【2-2.選挙の日程が、武力行使の日程になるとき】
私が今週最も懸念しているのは、この「選挙の後」という言葉そのものです。前号で私は、期限を切った約束は、相手にその期限までの行動の自由を与えるとお伝えしました。トランプ大統領が見せてきた「選挙の前は撃たない」という姿勢は、裏を返せば、「選挙の後には撃つかもしれない」という予告になっています。
予告された攻撃は、相手に準備の時間を与えます。イランは、前号でお伝えしたとおり兵器づくりに通じた人物を国防相に据え、今週は周辺国との対話の窓を広げ、海峡で切れる札を並べ続けています。
米国は、自らのコミットメント、つまり行動の約束の信憑性を高めようとするあまり、相手にその約束への備えを促してしまっています。しかも、攻撃の時期が国内の選挙の日程に結びつけられていることは、相手から見れば、その攻撃が安全保障ではなく国内政治の論理で決まっているという印象を与えます。
そう受け止めた相手は、譲歩よりも「時間を稼ぐ」ことを選びやすくなります。選挙の結果次第で、相手の大統領の立場が弱まるかもしれないからです。トランプ大統領が「イランは選挙を待っているのかもしれない」と語ったことは、皮肉にも、この構図を自ら認めたものに聞こえます。
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