日本人が知るべき現実。中国の台湾侵攻で日米豪印4ヶ国連合はどう戦うか?

 

韓国は米中対立の本質を理解せず

「クワッド・プラス」の第一候補である韓国は、表面的に無関心を装っている。理由は、米中対立の本質を十分に認識していないという面がある。米中対立が、単純な二国間の紛争という狭い解釈であるからだ。米国は、共産主義対民主主義という捉え方である。クワッド4ヶ国が外相会談を開き今後、定例化して行き安全保障制度に発展させるという狙いについて、韓国は全く理解していないのだ。

共産主義対民主主義という価値観に基づく紛争は、中国が白旗を揚げるまで続くであろう。先述のように、習近平国家主席と王岐山国家副主席の対立が起こっているとすれば、米中対立の処理を巡る問題であろう。王氏は、米国金融界に知己が多いとされる。習氏もそれを買って定年過ぎた王氏を、あえて国家副主席に据えたはずである。

ここで両者の対立が深まったとすれば、習氏が共産主義対民主主義という価値観に基づく紛争を目指しているのであろう。習氏は、米国と妥協しないことが、自らの国家主席の命運を長らえさせるという認識になっているはず。習氏が危機で立ち止まらずに、全力疾走で走り抜けるという危機管理意識だ。要するに、強行突破である。

韓国が、米中対立は価値観を巡る紛争という理解に立てば、中国陣営に身を寄せるという選択は、国民の支持を得られないだろう。「親中朝・反日米」路線が許されるのは、米中関係がスムースに動いているという前提条件が成立する時だ。その条件がなくなれば、米韓同盟にぐいと引き寄せられて当然である。

米国の軍事戦略は、米中対立の長期化を前提にしている。在韓米軍の配置は、米軍の世界戦略によって決められるはずだ。北朝鮮軍の動向よりも中国軍の配置に応じたものとなろう。専門家によれば、米軍の配置が従来の海空主力から、陸・海・空を網羅する多戦場中国封じ込め戦略に変わるというのである。在韓米軍は陸軍が主力である。これが、世界戦略において陸・海・空を網羅する配置になれば、在韓米軍の陸軍が減員され、他地域へ移動するだろうという。

韓国は現在、在韓米軍の減員に強い警戒観を持っている。ただ、米軍の世界戦略に反対する資格もない以上、米軍の意向に従わざるを得ない。その場合、韓国は「クワッド・プラス」の一員として、韓国防衛を米軍の世界戦略の一環として託す決断が求められるはずである。「クワッド・プラス」の各国は、同盟軍とともに戦うという形になる。韓国は、これまで行なってきた「中国への秋波」は不可能になる。韓国は、最終的に民主主義国家として生きる決断を求められるだろう。

image by: Joseph SohmFrederic Legrand – COMEO / shutterstock.com, User:Clrdms, Kristy Robinson / Commonwealth of Australia / CC BY

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経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。

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