「リニア中央新幹線による未来予測と永江さんの見解を教えてください」という質問が人気コンサルの永江一石さんのもとに届きました。永江さんはその質問に対し、自身のメルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』の中で、リニア開業による経済効果やインバウンド需要の可能性、将来の国内経済圏への影響について、独自の視点から考察します。
リニア中央新幹線についての見解と未来予測
Question

早ければ2030年代後半に東京~名古屋で開業するとされているリニアモーターカーと、その後の国内経済圏の予測をお聞きしたいです。開業後、大阪延伸まで10年のタイムラグがあるとされています。そうなると、東京~名古屋間にビジネスマンの移動が集中する一大経済圏となり、これまで以上に西日本との格差が起きるという意見もあります。
一方で大阪は万博跡地の統合型リゾートも控えていたり副首都になる可能性もあります。これらが複雑に絡み合いどうなるのかが予測が難しいので、ぜひいつもの鋭い視点での見解を教えてください。
永江さんからの回答
初めに冷水をぶっかけて申し訳ありませんが、国交省は巨大経済圏「スーパー・メガリージョン」が形成されると期待していますが、わたしはその経済効果はかなり過大評価されていると見ています。というのも、リニアはもっぱらインバウンド向けの観光資源になるだけで、西日本との経済格差がどうこうといった心配をする必要すらないから。
そもそも今の東海道新幹線はピークタイムには5分おきくらいに発車していて、1日に何十万人もの乗客を運んでいます。それに対してリニアは、1編成あたりの定員も新幹線より少なく、構造上そこまでの大量輸送はできません。
建設費は大幅に膨らんでいますが、JR東海は現時点の収支試算では品川─名古屋を「のぞみ」指定席より700円高い程度で仮置きしており、実際の運賃は開業が近づいた段階で決めるとしています。
ではビジネスマンが使うかといえば、実はコロナ前に比べて企業の出張自体が構造的に激減しています。今は大企業の役員会議だって、みんなZoomなどのオンラインで済ませていますよね。対面が必要な一部の商談やセミナー、講演会などに行く人はいても、わざわざ高い運賃を払って会議のために出張する人はどんどん減っています。
わたしがリクルートに入社した40年ほど前、同社ではNTTの回線リセール事業を手掛けていて、支社間でテレビ会議も活用していました。その当時からすでに「会議のために出張するのは時間の無駄だ」という発想があったわけです。
リニアの計画が動き出したのは30年も40年も前のことで、当時はこれほどオンライン会議が普及するとは誰も想像していませんでした。つまり「1分でも早く大阪や名古屋へ行って対面でミーティングをする」という昭和のビジネスニーズを前提に設計されており、現在のマーケットと完全にズレてしまっています。
ましてや仮に2030年代後半に開業するとすれば、今から10年以上も先ですからビジネスはさらにオンラインで完結するようになっているはず。時代の変化に取り残され「リニアを作ること」だけが目的化して残ってしまったと言えます。
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