日本企業の悪癖。私腹を肥やし社員を不幸にするダメ経営者を見抜く方法

shutterstock_1073550638
 

企業の生き残りには徹底した効率化が求められますが、まだまだ日本には、無駄を排除できない上層部に経営権を握られたままの企業も多いようです。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』の著者で「Windows 95を設計した日本人」として知られ、最近では新世代プレゼンツール『mmhmm(ンーフー)』の開発にも参加している世界的エンジニアの中島聡さんが、「株主利益を最大化すること」を拒むかのような日本の経営陣を強く批判するとともに、自社がきちんと経営されているか否かを知る方法を紹介しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

私の目に止まった記事

日本企業で出世する人たち、じつは「超低学歴」ばかりになっていた…!

日本企業の問題点をとても分かりやすく伝えている文章なので、是非とも読んでいただきたいと思います。特に重要なのは、「現場迎合主義」の部分です。

たとえばある業界で破壊的イノベーションがやってくるとします。テレビを作っていればこれまで儲かっていたエレクトロニクス産業で、もはや新興国企業が台頭してきてテレビを組み立てていても儲からなくなるというようなケースです。その時に、テレビの製造現場の人たちに「テレビの組み立てを止めようか」と聞いたら、誰も「そうですね、止めましょう」とは言いませんよね。紙の新聞が売れないからと言って、「紙の新聞を止めるか」と言っても、紙の新聞を作っている人は誰も止めようとは言わないでしょう。こういう現場の声を重視する経営者は、現場主義とは言いません、単なる現場迎合主義です。

典型的な例が、ソニーのパソコンビジネスです。ソニーにとってパソコン事業に意味がなくなっていることは、外から見れば2000年ごろから明らかでしたが、パソコンのことが分かっている人はパソコン部門にしかいないため、彼らが自ら「パソコン事業からは撤退しましょう」とは言わず、ずるずると結論を引き伸ばすことになってしまったのです。

この問題を解決するためには、トップに「株主利益を最大化すること」を真剣に考える経営者を置く必要がありますが、日本の大企業のほとんどは、経営陣=取締役会であるため、そうはならないのです。

コーポレートガバナンスが効かないため、経営陣が最優先するのはどうしても「自分たちの立場を守ること」になってしまうのです。無駄の象徴である「お抱え運転手」や「天下り」がいつまでも無くならないのはそれが理由です。

私は仕事で日本の大企業と付き合って来ましたが、自分たちの天下り先を用意するために子会社を作ったり子会社に仕事を回したりするような、私が株主だったら許せないような例を何度も見て来ています。

自分が働いている会社がちゃんと経営されているかどうか知る一番良い方法は、引退した役員の行き先を見ることです。そのほとんどが子会社や関連会社に天下りしているのだとすれば、それはコーポレートガバナンスが効いていない(つまり、経営陣が「会社を食い物にしている」)ことを意味します。

【関連】2021年は「AIに仕事を奪われる」最初の年になる。人間超え人工知能の実力と10年後の未来を世界的エンジニアが大胆予測

私がこんなことを言うと、「日本の会社では、引退した人の行き先の面倒を見るのが常識」という言葉が返って来ますが、その常識そものもが時代おくれであり、コーポレートガバナンスの欠如の象徴なのです。

中島聡さんのメルマガご登録、詳細はコチラ

print
いま読まれてます

  • 日本企業の悪癖。私腹を肥やし社員を不幸にするダメ経営者を見抜く方法
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け