ではリニアに何の価値もないのかといえば、これから日本が食べていくための重要な成長産業である「インバウンド(外国人観光客)」の目玉としては、かなり使えると思っています。
中国の上海にもリニアモーターカーが走っていますが、実際に乗っているのは観光客ばかりで、実態は「話のタネに乗るだけ」のアトラクションです。日本のリニアもこれと同じ運命を辿るでしょう。ただ、今の中国は怖くて旅行に行けないという外国人も多いですから、「日本に行けば時速500キロの超電導リニアに乗れる」というのは、東京や大阪を訪れるインバウンドを集客する強力な観光ツールにはなります。
そもそも「国内に新たな経済圏ができる」という予測自体が、日本の人口動態を無視しています。多くの経済学者が指摘している通り、人口が減少していく日本でこれ以上の国内経済成長は見込めません。リニアが開業する2030年代後半から2040年代にかけては、高齢者の数がピークに達し、働く世代の人口が極限まで減ってしまいます。
実際、TSMCの熊本進出では、高い賃金水準が注目される一方、周辺の製造業では人材獲得競争が激化し、熊本県自身も県内企業の人手不足が顕著になっているとしています。もはやお金の問題ではなく、地方には「働く人」そのものがいないのです。
まとめると、リニアが開業したところで国内の経済圏が大きく変わるようなことはなく、莫大な投資額ほどにはペイしない、単なる「外国人向けの観光名所のひとつ」に落ち着くというのがわたしの結論です。
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