日本人が知るべき現実。中国の台湾侵攻で日米豪印4ヶ国連合はどう戦うか?

 

中国脅威を軽視する日本メディア

日本のメディアは、「クワッド」についてどう見ているだろうか。

『朝日新聞』(10月7日付)は、「対中国で意識差、日本難しい立ち位置、日米豪印外相会談」と題する記事を掲載した。

「茂木敏充外相は会談の冒頭、『様々な分野で既存の国際秩序が挑戦を受けている』と指摘。『我々4カ国はルールに基づく自由で開かれた国際秩序を強化していくという目的を共有している』と強調したが、中国を名指しするのは避けた。これに対し米国のポンペオ国務長官は『パンデミックは中国共産党が隠蔽して事態が悪化した』と中国を非難。『4カ国が連携し、国民を共産党の腐敗や搾取、威圧から守る重要性は増している』と訴え、対中牽制の狙いを明白にした」

ポンペオ米国務長官が、公然と中国を批判したにの対して、茂木敏充外相は中国を名指しするのは避けた。この記事には、「対中国で意識差、日本難しい立ち位置」と、クワッドの成果を低く見ようという意識が働いている。これは、事態を正確に把握していない証拠と見られる。もともと、クワッドは安倍前首相の構想である。これに、トランプ米大統領が乗ったものだ。こういう経緯からすれば、日本が難しい立場であるはずがない。

日本、豪州、インドも中国という国名を挙げて批判していないが、中国の拡張主義によって安全保障上の問題を抱えているから、クワッドに参集したのである。こういう意味で、朝日新聞の記事は、クワッドの意義を低評価しようという意識が強く働いているように思える。

『毎日新聞』(10月7日付)は、「日米豪印、対中ズレも 日本、米中を両にらみ」と題する記事を掲載した。朝日新聞と同様に、日本が米国に引きずられてクワッドに参加しているというイメージである。

「東京で6日に開催された日本、米国、オーストラリア、インド4カ国の外相会談は、新型コロナウイルスの感染拡大下で影響力を増す中国を念頭に、民主主義などの価値観を共有する『同志国』が結束をアピールする場となった。4カ国の連携に向けた機運は高まっているが、米国が中国との対立を強める一方、日本は経済回復に向けた中国との関係改善を重視するなど対中姿勢にはズレも出始めている」

地政学的に利害関係が異なる周辺国に対しては、外交的に真綿に包んだような言葉を使うのが礼儀であろう。だからと言って、日本が米中の間に立って「苦悶」していることにはならない。日米豪印4ヶ国の接着剤になったのは日本なのだ。こういう経緯を認識すれば、この毎日新聞の記事も、朝日新聞と同様に表面的と言うほかないのである。

ここで、日本までが激烈な中国批判に演説をしても、インドや豪州の立場を困らせるだけであろう。強烈な中国批判する米国と、それを黙認する日豪印という組み合わせが、むしろ対外的には大きなインパクトを与えるだろう。

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