米中戦争の開戦は秒読み段階。南シナ人工島をアメリカが先制攻撃へ

 

バイデンが次期大統領になっても戦争は避けられない

結論から申し上げると、南シナ海における中国の人工島への攻撃は政策上のオプションにhigh priority matterの一つとして加えられているとのことですが、なかなか欧州や日本といった同盟国や、南シナ海に位置する関係国であるフィリピンやインドネシア、ベトナム、マレーシアなどからの同意を取り付けるのに苦慮しているため、実行するか否かは【中国の出方】と【トランプ大統領の“思いきり”】次第とされています。

ゆえにポンペオ国務長官をはじめとするトランプ政権幹部が毎日のように『対中強硬派としてのステートメント』を発し、これまで行ってこなかった【中国共産党が悪の根源】とするイデオロギー戦争をはじめ、そして【これまでの“寄り添い”型の政策では中国は民主化されなかったため、今、中国共産党による民主主義への暴挙を止めるためには我々が行動しなくてはならない】とのコメントを連日発することで、『アメリカは本気で中国と対峙する用意があるぞ』というメッセージを中国に投げかけ、【自主的な変革へのラストチャンス】というメッセージを送っているものと思われます。

ちなみに、この論調について、『11月の大統領選挙でバイデン氏が次の大統領に選ばれたら状況は変わるだろう』という非常に楽観的な意見を耳にしますが、気候変動問題や国際機関への対応は反転すると予想されますが、対中強硬論と強硬策については、現在の路線が踏襲されるか、強化されるというのが現実だと考えています。

ですので、トランプ政権の幹部が繰り返す対中強硬論はすでにアメリカの政治のコンセンサスとなっており、今後も変わることはないでしょう。

中国の側からすれば、非常に勝手でかつ一方的な主張だと考え、逆にアメリカの帝国主義的な思考を批判したくなるところでしょうが、あえて王毅外相などの外交的なチャンネルを通じた受動的な反応と反論に止めて、中国の側から武力衝突を誘発しないようにしたいとの思惑が透けて見えます。

その背後で軍事的な攻撃に備える姿勢を整えつつ、欧州各国を何とかアメリカとの緩衝材に使いたいと考えて、フランスやドイツ、英国に対する外交的な働きかけを強めています

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