市場もネットも米中が二分。動き出せない日本を待つ暗すぎる明日

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世界がコロナ禍に喘ぐ中にあって、覇権を手中に収めようと虎視眈々の中国。もちろんアメリカも黙っているはずがなく、サプライチェーンからの中国企業の排除に向けた動きを加速させています。米中に二分されつつある今この時、日本は何を羅針盤とし、どこに向け舵を切るべきなのでしょうか。今回のメルマガ『j-fashion journal』ではファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんが、岐路に立つ日本が進むべき方向について考察しています。

米中がインターネットと世界市場を二分する時代へ

みなさん、こんにちは。米中貿易戦争は、米中人権戦争になり、米中5G戦争になろうとしています。そして、世界のコロナ禍は全く収まりません。1週間で目まぐるしく状況は変わっていきます。しかし、日本のマスコミは世界の動きを伝えず、内向きです。

もし、日本企業の経営者が何も考えずに、コロナ禍が収まるのを待っているだけなら、日本の将来は暗いと思います。しかし、もし、大きな可能性に賭けるという思いがあれば、中国を凌駕できるかもしれません。

1.中共の5Gと監視パッケージ

次世代通信網の5Gは、通信性能がPREMIUM 4Gの約20倍に高速化され、同時接続端末数は約10倍になり、通信の遅延はほとんどなくなるという。ドコモが紹介する5Gがある未来はこんなイメージだ(「第5世代移動体通信システム「5G」が創る近未来」)。

  1. ショベルカーを自宅から操作できる
  2. ロボットの精緻な連動が可能に
  3. 花火大会で「スマホが繋がらない」が過去のものに
  4. 誰もが“顔パス”の世界へ
  5. スマートカーで事故ゼロ・渋滞ゼロの社会に
  6. 超高品質VRでよりリアルな疑似体験を

以上のような前向きでワクワクするようなイメージが紹介されている。

しかし、技術は良い方向に、悪い方向にも活用できるものだ。例えば、コロナ禍の期間中に、中国は国民監視システムをほぼ完成したと伝えられている。

  1. GPSと連動したスマホアプリで、行動が記録され、感染リスクのある人と接したかどうかがチェックできる。これにより、完全に個人の行動が把握できる
  2. ドローン、監視カメラと顔認証技術とAI技術により、10億人以上の中から個人を特定できる
  3. 5Gにより、大容量の画像データがリアルタイムで収集できる
  4. IoTとカメラにより、家電製品等が全て監視システムとして活用できる
  5. ビッグデータ処理が可能なAIにより、インターネット上の情報の監視とコントロールができる

もし、世界中に5Gネットワークが完備し、バックドア機能のついた中国製の通信機器が使われれば、世界中の情報は全て中国共産党が収集、分析、コントロールできるようになる。これと香港国家安全維持法により、中国共産党は世界中から個人を特定し、人権弾圧することが可能になるだろう。

もちろん、技術を悪用するかは分からないが、実際にウイグル人、チベット人、モンゴル人等は人権弾圧を受けている。

2.米国防権限法で中国5社を政府調達から除外

2019年8月13日に、米政権は、国防権限法により、華為技術(ファーウェイ)、中興通訊(ZTE)、海能達通信(ハイテラ)、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)、浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)の中国企業5社から製品を調達するのを禁じる措置を発効させた。実施は2020年8月13日である。更に、この5社の製品を使う企業も米政府との取引は禁止され、そこには日本企業800社も含まれている。

中国企業、日本企業共に、米政府とのビジネス額は少ないだろう。だからと言って、影響がないと考えるのは大間違いだ。

まず、米国政府は同盟国に同様の措置を求めるだろう。そうなれば、日本政府とのビジネスが禁止される。更に、地方政府や政府の補助金を使ったプロジェクトからも締め出されるかもしれない。

米政府は日本企業に1年間の猶予を与えた。ここで決断をしないと将来はなくなる。米政府に最も警戒されているソフトバンクでさえも、今回の米政府の措置には従う方針だ。

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