失敗はガースー発言ぐらい。あの知事よりマシな菅首相のコロナ対策

 

「(誤解の1)日本の現状にもっと誇りを」

1つ目は現状の評価です。例えばコロナによる累計の死亡者数ですが、アメリカの299,455に対して、日本は2,462ということで、2桁近く少ないわけです。この差は圧倒的です。この数字ですが、例えば中国や韓国、台湾などと比較した場合には、やや劣るという印象は否定できません。

ですが、中国の場合は良くも悪くも個人の移動の自由、プライバシー権などをほぼ制限した中で、パンデミックを原則湖北省に限定し、しかも早期の収束を達成してしまっているわけです。韓国と台湾の場合も、アプリによるGPS情報の高精度の追跡がされるなど、西側の標準とは全く異なる厳しい管理がされています。

そんな中で、日本の場合は、プライバシー権、移動の自由などを確保し、しかもロックダウンにあたっても強制ではなく、個々人や各事業者の自発的な行動で感染対策を進めています。その結果として、欧米と比較すると感染者、死亡者が人口比で30分の1以下というのは、大変なハイレベルであると思います。

中には、そこには原因がある、つまり「BCG接種の結果」とか「交差免疫、つまり鼻風邪コロナウィルスの免疫が効いている」といった具体的な「ファクターX」があるのだという説も耳にします。そうかもしれませんが、決定的なファクターではないと思われます。そう考えれば、余計に日本の社会における「コロナ・リテラシー」の徹底ということは、誇っていいように思います。

例えば、コロナ以前から「予防目的でのマスク着用の習慣があった」とか「手洗い、消毒、室内での下足禁止など衛生概念が進んでいた」という要素もあると思いますが、そうした「衛生概念インフラ」というのは、あくまでサブ的な要因だと思います。

そうではなくて、「マスクは大きな飛沫の内から外への飛散を防止するもの」だとか「マイクロ飛沫への対策として、3密を回避」といった「極めて高度な理解」に基づいた対策がされている、そうした「科学的な理解の普及」が大きいのだと思います。

アメリカでは、今でも中西部に行くと「コロナのニュースは全部フェイク」とか、「死ぬのは高齢者だけ、俺様は大丈夫」といった恐ろしいほど低次元の「理解」が広がっていますが、それと比較すると十分に悲惨な経験をしており、何らかの対策をしてきた東部や太平洋岸でも「3密」への理解などは全くされていません。

レストランの営業が「屋内ではダメでも、屋外なら良い」とされていて、強制力を持って規制がされているわけですが「何故?」という部分についての説明や理解は省略されているのが現状です。「そんな難しいことは伝わらない」という諦めがあるとも言えます。その一方で、マイクロ飛沫拡散の模擬実験動画などを見た人は、何もかもが怖くなるといった初歩的な受け止めがされているようです。

とにかく、日本の場合はウィルスの特性と対策についての社会全体の理解の平均値が半端ではないわけで、その結果として欧米とは人口比で2桁近い差をつけているわけです。しかも中韓台(+シンガポール)のような上からの規制をせずに、国民の自発的な対策でここまでの成果を挙げているというのは、やはり高い評価が出来ると思います。

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