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中国やり放題の悪夢再び?バイデン政権が日米同盟を反故にする日

前回『「トランプかバイデンか」ではない。TVが報じぬ米大統領選挙の本質』という記事で、アメリカ大統領選の見方について解説していた、ジャーナリスト・作家として活躍中の宇田川敬介さん。宇田川さんは今回、自身のメルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』の中で、オバマ政権時の中国に対するアメリカの弱腰対応を根拠に、今後バイデン政権が発足した後の、日本を含む東アジア情勢に懸念を示しています。

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今後、バイデン政権で「アメリカ外交」はどうなるのか?

アメリカの大統領がバイデンになって、アメリカの外交はどのように変わるのでしょうか。

内政よりも外交の方が日本と関係があるので、先に外交について考えてみましょう。

もっと単純に言えば、アメリカの内政などはどうでもよいのですが、とりあえず日本の国益を守るために、アメリカがどのように変わるかを見てみましょう、ということです。

日本と関係の深い国の「国家のトップ」交代ということに関しては、かなり重要な関心事ではないかというように考えています。

特に、海を挟んでの隣国である「アメリカ」「中国」「ロシア」に関しては、その国々が大国であることから、様々な意味で重要な相手であると思われます。

逆に言えば、「アメリカの外交」ということを言っても、それは単純に「日本との関係」だけではなく、アメリカとロシアと中国と、そしてその国々と日本との関係がどのように変わってゆくのか、ということを考えてゆかなければならないのではないでしょうか。

日本は「外交」というと、すぐに「二国間関係」ばかりを考えてしまいますが、日本に限らず外交の中心は「多国間外交」です。

特に、日本のように国が軍を持たず何の力もない場合、そして外務省の役人が非常に弱気で土下座外交ばかりをしてしまうような国の場合は、常に多国間外交を考え、そのうえで、多国間の信用の中で物事を解決してゆくということを考えなければならないのです。

そのように心がけるということが全く見えていないのが、大きな問題なのです。

では、そのような視点で見たうえで、アメリカの変化を見てゆくことにしましょう。

まず、基本的なことを見てゆけば、バイデン氏はオバマ大統領時の副大統領ということになります。

つまり、多少の独自性はあったとしても、基本的にはオバマ大統領の時の外交と同じであるということです。

もちろん、オバマ大統領の時の日本の政権は民主党政権で、鳩山由紀夫首相が、普天間基地の移転の話をするときに「トラスト・ミー(私を信じて)」と言ったことが話題となり、そのまま日本の問題として存在していました。

日本周辺の悪化、特に、尖閣諸島関係や日韓関係の悪化に関して言えば、ほとんどが日本の民主党政権の指導力の不足によるものではないかと言われていたのです。

アメリカのジャーナリストなどに「ルーピー」といわれてみたり、3.11の非常事態に21もの委員会を作って時間を空費するような、それでいて株価が下がっていても何ら問題がないという判断をする人々では、そのように考えられても仕方がありません。

しかし、実際のところ、日本ばかりではなくアメリカの問題も大きく存在していると言えます。

オバマ大統領は、2016年まで大統領に就任していましたが、その間に「南シナ海の緩衝地帯埋め立て」「中国の尖閣諸島進出」「竹島問題の未解決」「拉致問題の不介入」「台湾問題放置」など、東アジアにおけるほとんどの国際問題を放置、または中国の好き勝手にさせていたということになります。

特に、尖閣問題において、2013年に防空識別圏を中国が勝手に設定したことに対して、当時のケリー国務長官、そしてバイデン副大統領が相次いで中国を訪問し、防空識別圏の設定に関して抗議をしていますが、結局、何もできなかったということになります。

要するに「バイデン大統領になったら、対中国では弱腰外交になり、アメリカの力はほとんど期待できない」ということが言えることになります。

まずこれが、バイデン氏に代わった時に気を付けなければならないことの一つ目でしょう。

もっと端的に言えば、「アメリカは国内の政治における『大きな政府』実現のために莫大な費用を必要とし、そのことから日本や東アジアにまで手が回らない」ということが言えるのではないかと思います。

バイデン政権「中国政策」の弱腰は大丈夫か?

当然、「金がかからず口だけならば様々なことを言うが、結局は実行力がない」ということになるのではないでしょうか。

少なくとも中国の習近平政権は、すでにそのような状況を見切っているということになります。

バイデンの外交手法はよく理解されているので、基本的には「中国からアメリカに対する恫喝的な外交メッセージ」が増えることとなり、日本は、その言葉などに様々なことを言うようになるのではないでしょうか。

結局、何もしてこないという状況であれば、中国は当然「何もしてこないのだから言葉は適当にかわして実行」ということになります。

よって、中国の南シナ海、東シナ海(尖閣諸島周辺)、太平洋(小笠原周辺など)への中国船の進出及び中国公船、場合によっては軍事演習などを含む軍艦の往来が多くなるものと思われます。

当然、沖縄のアメリカ軍はスクランブルが多くなりますが、そのことによって日本の「思いやり予算」が増えてくるということになるのではないでしょうか。

アメリカの対応が弱くなるということは、そのことから中国の覇権主義が大きくなる、そしてその覇権主義から沖縄のアメリカ軍のストレスが高まり、そのストレスの高まりからアメリカ軍の沖縄県内における犯罪が増えるということになります。

そこで、沖縄の基地問題がより大きくクローズアップされることになるのではないかと予想されます。

実際に、トランプ政権になって後半、2019年2020年は沖縄の基地問題はあまり大きく報じられなくなりました。

もちろん日本であまり動きがなかったということもあります。裁判などもなくなりましたし、反対運動もあまり大きくなくなりました。安倍首相の対応もよかったので、そんなに変な動きもなくなったかと思います。

その中で、アメリカ軍の動きもしっかりとしていましたし、事件も少なかったのではないでしょうか。

この沖縄の例のように、アメリカの大統領が変わり外交方針やそのやり方が変わると、このように国内の政治などもすべて変わってくるということになります。それだけではなく他の事もすべて変わってくることになります。

さて、アメリカの外交といえば、米欧・米ロと様々あります。

特にバイデン氏の息子であるハンター・バイデン氏をめぐるウクライナでの疑惑は様々なところで問題があり、また中国などで投資ファンドをしているなど、アメリカと敵対しているところに大きく経済的に関与していることになります。

もともとバイデン氏は、東アジアの外交などは全く興味がなく、中東とヨーロッパの関係が彼の中心的な外交になります。

そのことを考えれば、「イランをめぐる関係」と「イギリス・ドイツの対立」そして「ロシア」が中心的な外交になることは明らかでしょう。

もともとオバマ政権の時のプラハ演説やイラン撤兵などを仕掛けたのはバイデン氏であり、また、次に副大統領になるであろうハリス女史もアジア関係にはあまり造詣が深くありません。

このように考えれば、対日外交は後回しになる、もっと簡単に言えば、対中国などは「太平洋という広い海で守ればよい」という発想になってしまい、そのことから、あまり真剣に東アジア外交を行わないということになるのではないかと思われます。

そのようになった場合、日本は「日米同盟」といわれることが形骸化してしまう恐れがあるということになるのです。そのうえで、上記のようにハンター・バイデン氏のことがあります。

さて、ハンター氏については、とかく黒い噂が多くある人物です。

バイデン氏が問題なのか、あるいは父であるバイデン氏の権力をかさに着てハンター氏が好き勝手やっているのかは良く分かりません。

いずれにせよ、少なくともバイデン氏が中国側に何らかの弱み(ハンター氏の金銭又は女性スキャンダル、または麻薬などのスキャンダルなどを含む)を握られていることは確かでしょう。

中国は、ハニートラップなどの研究でもわかる通り、中国の国内における内容で、相手が弱みとなるものをしっかりと握り、その弱みを最大限に利用して外交などに利用することになります。

ハンター氏のスキャンダルを最大限に使った外交で、バイデン氏は対中国に関しては甘い外交にならざるを得ないということになります。

バイデン氏が大統領選で勝利宣言をしたのち、すぐに習近平は「バイデンになったからといって甘い外交を期待するな」とし、また11月12日には、黄海の離島で、飛行機からの実弾発射訓練を行っています。

北部戦区になりますから、当然「南シナ海」ではなく「東シナ海」、つまり沖縄や台湾、または尖閣諸島などに対する威嚇であることは間違いありません。

同日に菅首相とバイデン氏の間で電話会談があり、「尖閣諸島は日米安全保障条約の中」という確認をしたすぐ後であるということは、なかなか興味深いところです。

つまり、アメリカが日本を守ることになれば、尖閣諸島や南西諸島に対してミサイル攻撃を準備しているという強いメッセージを出したということになります。

当然、そのメッセージを有効化するために、バイデン氏の個人的なスキャンダルを利用して様々なことを行うでしょう。

しかし、77歳の老人に対してハニートラップは効かないでしょうから、ハンター氏のスキャンダルを使って、バイデン氏をコントロールするということにつながるものと思われます。

バイデン氏は当然、新大統領として中国に対して甘い対応はできないでしょう。

今までのトランプ氏の対中政策の中で、アメリカ企業の保護や知的財産権の保護に関しては、バイデン氏の支持基盤である民主党の議員団や「エスタブリッシュメント」といわれる人々も、その政策を支持していました。

つまり、バイデン氏は対中国の政策に関しては、トランプ大統領ほど過激なやり方で行うことはできないまでも、対中国強硬姿勢は継続しなければならないということになります。

当然、バイデン氏になってすぐに知的財産権の保護まで取り下げてしまえば、アメリカ経済は破綻することになってしまいますから、そのようなことはできないでしょう。

しかし、いま話題になっているデジタル人民元などの存在は認める方向になるでしょうし、また東アジアの日本や台湾に関しては、なるべく介入しないということで実行行為を避ける方向になるはずです。

つまり、「アメリカという国家の国境で、対中政策を変える」ということになり、日本は捨て置かれることになると思います。

そのような状態から「尖閣諸島は日米同盟の中」といいながら「実行行為は何もしない」という選択肢がとられることになるでしょうし、また産業スパイなども「アメリカの国内では許さない」が「日本や台湾から情報が漏れることに関しては放置する」というようなことになると思われます。

このように考えれば「日本というフィルターが存在し、それを隠れ蓑にバイデンが対中外交を繰り広げる」ということになり、日本が最も苦しい立場に置かれることになるということは間違いありません。(メルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』より一部抜粋)

 

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image by: Alex Gakos / Shutterstock.com

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