例えば新入社員を採用する人事担当者であれば、新人の基礎能力をいちいち定性的な情報で探ることは面倒です。基礎能力検査などのスコア(数字)が入手できれば楽です。「数字を求めたほうが、あなたの仕事は楽だよね」ということが伝われば、部下は勝手に数字を求めて仕事をし始めます。
ちょっとエクササイズをしてみましょう。
Q、あなたの部下(後輩)をひとり設定してください。実在する人物であることが重要です。その人物が数字を使って仕事をしたほうがいいメリットは?言語化してみてください。
「デキる人は数字に強いから」といった抽象的な表現ではメリットを感じません。具体的に言語化することがポイントです。つまり、自分の(部下の)仕事を深く理解していないと答えを出せない問いですね。よくある間違った指導は、「べき」で強制することです。
× 「数字を使うべき」
○ 「数字を使ったほうが得」
理由に腹落ちしない行為を強制しても、部下は絶対にやりません。強制という概念がパワハラという言葉を想起させる時代になっています。ご注意ください。
こうしてポイントを整理していくと、ビジネスにおける数字力とは何かがはっきりします。お勉強の出来やいわゆる偏差値といったものとはまったく関係ないリテラシー。数字に強いとは、計算力(暗算力)といったものとはまったく違うものであること。
ああ、結局いつも私がこの授業で申し上げている結論に至ってしまいますね。数学とビジネス数学はまったく違うのだと。今日のテーマは、きっと「ど真ん中」の話です。皆さんもぜひ逃げずにやりましょう。
最後に、私はこのようなテーマで研修をする際に必ず事例としてご紹介するストーリーがあります。逃げずにやった人の話です。メディアでも数多く取り上げられた、ある経営者の七転八倒。今回の授業のすべてが、この実話に当てはまります。
この授業にご参加の皆様には、ぜひ読んでみて欲しいと思います。どうすればあなたの部下は数字を読んでくれるのか?この問いの答えになっているはずです。
石坂産業(埼玉県三芳町)の石坂典子社長『社員はなぜ、数字に興味を持ってくれないのか?』
そろそろ時間だ。今日はここまで。
image by : shutterstock