見ていると本件が実現化するまでに相当の時間がかかるかと思いますが、これまで動かなかった大きな岩がごろんと動いたことで、その流れは止められないかと考えます。
結果どうなるか。かつての米ソ冷戦では、双方の対立の最先端は東ヨーロッパだったといえます。北緯38度線の南北朝鮮分断線もその最前線と言えますが、どちらかと言えば、こちらは中国共産党と米国の同盟勢力との対立の分岐点と捉えられてきました。それが今、南北朝鮮が中国サイドのred team化したことを受け、米中両国によって“戦われる”新冷戦下では、恐らく『日本列島が両勢力(2大覇権国)の衝突の壁』となるのではないかと思われます。
現実には起こりづらいと思いますが、有事には私たちの上を核ミサイルが飛び交うような状況も皆無ではないかもしれません。まあ、妄想だと批判されるかもしれませんが。しかし、そうなった場合の日本としての対応を真面目に検討し準備しておかなくてはならないような状況にはなってしまったといえるかと思います。このアメリカのアジアシフトは、11月の大統領選挙でトランプ大統領が再選されても、バイデン氏が新大統領に選出されても、変わることはないでしょう。
これまで中国の太平洋への進出を阻んできたのが、この日本列島であり、オホーツク海におけるロシアの制海権の存在、津軽海峡と関門海峡を“閉じる”日本の海上自衛隊の潜水艦、そして尖閣諸島周辺海域での日本(そして在日米軍)の実質的なコントロールでした。
1つ目から3つ目についてはなかなか変化することは考えられませんので、中国サイドはもっとも広く、またコントロールが十分に及んでいないと考えらえる沖縄・石垣海域に位置する尖閣諸島の実効支配を確立できれば、宿願の太平洋への窓口が確保されるとの戦略があります。それを日米が協力して阻止しようとしているのが現在の状況です。
最近、これまでにないほど、アメリカ政府が尖閣諸島周辺海域での中国の恣意行為に言及し、外交的にも安全保障上も日本側の肩を持ち、必要とあらば同海域での衝突も辞さないとする姿勢を取っている理由が少しは明らかになってくるのではないでしょうか。ついに世界の地政学上の緊張の中心がアジア・太平洋地域に設定されようとしています。その“中心”に位置することになる日本は、この新常態にどう対応していこうと考えるのか。
コロナに悩まされ、大雨による大災害に見舞われ、政治がまともに機能していないような状況ではありますが、日本に迫りくる国際情勢の荒波はもう近くまで押し寄せてきているのではないかと感じています。これが全体ではないですが、私が考えるAfter/with Coronaにおける新しい世界の姿です。
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