いよいよ11月3日に投票日を迎える、アメリカ大統領選挙。すでに内外の報道ではバイデン氏優勢、トランプ氏劣勢が伝えられていますが、実際の現地での「体感」では、どちらの勝利ムードが漂っているのでしょうか? NY在住『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』著者のりばてぃさんは、米大統領選挙直前のニューヨークの熱気を伝えるとともに、街角で売られている各候補のグッズの売れ行きから「勝者」を推測しています。
アメリカ大統領選いよいよです!
(1)投票熱が高まっているアメリカ
11月3日に大統領選を控えるアメリカ。ニューヨーク州などは先週末から期日前投票(Early voting)がはじまり長蛇の列ができていると報じられています。
単純に感染予防のために入場制限をしているから待ち時間が長くなり、行列になっているというだけでなく、トランプさんが大統領として勤めた4年間に対する不満や、新型コロナ問題、黒人の人権に対する訴えであるブラック・ライブス・マター(BLM)等々の現れという見方もあります。
特に民主党支持者の多いNY州では、政治を変えて世の中を変えよう、じゃぁ当然投票に行くよね、となるので、通常より多くの人たちが早くに投票にいくという状況になっているようです。
ちなみに感染対策として郵送で投票する不在者投票も今回は数が多く、期日前投票と合わせてアメリカではすでに7,000万人近くも投票済みだそうです。
これは前回の大統領選の同時期と比較して137%増ということからも今年の大統領選に対する注目の高さと市民の選挙参加の意欲の高さを伺えます。
なお、以下のNBCニュースのサイトで進捗状況が確認できます。
・U.S. Presidential Election Results 2020
では、トランプさんとバイデンさんのどちらを支持しているかというと、NY市の期日前投票会場に並ぶ方々へのインタビューでは、民主党支持者の多いNY市ということでバイデン支持者が多い印象です。
例えば、列に並んで投票することで民主党を応援する人がこれだけいるよという意思表示になるからわざわざ並んで投票しているとの回答者は典型的です。
しかし一方でトランプさんが社会の仕組みを変えてくれると思うから投票したとする高齢女性のコメントなどもあり、多くの人がすでに投票しているからといって、当然ですが、その多くが、しかもNY州であっても全員が民主党支持ではないのです。
そして民主党支持者が多く投票するなら共和党の支持者も負けじと支持政党に投票して応援しますし、支持政党関係なく投票日を来週に控え、アメリカでは選挙熱が非常に高まっている状況となっています。
(2)グッズの売れ行きから考える大統領選
では、どちらが勝つのか??
全国的な調査では、民主党のバイデンさんを支持するという人の方が、トランプさんよりかなり多いです。これを受けて日本でもトランプは負けてしまうという報道の方が目立っていると思います。
でもアメリカの大統領選挙は、単純な人気投票とは違うので、最後のギリギリまでどちらが勝利するのか分からない状況が続いています。
前回のように隠れトランプの数がどれだけいるのか見えないなども言われています。
じゃあ、どういう視点からどちらが優勢なのか測れば良いかというと、例えば、関連グッズの売れ行きから考えることもできるでしょう。
バブルヘッド人形やマグカップなど様々な関連グッズが売られています。
ネタになるからとか、いじってる…という理由もあると思いますが、街角で見かけるアメリカ大統領選挙に関するグッズでは、圧倒的にトランプさんの存在感が強い印象です。
4年前の前回は、まだヒラリーさんのグッズもちらほら見かけましたが、今回はバイデンさんグッズは、街角では、あまり見かけないのです。
ちなみにオバマさんの時は、オバマさんグッズが圧倒的に多く、希望や敬意のこもった街角アートもいろいろ見かけまして、実際、大統領選挙の結果もオバマさんの勝利でした。
いくらネタになるからとは言え、本当に大嫌いだったらこの手のグッズを買うことはないでしょうし、案外、こういう街角で見かける候補者グッズから、選挙に関心の高い有権者を対象にした調査には反映されることのない、アメリカ国民のリアルな空気感が垣間見れるのかもしれません。
ご参考:
・タイムズ・スクエアにあるお土産屋さんで見かけたトランプさん人形
ところで選挙直前に話題になっているのがサタデー・ナイト・ライブ(SNL)の3分ほどの動画。
もしトランプが当選しなかったら?をテーマにするこの動画では、この4年間ずっとトランプのことしか話題にしてこなかったのに、当選しなかったら、その後は何を話せばいいんだ?・・・という問いかけを面白ろおかしく展開しています。
ご参考:
・Election Ad – SNL
そう、トランプさんは良くも悪くもこの4年間で様々な議論沸騰しそうな話題を世間に提供してくれてまして、女性軽視の代表者のような大統領のもとで結果的に多くの女性議員が注目されたり、今回の投票状況のように多くの人たちが政治に関心を持つようになったきっかけになっています。
なにより、SNLはじめ多くのTV番組で政治ネタを面白く話題にすることで視聴率が増加しているわけで、トランプさんに対する文句ばかりと思いきや、振り返ってみると、トランプさんありきの番組作りになっていたわけなのです。
まぁ、アメリカ国内ではBLMや銃問題など問題は山積みですが、トランプさんは反戦姿勢なので、そのあたりへの支持や、もともとビジネスマンだったということで迅速な経済復興への動きなども支持されているのでしょう。
いずれにしても、前回の大統領選からテレビ番組では政治問題を取り上げることが一層増えてまして、その結果、良くも悪くも政治をネタにして楽しむことで、政治に興味関心を持つ人が増えているわけなのです。
どちらが当選するかにせよ、国民ひとりひとりが自分たちの手で世の中を良くして行こう、そのためには政治も変えていこうという思いで投票に行く姿は素晴らしいことですね。
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