中国の身勝手な「南シナ海で超えちゃいけないライン」が米国を怒らせる訳

 

中華人民共和国の主張する「九段線」というのは、中国国内(中華民国も中華人民共和国も含めて)の国内的な事情によって勝手に地図上で引いた線です。

当然に周辺各国と調整してできたものではありませんし、また、他の国と協議して決めたものでもありません。

中華人民共和国は、基本的に共産主義ですので、私有財産を認めないということが彼らの内容になっています。

南シナ海は、豊富な漁場や石油、天然ガス資源、重要な航路帯になっていますから、ベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシア、ブルネイなどが中国及び台湾と対立し始め、南シナ海の領有権も主張しているのです。

諸国は中国や台湾が一方的に設定した九段線及び十一段線を認めていません。国連海洋法条約に基づいて、それぞれ自国の領有権を主張している状態なのです。

中国の九段線内側海域に対する歴史的権利の主張について、フィリピンは国連海洋法条約に基づきオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に、その違法性を申し立てていました。

2016年7月12日裁定が下り、仲裁裁判所は中国及び台湾の権利主張に「法的根拠がない」と判断したのです。

フィリピンの「人工島周辺には排他的経済水域はない」という主張が認められると同時に、南沙諸島とスカボロー礁にある全てのリーフは、法的には排他的経済水域および大陸棚を生成しない「岩」と結論づけました。

中華人民共和国の九段線の主張に対して、中華民国の大陸委員会は「争議を惹起し、現状を変えようという魂胆。両岸関係において、お互いの信頼を傷つける」と抗議声明を発表しています。

ベトナムとフィリピンでは、パスポートへの査証欄にスタンプ捺印を拒否し、新パスポートの撤収を強く主張しています。

インドでは、中国との係争地域をインド領と示すデザインの査証スタンプを採用し、中国側の地図の上に押しています。また中国の「九段線」主張全体やその海域における中国の公船や漁船の活動に関しても、厳しい態度を示すがある。

インドネシアは「九段線を認めない。中国には国連海洋法条約を遵守する義務がある」(ルトノ・マルスディ外務大臣)との立場を表明しました。九段線と向き合うナトゥナ諸島で軍備を増強し、その北方海域を2017年に「北ナトゥナ海」と改称しています。

アメリカ合衆国国務長官マイク・ポンペオは南シナ海判決4年目の翌日である2020年7月13日、中国の主張は「完全に違法」で「世界は中国が南シナ海を自国の海洋帝国として扱うのを認めない」と声明しました。

しかし、中華人民共和国はそのような状況を認めることなく、現在も環礁埋め立ての人工島の上を軍事要塞化し、また、空母などを増強して軍事支配をねらっているのです。ベトナムやフィリピンの漁船を拿捕し、またその漁業を邪魔するなど、民間船にまでそのようなことをしますので、近隣国では大きな問題になっています。

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