私の目に止まった記事2
● Progressive Cities vs. Conservative States
2016年の大統領選でトランプ氏が大統領になって以来、ますます目立つようになってきた米国の「分断」に関する記事は、これまでも数多く読んできましたが、この記事は、そこに「米国の地方自治」という鋭いアングルを加えて語っている点がとてもユニークだし、有意義だと思いました。
トランプ大統領の誕生は、多くの人を驚かせました。彼のような「泡沫候補」が共和党の候補に選ばれたこと自体が大きな驚きだったし、最終対決がトランプ対ヒラリー氏に決まった時には、「まっとうな人は（自己中心的でセクハラ野郎の）トランプ氏に票を入れるはずがない」と頭から決めつけていたのです。
にもかかわらず、トランプ大統領が誕生してしまった理由は、数多くのグローバル企業を抱えて発展する西海岸や東海岸の都市部とは縁のない「時代に取り残されてしまった農村部や元工場地帯・元鉱山の人々」の存在にあります。
そんな人たちの数は多数ではないのですが（人口比では3割ぐらい）、現状に不満を持ち、（リベラル政党である民主党の）オバマ政権が積極的な姿勢を見せていた地球温暖化対策・LGBT保護・銃規制など政策に反対する彼らが岩盤支持層となってトランプを支え、当選させてしまったのです。
この記事は、そんな中で見逃されがちだったのが、「州」と「市」のありかたの違いです。保守とリベラルの分断は州の中でも起こっており、それが結果として、州は保守だけど、（都市部の）市はリベラルという分断・歪みを起こしているのです。
米国の場合、日本と違って、各州が大きな自治権を持っており、州単位で地球温暖化対策・LGBT保護・銃規制が行われており、州が連邦政府が禁止しているマリファナを合法化したり、連邦政府よりも厳しい排ガス規制をするなどが行われています。
しかし、その強い自治権は州止まりで、州と市で意見が食い違った場合には州の意見が通るようになっている、とこの記事は指摘しているのです。
これがいつまでたっても米国で銃規制が出来ない理由だし、地球温暖化対策に関しても思い切った政策に踏み切れない理由だし、トランプ政権が誕生してしまった理由でもあるのです。
民主党のバイデン氏が選挙でトランプ氏に勝ってくれたことは歓迎すべきですが、だからと言って、大胆なリベラル政策が取れるとは限らないのです。
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