外需主導から内循環型経済へ
逆に、むしろここでも米国から圧力がかかり、輸出主導型経済に持ち込むことが難しくなっています。前述の米中閣僚会議でも、米国からは中国に対して、輸出主導から内需主導(内循環型)経済への転換が求められるとみられます。
トランプ大統領は中国の香港政策を批判し、今後「香港製」の表示を認めず、香港への経済特権も認めないといいます。中国は香港経由で貿易や金融面で大きな利益を得てきましたが、国家安全法の香港適用によって、このメリットが使えなくなります。これも中国経済には負担となります。
さらに、習近平政権がこれまで進めてきた「一帯一路」計画も困難になります。米国は一時これに便乗する動きも見られましたが、状況が変わりました。中国が海外に覇権を広げてゆくことを阻止するため、経済面から力をそぎ、かつてソ連を崩壊させたように、経済力を圧迫することで軍事力の強化を不可能にしたい。陸海両面から経済覇権を拡大させようとする「一帯一路」を抑え込もうと考えるようになりました。
中国が香港を取り込もうとしているだけに、トランプ政権は台湾を中国化から守る動きを強めています。10日にはアザー米国厚生長官が「トランプ政権を代表」して台湾の蔡英文総統と会談しました。中国は猛烈に反発しましたが、米国は台湾を「第二の香港」にはさせないつもりです。台湾海峡での威嚇行為、軍事力の無駄遣いも中国経済には負担となります。
中国が先行する5Gや通信面でも、トランプ政権は米国内での制限を強め、快進撃を続けるTic Tokの米国内でのアプリ提供を停止しようとの動きも見られます。自然災害に加え、新型コロナ拡散の責任もあって米中関係が一段と悪化したことも、直接間接中国経済の首を絞めることになりました。中国経済のV字回復は絵に描いた餅となりそうです。
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