トランプ「イランは選挙を待っているのかも」発言の皮肉。敵に“時間を稼ぐ”という選択を容易にさせた米国大統領の失態

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イスラエルやブラジルなどで国政選挙が行われる一方、米国の中間選挙を前に緊迫の度合いを増す国際情勢。トランプ政権によるイランへの軍事行動が取り沙汰される中、選挙後の展開を見据えた各国の駆け引きが活発化していますが、識者はこうした動きをどう見ているのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦が読み解く国際情勢の裏側戦略インテリジェンス・レポート』では元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、各国の選挙結果と米国の対イラン政策が国際交渉に及ぼす影響を分析。さらに武力行使と対話の間で揺れる中東情勢の行方を探っています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:「選挙の後」に置かれた約束-宙づりの議会、人道の窓、そして相手の後ろ盾を訪ねる外交

「選挙の後」に置かれた約束-宙づりの議会、人道の窓、そして相手の後ろ盾を訪ねる外交

10月27日、火曜日の未明、ウクライナ南部ヘルソン州のドニプロ川の左岸にある町オレシュキで、銃声が止まりました。ロシアが占領するこの町に取り残された住民を逃がし、食料と薬を届けるための、一時的な戦闘の停止です。

仲介役として名乗り出たのは、外交官でも国連でもなく、米国のメラニア・トランプ大統領夫人でした。もっとも、ローマ教皇も事前に停戦を働きかけており、誰がどこまで仲介したのかは、外からは見えていません。

そして、キーウ・インディペンデント紙によれば、停止が始まったその数分後、ロシアは首都キーウを含むウクライナの別の地域に弾道ミサイルを撃ち込んでいます。同じ日、イスラエルでは総選挙の投票が行われ、イランのペゼシュキアン大統領はモスクワでプーチン大統領と向き合っていました。そして米国では、トランプ大統領が記者団に、中間選挙の後にイランを攻撃するのかと問われ、「それは言えない」「何でもあり得る」と答えています。

今週、ブラジル、セルビア、イスラエルの三つの国で投票箱が開かれました。票は数えられても、政治の決着はまだついていません。ブラジルでは敗れた候補が結果を認めないまま国外に出て、イスラエルではどちらの陣営も過半数に届かず、セルビアでは親ロシアの政権を倒した新しい勢力が、組閣を前に、それでも対ロシアの制裁には加わらないと言っています。

そして、まだ投票が終わっていない米国の中間選挙が、ほかのすべての交渉の時計を止めています。イランへの攻撃の再開をめぐる報道も、ロシア産の軽油を積んだタンカーの到着も、米ロとウクライナの三者協議の再開も、すべてが「11月3日の後」に置かれているのです。

前号で私は、約束を守らせるはずの国が、約束そのものを売り物にし始めているとお伝えしました。

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今週は、その売り物の値段が、一つの選挙の結果に連動していることが見えてきました。

「選挙の後に置かれた約束は、選挙の前に交わされたどんな約束よりも重く、そして脆い」

今号では、決着しなかった選挙、選挙の後を見越した中東の神経戦、人道の窓から始まったウクライナの和平の動き、そして日本に跳ね返る問いを、順に読み解いていきます。

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