【3-3.「彼に席に着く資格はない」】
ウクライナのシビハ外相は19日、Xへの投稿で、米中ロの首脳会談の案に強く反発しました。シビハ外相は、そのような会談は「プーチンに戦争を続けるよう促すだけだ」と書いています。そのうえで、プーチン大統領について「世界の指導者ではなく、戦争犯罪人だ」と断じました。ロシアについても、「世界の大国ではなく、世界の問題だ」と書いています。そして、プーチン大統領には、トランプ大統領や習主席と同じテーブルに着く資格はないと結んでいます。
一方で同外相は、ウクライナ、米国、ロシアの三者による会談であれば、戦争を早く終わらせる助けになり得るとも書き添えました。ここには、ウクライナの交渉の立場がよく表れています。
ウクライナは、テーブルそのものを否定しているのではなく、自分の座る席のないテーブルを否定しているのです。クレムリンの側は、プーチン大統領がゼレンスキー大統領と会うのはモスクワでのみだとしており、ウクライナの求める中立の場所での会談を事実上退けています。
私は前号の「日本に跳ね返る問い」の中で、APECでの日中首脳会談の格をめぐる駆け引きをお伝えしました。深圳のAPECが、日中の首脳会談の格を争う場であると同時に、米中ロが日本の頭越しに世界の勢力図を語る場にもなり得るとすれば、日本が向き合う問いは一段重くなります。
【3-4.席のない国が打てる手】
では、テーブルに席のない国には、何ができるのでしょうか。
私の経験から申し上げれば、席がないことは、発言の機会がないことを意味しません。大国同士の会談の前には、通常、事務方による準備の段階があり、そこでは議題の案が回され、言葉が一つずつ詰められていきます。
「席のない国」が働きかけるべきなのは、首脳が握手をする当日ではなく、この準備の段階です。例えば、核の議題であれば、日本は唯一の戦争被爆国として、危機を止めるための連絡の仕組みや、誤った警報による発射を防ぐための措置について、具体的な提案を事前に米国に届けることができます。中満氏が指摘する「危機を止める仕組みの不在」は、まさに日本が中身を差し出せる分野です。
中満氏はまた、日本で語られる「核共有」についても、配備されても使用の決定権は米国にあること、米国自身が持ち込む必要を感じているのかという点を含めて、感覚ではなく確かな根拠に基づいて議論するよう求めています。
三つの核大国が核を語るテーブルの外で、日本が核をどう語るのかは、そのテーブルの議題に影響を与え得る数少ない手段の一つです。そして、ウクライナの議題については、日本は欧州やカナダと足並みをそろえ、当事者のいない場での決定には従わないという原則を、事前に、はっきりと伝えておくべきです。後になって「決まったことだから支援を」と求められてから異を唱えても、その声は届きません。入口で示さなかった異議は、出口では言い訳にしか聞こえないのです――(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦が読み解く国際情勢の裏側戦略インテリジェンス・レポート』2026年10月23日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録ください)
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