【1-6.セルビア-「反ロシア」ではなく「反腐敗」】
同じ25日、旧ユーゴスラビアのセルビアでは、前倒しの議会選挙が行われました。2012年から政権を担ってきたセルビア進歩党を率いるブチッチ前大統領が敗北を認め、学生が主導する抗議運動の流れをくむ「学生リスト」が勝利しました。
セルビア政府の発表によれば、共和国選挙管理委員会が26日に示した暫定の結果では、定数250の議会で学生リストが52.71%の票を得て140議席、ブチッチ氏の「統一セルビア」は39.17%で104議席でした。
投票した人は約430万人で、投票率は69%前後と報じられていますが、ロイター通信は約70%で、ユーゴスラビアの解体以来最も高い水準だと伝えており、確定の数字は選挙管理委員会の最終の発表を待つ必要があります。
ブチッチ氏は9月27日に大統領を辞め、首相の候補としてこの選挙に臨んでいました。2012年から続いた与党の支配は終わる見通しですが、新しい政権の発足は、議会の招集と組閣の手続きを経て決まります。
抗議運動のきっかけは、2024年に北部ノヴィ・サドの駅で屋根のひさしが崩れ落ち、16人が亡くなった事故でした。人々の怒りは、事故の背後にあると見られた汚職に向かいました。
ロシアのペスコフ大統領報道官は26日、ブチッチ氏の貢献を評価したうえで、新しい勢力に「ロシアとの協力がセルビアの利益になると理解するよう期待する」と述べました。産経新聞は、ロシアが4月のハンガリーのオルバン前首相の敗北に続き、欧州での重要な協力相手をまた一人失ったと伝えています。
ロイター通信によれば、学生リストは選挙戦の中で、欧米が主導する対ロシアの制裁には加わらないと表明していました。ブチッチ氏は、自らが敗れれば新政権がロシアへの制裁に踏み切ると主張し、敗北の後も、来年3月か4月には制裁が科されるだろうと述べていますが、学生リストの幹部は、制裁は科さないという立場を改めて示しています。
少なくとも選挙戦で前面に出たのは、ロシアへの姿勢ではなく、汚職と統治への怒りでした。それでもロシアにとって痛手であることに変わりはありません。指導者個人とのつながりに頼った影響力は、民意の変化によって一夜にして失われ得るということが、ハンガリーに続いてもう一度示されたからです。
この記事の著者・島田久仁彦さんの新創刊メルマガ








