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「アトピーに薬の使いすぎは良くない?」筋トレのプロに聞いた

厚生労働省の平成26年の資料によればアトピー性皮膚炎の患者数は45万6千人とあり、年々増加傾向にあるようです。病院で処方される薬にステロイド剤がありますが、頻繁な使用を心配しほかの対策はないかとの相談が、メルマガ『届け!ボディメイクのプロ「桑原塾」からの熱きメッセージ』に届きました。著者でサプリメント開発にも携わる桑原弘樹塾長は、まずアレルギーが起こるメカニズムとステロイド剤がどのように作用するかを解説。薬を用いながらも、総合的な対策として適度な運動の必要性を説いています。

アトピー性皮膚炎のお悩み

Question

アトピー性皮膚炎で悩んでいます。アレルギー体質なこともあって、ひどくなると集中力が落ちていきます。ステロイドの薬をつけるとよくなるのですが、あまりつけると良くないと聞いたので普段は我慢をしていてひどくなった時につけるようにしています。何かいい対策法はありますか?人生を随分と損をしているように思えてしまいます。(39歳、女性)

桑原塾長からの回答

アトピー性皮膚炎は昔からありますが、どちらかと言えば乳幼児が中心でその後就学するころにはよくなっていくというケースと、若い頃にはあっても中高年になるとおさまっていくケースが多かったように思うのですが、最近は年齢に関係なく広がっている気がします。私も喘息もちでありいわゆるアレルギー体質なので、肘の内側など局所的ではありますがアトピーぽく皮膚が炎症を起こす事があります。

ステロイドの使用についてですが、これは医師の指示に従って使用するというのが原則となりますが、基本的にステロイド剤は効果がある治療薬であることは間違いないです。ステロイド剤はコルチゾールといわれる副腎皮質ホルモンによく似た構造の薬です。

副腎皮質ホルモンはストレスホルモンなどと呼ばれたりもしますが、ストレスを緩和してくれるホルモンで、アトピー性皮膚炎になるとストレスが長期間続くために自分で十分な量の副腎皮質ホルモンを作る事が出来なくなっていくのです。

ステロイド剤の炎症抑制の効果とストレス緩和の効果によって、症状は軽くなっていくわけです。ところが使い続けることによって今度は自分で作る能力が減ってしまうため乱用も禁止されています。

では勝手に止めたり使い始めたりでいいのかという点ですが、ここが難しいところなのです。急に止めたりするとやはり体内でストレスを緩和するホルモンが足りなくなってしまうため、様々な副作用が起きてきます。更には症状がより悪化してしまうリバウンドの危険性もあります。そういった諸々のリスクを考えたうえで、ステロイド剤は処方されているので、なるべく医師の指導のもとに使用や中止を検討していった方がいいと思います。

かくいう私も実は普段は使わず、症状が出て我慢ができなくなると少し使うというNGパターンを繰り返しています。大いに反省ですね。

またアトピーは皮膚炎ですから、お肌のケアは大切です。直接肌に触れる部分は自然素材のものにしたり、界面活性剤などを多く含む洗剤は避けた方が無難かもしれません。季節を問わず保湿にも気をつけておくといいのではないでしょうか。

そもそもアトピー性皮膚炎は、どのようにして起きているのでしょうか。アレルギーなのできっかけは異物が侵入してくることです。花粉などの異物をマクロファージという免疫細胞がどんどんと食べまくります。マクロファージは抗原提示細胞などと呼ばれ、その異物の情報を同じく免疫細胞のTリンパ球に伝えます。このT細胞も幾つかの種類に分かれていますが、特にアレルギーに対して反応を起こすT細胞(Th2ヘルパーT細胞)が異物に反応を起こします。

その結果、そのT細胞からIL5(インターロイキン5)というサイトカインが作り出され、更にはこのIL5を受け取った好酸球という免疫細胞が増殖することになります。好酸球は抗体に捕まった病原体を狙い撃ちしてやっつける役割の免疫細胞ですが、どんどんと増え続ける事で細胞をも攻撃する物質を作り出してしまい、最終的に炎症が悪化していくという流れです。

ステロイドはこの一連の流れの中で、ヘルパーT細胞からIL5が作られるのを邪魔する役割をしているため、最終的に好酸球にまで刺激が及ばず症状が現れないようになります。

アレルギーは非常に奥が深い世界なので、総合的に対応していく必要があります。運動やトレーニングはあらゆる健康にとって不可欠な存在です。それは筋肉という限られたものではなく、体全体に対しての効果であり、その中には免疫システムも含まれています。過度なトレーニングは逆効果ですが、それは体が適応から拒絶に移ってしまうからです。適度な運動でいいのです。

「漸進的向上」という言葉がありますが、少しずつ進化するというまさに人間の適応力を表現した言葉だと思い、たまに好きな言葉を聞かれると答えるようにしています。元々はミスターユニバースの杉田会長が色紙に書かれていた言葉でした。

ライフスタイルの見直しをする事で、アレルギーは完治はせずとも抑制できるはずです。そしてそれは単にアレルギーの改善にとどまらず、よりトータル的に心身の健康に寄与するものであるはずです。少しずつ改善していくのがコツかもしれません。

image by: Shutterstock.com

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桑原塾塾長 桑原弘樹は、国内大手食品メーカーでサプリメント事業を立ち上げ、全商品の企画開発に携わる一方、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部PDAなどの立場で、国内外問わず多くのトップアスリートに直にコンディショニング指導を行ってきた。サプリメントは作るだけにとどまらず、「日本で一番使っているのでは」と豪語するほどのユーザーでもあり、年間300回のワークアウトも欠かさない。サプリメントやダイエットなどの分野で、多くの情報が散乱する昨今。サプリメントを作り、自ら試し、活用法を指導してきた、桑原塾長が、本物で価値あるボディメイク情報を提供すべく、スクランブル発進する!!!

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