米中戦争の開戦は秒読み段階。南シナ人工島をアメリカが先制攻撃へ

 

アメリカが人工島を攻撃。そのとき中国側の作戦は?

トランプ政権としては、退くに退けない状況を自ら作り出しています。(私がよく使う“振り上げた拳を下す術を失った状態”です)政権内の反中強硬姿勢もそうですが、それに加えて、議会上下院の超党派的な中国強硬論にも後押しされ、そこに大統領選を戦うバイデン氏も加わり、このままいけば何らかの形で習近平国家主席と中国共産党の中国と衝突しなくてはならなくなるかもしれません。

そこに【大統領と政権への支持率浮上のきっかけとして戦争が有効】というこれまでの例もあり、現在、11月の大統領選に向けて支持率回復に苦慮しているトランプ大統領としては、“やらざるを得ない”という判断に傾くかもしれません。

その場合、あまりcivilian causalitiesを出したくないトランプ大統領としては、最も民間人の被害が出づらく、またアジア・太平洋地域の主導権を取り戻すにあたり、最も有効な対象が南シナ海における中国の人工島と軍事拠点だと言えます。

もしフィリピンやベトナムからの“同意”が得られたら、規模については議論の余地がありますが、南シナ海を舞台に戦闘がおこるかもしれません。

そこで有事の場合、中国はどう反応するか。南シナ海海域は【不可分の国家的利益】とさえ習近平国家主席が呼んだエリアですので、“何もしない“という選択肢はないものと思われますが、全面的な戦争に発展することもないでしょう。

仮にアメリカから”中国が領有権を主張する“南沙諸島海域と西沙諸島海域の人工島に対して攻撃が行われた場合、その攻撃に対する反撃は行わざるを得ないでしょうが、もし私が中国のアドバイザーならば、反撃はそこで止めておき、『米国が覇権主義に則って、アジアに一方的に刃を向けた。これは明らかな国際法違反だ!』と外交的に非難をして、武力対立をエスカレートさせる代わりに外交的な争いに持ち込み、周辺国はもちろん、世界各国をこの外交的な戦いに引きずり込むことを進言します。

それが全面戦争を回避し、そこから波及して始まる他の火種への引火を防ぐ唯一の手段だと考えるからです。

仮にアメリカが攻撃を以て南シナ海の人工島と軍事拠点を破壊した場合、その“落とし前”をどこでつけるかはその後の外交的なやり取り次第ですが、米ソ間では起こらなかった超大国間での武力衝突が与える国際秩序への影響は、かなり大きくなるものと思われます。

print
いま読まれてます

  • 米中戦争の開戦は秒読み段階。南シナ人工島をアメリカが先制攻撃へ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け