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若き日のMr.マリックが「手品グッズ販売」で失敗し続けた真の理由

以前掲載の「説明をあきらめると商品が売れ出す。やり手営業マンが見つけた法則」等の記事でも、「営業トーク=商品の説明」という考え方を否定すべしと主張してきた、営業実務コンサルタントの島田安浩さん。では、「売れる営業トーク」とは一体どのように構築すればいいのでしょうか。今回、島田さんは自身の無料メルマガ『売れる営業マンの常識は売れない営業マンの非常識!』で、かつて手品道具の実演販売がまったくうまく行かなかったというMr.マリックが「開眼」したという、ある人からかけられた言葉を紹介しつつ、営業トークの作り上げ方をレクチャーしています。

目的を持ったシナリオ

営業を行う目的は、商品の販売です。つまり、営業トークとは、商品を販売するために練り上げられた、シナリオ、台本と言えます。

では、どうすれば売れるのか?それが分からないと売れません。人間って、どうすれば商品を買うのでしょう?

答え:【欲しいから】です。

人間って、理論理屈で商品を買いません。衝動買いをします。もちろん、日用品などは衝動買いとは言いませんが、それでも実は、根底には「欲しい」という欲求があります。決して、理論理屈じゃないんです。ここを理解していないと、間違ったシナリオを作成してしまいます。

間違った例=「安くなります」というシナリオ。実は、1991年にバブルが崩壊し、それから2004年までの13年間は、「安くなります」というシナリオでバンバン売れました!!僕が、レーザーFAXを日本一売っていたのもその当時なので、シナリオはバリバリ「安くなります」です。その当時は、「安い」=「欲しい」という、欲求を動かした原動力でした!理由は、バブル期の好景気から、バブル崩壊して、一気に不景気になったからです!

ところが、年月が進んで、ネット社会に移行すると、「安くなります」が徐々に通用しなくなりました。どのように変化したのか?

「安くなります」=「売り込み」

こういう、ダメな印象を与えるように変化し、お客さんは、

「安くなります」=「信用できない」

「安くなります」=「売り込まれる」

「安くなります」=「変な営業マンが来る」

まあ、最悪のイメージに変化して行きました!ところが、今でも「安くなります」のシナリオを使っている営業会社が多く存在しています。これは、1991年から2004年までの間に、営業を学んだ人が、営業部長や社長の会社です!40代の社長や営業部長は、丁度、バブル崩壊後の営業を学んだ世代です。彼らの成功事例は、「安くなります」なんです。だから、そのシナリオをどうしても、作成してしまうのです。「安く成れば売れる」。そんな成功体験が、染みついています…。

多くの会社で、営業部長や社長は口でいろいろ言うだけで、現場に出ません!「こうやれば売れる」「営業は気合いだ!」「俺は、こうやって凄く売れた」などなど、一つ覚えの自慢を延々と言い続けるだけなんです。まあぁ~っ意味が無いです。

「現場に出てみろ!」

あんたの古びた営業じゃ、今の市場では売れません。あなたは、過去の人です(怒られそうですね…)。市場って生き物だから、常に現場でお客様と接してないと、市場の変化が見えないんです。偉くなった人は、文句だけで表に出ません。たまに出ても、自分の仲の良いお客さんに行くだけです。それじゃ、市場の変化は分かる訳が無いんです。

目的達成のシナリオ構築

市場は変化します。今の市場に合わせて、常にシナリオを練り直す必要があります。ただ、シナリオ作成って、普通の営業マンにはできません。まして、売れない営業マンがどんなに考えても、売れるシナリオなんて作成できる訳が無いんです!だから、本当は、営業部長や社長が、現場に出て、現場で作り上げるのが一番なんです。

ただ、偉くなると腰が重くなって、なかなか、現場に行かなくなるものです。そうすると、社員が作成したシナリオを、みんなが使うようになり、「売れない」「売れない」って苦しむことになるのです。

まあ、トップセールスじゃない人が作成すると、どうしても、商品説明のシナリオを作ってしまいます。ベネフィットではなく、商品説明をしがちなんです。これではダメなんです。

Mr.マリックが手品道具を販売し始めた頃、売れなくて苦しんだそうです。手品は見てくれても、売ろうとすると逃げる。最初の頃、マリックは商品の説明をしたんです。どんなに凄い商品なのか?そんな話バッカリしたんです。だから、売れないんですが、本人はそれが理解できないんです。

ある時、保険のおばちゃん(手品をみてくれたお客さん)が、

「人は必ず死ぬでしょう。でも死ぬことで人を幸せにする方法がたったひとつあるの。それが保険。自分のためじゃなくて、大切な人のための商品なの。自分が死んじゃった後でも、大切な人が困らない。それに尽きるの」

「私はもちろん、あなたもいずれ死ぬわよね?」

「想像してみてよ。あなたが死んだらどうなる?あなたのために泣いてくれる人たちがいるはずよ。あなたはそんな人たちに何ができる?何が残せる?」

「あなたに保険を売りつけようってわけじゃないの。あなたはいずれ必ず死ぬ、という未来を相手に想像させるのよ。そして相手に、奥さんや子供や孫の顔を想像させるの」

「イメージさせるのよ」

「あなたが実演を上手くやるなんて、当たり前のことでしょ。あなた、マジシャンなんだから」

「大事なのは、あなたじゃなくて、私みたいな素人が手品ができるようになることでしょう?」

「マジックのグッズを売ろうとするからダメなの。マジックという夢を売るのよ。イメージなの。その人がマジックを披露して、人を喜ばせている姿を、想像させてあげるの…」

素晴らしいですね!

マリックさんは、これがきっかけで売れるようになったそうです。良い人に巡り合ったわけですが、マリックさんが「どうすれば?」と悩み、求めたから、この出会いを活用できたんです。もし、マリックさんがそういう気持ちでいなかったら、単なるお客さんの雑談で、終わっていたかもしれないんです。求めることが凄く重要なんです。脳に、「働け!」っていうことが、そういう出会いを生むのです。皆さんの中で、商品説明をしてしまっている人は、この話をぜひ参考にしてください!

商品を欲しい人っていないんです。商品を通して得られるベネフィットが欲しいだけです。だから、ベネフィットを語るべきであって、商品説明をすべきじゃないんです。

マジックのグッズを売るのではなく、マジックが出来るようになるという夢を、感動を売るのです!そして、それをお客さんにイメージしてもらえるように話すのが、営業トークなんです。

マリックさんは自分で考えて、悩みながら営業トークを手に入れましたが、多くの営業会社には、基本トークがあるはずです。もし、そういうものが無ければ、会社の中のトップセールスが作り上げる必要があります。私が、営業紙芝居で渡しているようなトークです。「この通り話せば売れる」というような、シナリオをまずは、構築して渡すことです。

先ほども話しましたが、市場は生き物なので、古いトークはNGです。「俺は、昔これで売りまくったんだ!」と、社長が自慢話でいうような、過去の遺物ではなく、今の市場で即使える物を渡すことです。もしなければ、私のトークを参考にしてください。

営業紙芝居LED解説動画
UTM営業紙芝居解説動画

これを何度も何度も練習してもイイですし、これを参考に御社のオリジナルを作成してもイイです。営業紙芝居の場合は、次回提案書を目的にしていますので、売るためにステップを分けています。即決営業のシナリオでは無いのはご理解ください。即決商品なら、即決のシナリオを作成します。クロージングまで全部作り込む必要があります。シナリオ作成に関しては、下記動画を何度か見てください。

シナリオ営業術(売るためのシナリオ作成方法)

この中で、鉄板シナリオをどうやって作るのか?どうやって日本一売れたシナリオが出来たのか!?詳しく解説しています。

ということで、まずは、売るためのシナリオとしての、営業トークの作成をキチンとやって、それを、何度も何度も練習してくださいって話です。

image by: Shutterstock.com

島田安浩(営業コンサルタント)この著者の記事一覧

最初売れない営業マンだった私が、売れるようになり、日本でトップセールスに登りつめ、経営者として株式公開した。その営業ノウハウを、売れる営業の常識と売れない営業の非常識と言う観点で分かり易くまとめた。

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【著者】 島田安浩(営業コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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