プーチンが持ちかけた三者会談にトランプと習近平は乗るか?国際交渉人が危惧する“席のない国”の頭越しで決められる新秩序の中身

shutterstock_573054475
 

米ロの「奇妙な接近」に世界が警戒する中で、プーチン大統領がトランプ大統領に持ちかけた米中ロの三者会談。核を保有する三大国の首脳は、いかなる議題を話し合い、どのような取り決めを交わす腹づもりでいるのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦が読み解く国際情勢の裏側戦略インテリジェンス・レポート』では元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、会談の狙いと当事者不在の交渉がもたらす危険性を解説。さらに米国の対ロ制裁の適用免除やウクライナの衛星通信を巡る問題を検証し、国際政治における「約束と信頼」のあり方を問い直しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:売り物になってしまった約束-書いた瞬間に外された制裁、見えない手綱、そして当事者のいないテーブル

売り物になってしまった約束-書いた瞬間に外された制裁、見えない手綱、そして当事者のいないテーブル

10月16日、金曜日、トランプ大統領はワシントンで一枚の大統領令に署名しました。9月18日にトランプ大統領自身が署名した「対ロシア・イラン制裁法」を実施するための命令です。

その命令は、法律が定めるとおり、ロシア産品に500%の関税率を設定し、ロシア産の原油や天然ガスを新たに買う上位5カ国と、制裁逃れを助ける上位5カ国からの輸入品に最大100%の関税を課す仕組みを示しました。そして同じ紙の上で、そのほとんどを免除しました。

これは、例えるならば、鍵を取り付けたその手で、合鍵を相手に渡したようなものです。

免除には定められた終わりの日付がなく、大統領、あるいは財務長官や通商代表部と協議した国務長官が、さらなる措置が必要と判断するまで続きます。ベッセント財務長官は18日、米NBCの番組で、金曜日に解除された制裁はなく、「解除されたのは軽油の禁輸だけだ」と説明しました。

確かに、新しい法律に基づく関税や制裁は、署名と同時に適用が免除され、一度も発動されていませんから、「解除」されようがありません。解除されたのは、10月9日に財務省の許可で認められたロシア産の軽油の取引という、別の措置なのです。

法律の手続きは守られ、法律の目的は外されたのです。もっとも、2022年以来の大統領令に基づく既存の対ロシア制裁は、今も維持されています。

同じ週、ウクライナでは、前線のドローンの「目」が曇りました。ウクライナ側の説明によれば、米スペースXが運用する軍用の衛星通信スターシールドに速度の制限がかかり、高速で飛ぶドローンとの通信が途切れたのです。誰がその指示を出したのかについて、ワシントンの説明は今も一致していません。

そして、ロシアのプーチン大統領が、11月の中国・深圳でのAPEC首脳会議の際に、トランプ大統領、習近平国家主席との三者会談を持ちかけていたことが明らかになりました。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、その場でウクライナの戦争の終わらせ方を話し合いたいという提案です。しかし、提案されているそのテーブルの周りに、ウクライナの席も、欧州の席も、日本の席もありません。

前号で私は、「誰が約束を結び、誰がその履行を確かめ、破った者に誰が代償を払わせるのか」と問いかけました。

【関連】トランプ「中間選挙前にイランを攻撃しない」の自縄自縛。敵に自由を与えてしまう“期限を切った約束”の副作用

今週見えてきたのは、その問いの一つ手前で起きている変化です。約束を守らせるはずの国が、約束そのものを取引の材料として扱い始めているのです。

「約束が売り物になったとき、買い手は値段だけでなく、売り手がいつ売り値を変えるのかを考え始める」

今号では、制裁、通信、首脳会談、そして中東の盾と矛を通じて、この変化を読み解いていきます。

この記事の著者・島田久仁彦さんの新創刊メルマガ

初月無料で読む

print

  • プーチンが持ちかけた三者会談にトランプと習近平は乗るか?国際交渉人が危惧する“席のない国”の頭越しで決められる新秩序の中身
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け