3.世界のインターネットは二分される
実は、既に世界のインターネットは二分されている。中国とそれ以外の国だ。
多くの国は、インターネット上でオープンである。互いに自由に情報交換することが可能だ。中国は、国境のようにインターネットの壁を築いている。国内から海外のサイトに自由にアクセスすることはできない。更に、アクセス制限だけでなく、情報の検閲も行っている。中共の意に沿わない情報は次々と削除され、場合によっては個人が特定され、逮捕されることもある。
中共の情報統制の一部でGAFAが協力しているという噂もある。実際、西側諸国でも、中共に批判的なコンテンツが制限されたりする。
中共は、この「インターネットの壁」をイランにも輸出しようとしている。一帯一路で連携した中国陣営諸国には、中国と同様のインターネットの壁が作られるに違いない。情報統制をしないと中共連合の統制が取れないからだ。
4.世界の市場も二分される
インターネットだけでなく、オフラインのリアルな市場も二分されようとしている。
米国は、中共の影響を受けている中国企業をサプライチェーンから外すことを目指している。そしてG11構想、経済繁栄ネットワーク(EPN)構想を打ち出している。その動きに呼応するかのように、英国のボリス・ジョンソン首相が「D10クラブ」構想を発表した。これらの構想は反中共の経済圏を作ろうという意味で共通している。各国の構成は微妙に異なるが、ほとんどが共通している。
D10は、日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダのG7に、韓国、インド、オーストラリアを加えた民主主義10カ国である。この10カ国で「脱中国の5G整備」を進めようというものだ。
G11は、G7に韓国、ロシア、インド、オーストラリアを加えた11カ国である。巨大な中国市場を切り離す代わりに、巨大な人口を持つインドを加え、ファーウェイ等の中国企業を切り離す代わりに、日本、韓国、米国等の企業が結集する。ここにイスラエル、台湾等が加われば、かなり強力なサプライチェーンと市場が誕生することになる。
前述した米国防権限法に従うかどうかは、この民主主義陣営参入の踏み絵にもなるだろう。もし、そうなるならば早めに準備をして、新たな時代に積極的に対応した方が有利になるに違いない。今、日本企業の経営者は決断を迫られているのである。
編集後記「締めの都々逸」
「天下分け目の どちらにつけば いいか分からず 何もせず」
変化の時に何もしないことは、最も危険だと思います。分からなくても、自分で考え、方向を決めて動き出す。動きながら、情報を収集、分析し、方向を修正する。その繰り返しが最適な方法ではないでしょうか。
しかし、多くの人はこれほどの変化を経験していないし、決断したこともないと思います。
このまま何もしなくても、津波のような大きな波に押し流されるのでしょう。津波を予測することと、何もしないことと、どちらが生き延びられるのか。そんなことを毎日考えています。
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