トランプのイラン空爆は「衝動」か「計算」か。米国内で囁かれる“エプスタイン疑惑”という不穏な影

th20260309
 

突如として中東有数の大国・イランへの大規模空爆に踏み切ったトランプ政権。その決断の裏側には、どのような思惑や構造が潜んでいるのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野孟さんが、イラン攻撃に至るトランプ政権の衝動的な意思決定と、米国で囁かれるエプスタイン疑惑との関係を検証。その上で、歴代政権を通じて戦争を繰り返してきたアメリカという国家の「構造的問題」について論考しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:余りにも幼稚で無計画なイラン空爆で地獄に堕ちていくトランプ政権/それでも高市はピョンピョンを続けるのか?

プロフィール高野孟たかのはじめ

1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

地獄に堕ちるトランプ政権。幼稚で無計画なイラン空爆で自らの首を絞めるアメリカ

第1期トランプ政権で1年半ほど安保担当大統領補佐官を務めた超タカ派外交官のジョン・ボルトンは、最近「日経ビジネス」のインタビューに答えて「トランプは壮大な戦略的観点から物事を熟考しているわけではなく、目の前にあることについて考えているだけだ」と批判したが、その通りだろう。

トランプは議会にも国民にも同盟国にも何ら説明も相談もすることなくイランへの圧倒的な軍事攻撃に踏み切り、その際に「イランの体制転換が目標だ」としてイランの民衆に決起を呼びかけたが、スターマー英首相が2日の演説で述べたように、そもそも「空からの(攻撃のみによる)体制転換が可能であるとは思えない」し、それでもそれを追求するのであれば事前に十分な準備をして、米軍の行動に直ちに呼応して大規模な民衆デモが沸き起こりそれに乗って親米的な次の指導者が颯爽と登場するよう仕組んでおかなければならないが、そんな準備は何もしていなかった。

今頃になってイラクとイランの国境周辺のクルド人勢力の指導者に接触し、テヘランに向け進攻するよう促していると伝えられるが、このような企みは上手く行ったとしてもイラン国内情勢を撹乱する程度に終わるだろう。9,000万人のイランの人口の60%強は紀元前6世紀まで遡るアカイメネス朝ペルシャ帝国以来2,500年の歴史を受け継ぐペルシャ人であり、同国内の人口としては6%にも達しない元はと言えば遊牧民であるクルド人がこの国を支配することなどある訳がない。

もちろん、これほど衝動的で幼稚と形容できるほどに無計画的でなく、用意周到で次の受け皿がすぐに表舞台に躍り出てくるような鮮やかなものであったにせよ、どちらにしてもこのような一国に対する一方的な軍事攻撃が国際法上許されない「侵略」であることに変わりはないのだが。

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