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「自作自演だ」いじめ被害の小4女子に校長と教頭が吐いた暴言

これまでもいじめを巡る学校側や教育委員会の信じがたい対応を糾弾し続けてきた、メルマガ『伝説の探偵』の著者で現役探偵の阿部泰尚(あべ・ひろたか)さん。今回は数年に渡りいじめの解決を訴え続けてきた被害児童とその家族に対し、大阪府堺市立小学校サイドが取った差別的な言動や同市教育委員会の無能ぶりを白日の下に晒すとともに、被害者家族が面談を求めている堺市市長から何の返事もないという事実を記しています。

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大阪堺市いじめ被害者の手紙

これは、つらい気持ちを抱えきれなくなった小学生の被害女児が、必死にその時の気持ちを紙に書いたものである。

とても教育者とは思えぬ、校長や教頭の放った信じ難い言葉

小学1年生の頃から重大事態いじめとして問題となった4年生までの間、受け続けてきたいじめや不適切な対応によって、被害女児(当時小学4年生)が自殺念慮の高い状態まで追い込まれていった。

いじめ自体は、無視や暴言、仲間外れの他、持ち物がごみ箱から見つかるなどが連続的かつ長期的に起きていたことが記録や調査によって確認することができた。

特にピックアップすべき点は、ハンカチがごみ箱に捨てられていた件や交換日記の被害女児の名前を黒で塗りつぶし、その後無視をするなどしたもので、さらに、その後、被害女児の靴に石や枝などを入れたというものだ。

交換日記については誰がやったかはすぐにわかり、指導が入るが、この指導を受けた児童が他の加害児童と共に靴へのいたずらをした。しかし、学校は犯人が名乗り出るスタイルでの指導及び調査をしたことで、なかなか誰がやったかがわからなかった。

こうしたいじめの被害事実の中、学校の対応はあり得ないものであった。

被害保護者によれば、学校長や教頭の言葉の暴力は下記のようなものだった。

犯人が出てこないが、「自作自演だ」「あなたの子どもは嘘つきだ」「あなたの娘も容疑者の1人だ」

このあり得ない対応には差別的な意識が大きく作用しているように感じた。

被害女児は、自閉症スペクトラム障害及びADHDの診断を受けており、被害保護者は支援学級での学習を望んだが、学校は全面的な支援より学習面のみの遅れや他の児童とのトラブルでの対応のみに近い対応がされており、支援学級へいくのも大変な状況であった。

特に教員から「発達障害なんて、がんばればなんとかなるんだ」「そんなのタダの甘えです(親が甘やかしているだけだ)」と言われ、支援学級に行くことを拒まれたということがあったという。

記録によれば、こうした対応について医師が学校長とクラス担任を呼んで、発達障害についての説明をしたそうだが、その医師は、あの人らに子どもがつぶされてしまいますと匙を投げるほどであったそうだ。

つまり、教育の実務家であり管理者とも言える立場の人間が、現行の学校社会でおよそ1割程度いる発達障害についての知識や対応を備えず、むしろ差別的にみており、不都合な事実としてのいじめ問題には対応すらしようとしなかったのである。

こういう学校だから、いじめについての市教育委員会への報告は事実に沿った報告ではなかった。

被害女児が加害児童から暴言を吐かれ、「やめて!」と抵抗すれば、言い返したから「喧嘩」であり、「いざこざ」だ。被害女児が加害児童から暴力を受けて、痛さから抵抗すれば、被害女児も手で払ったから「喧嘩」であり、「いざこざ」だ。というように創作して事実を捻じ曲げたのである。

いじめの相談に行っても追い返される

当の堺市教育委員会は、被害側をモンスターペアレントであり、被害女児は発達障害で何が起きているのかも説明ができないのだと差別して考え、まともな対応をしなかった。

被害女児が小学3年生の頃、学校の対応にたまりかね、被害女児が「死」という言葉を口にしたことで、被害保護者は教育委員会にアポを取って相談に行ったことがある。

被害保護者は学校の対応があまりに酷く、子どもが「死にたい」というほど追い詰められてしまっている状況を教育委員会の指導主事に必死で訴えたのだ。

アポイントメントの時間は18時30分であったから、どんどん時間は過ぎて行ってしまい、答えのないままの状態であったそうだ。

多く教育委員会というものは、いじめの対応や相談窓口を持っているものだが、実効的な対応をする教育委員会は指で数えられる程度だ。そもそも彼らは学校運営のサポートが主務業務であって、その指導力は極めて弱いと評価せざるを得ない。

この時も話は平行線であり、いじめの対応を真摯にするという姿勢ではなかったという。21時ごろ、新たに指導主事らがやってきて、「帰れ」と強要されたことで、ひと悶着が起きた。

何とか助けてほしいと懇願する被害保護者と被害女児らに対し、指導主事らは激高し、「帰らないと警察を呼ぶぞ!」と怒鳴ったのだ。これを見た被害女児とその兄弟は、「やめて」といって大泣きした。

この件以来、被害女児は教育委員会に恐怖を感じるようになってしまったのだ。

加害児童の父親による事件

被害女児は加害者らに恐怖を感じるようになり、物理的に自ら距離を保つようになる。当然、同じ教室には入れないという事態がたびたび起きるようになるわけだ。

こうした事態を学校長は加害児童の父親に校長室で話をした。 この父親は、「じゃあ、うちの子は教室で授業を受けるな、ということか」と解釈し、激怒した。

被害女児の一家は、そんなことが起きているとは知らずに、自宅にいた。被害保護者(母)が出かけようと自転車を出そうとしたところで、「○○(被害家族の名前)」と声をかけられた。驚いて振り向くと、そこには加害児童の父親が立っていた。

家の敷地に勝手に入り込み、出てくるのを待ち伏せていたのだった。

「なんじゃこら、キチガイ女、いてまうぞ!!」

加害児童の父親はそう叫んだ。

被害女児の母は、声にならないほどの恐怖を感じながらも身の危険を強く感じ、すぐに玄関の方へ逃げて、「警察呼びますよ!」と応戦したが、加害児童の父親はろれつが回らないほど酒を飲んでおり、冷静な判断ができないと思えたため、自宅に逃げ帰り通報したのだ。

駆け付けた警察官が到着したのは通報から間もなかったが、加害児童の父親はその場から立ち去っており、帰宅していたそうだ。警察官が被害女児の母に話した内容からすると、加害児童の父親は、敷地に立ち入ったことは認めたが、暴言は否定したそうだ。ただ、ものすごく酒臭く、ろれつも回らずベロベロの泥酔状態であったそうだ。

結果この件は、脅迫罪で被害届を出すという事態になったが、この一件で、被害女児ら子どもたちも強く身の危険を感じ、この家にいればいつか殺されてしまうと思ったのだ。

この件をきっかけに、被害一家は引っ越しを決め、転校を余儀なくされたのだ。

加害児童の父親はいじめについての話し合いに行ったということなのだが、そもそも酒を飲んで呼び鈴も鳴らさずに、アポイントメントも取らず、突如として訪問し、出てきたところで声をかけるなどあり得るであろうか。

また、いじめのようなセンシティブな話をするのに、酒を飲んでいくというのは、問題の予見的見地からも常軌を逸しているとしか言いようはないであろう。

また、この加害児童の父親は、いじめ問題当時も「謝ってやるから、訪問してこい」という対応をしており、極めて非常識な対応をしているのである。

編註:今日の人権意識に照らして不適切と思われる表現がありますが、取り扱っているテーマや文脈から差別意図はないものと判断し原文を尊重しました)

いじめられたと騒ぐなと外圧をかけられる

この件においては、いじめの対応もその環境もデタラメばかりであった。

被害保護者はいじめの対応をしてくれと学校や加害保護者らと話すたびに、騒ぐなと対応されている。被害保護者によれば、

「PTA会長と学級代表の保護者に学校に呼び出されたり、LINEで『いじめられたと騒がれるのが迷惑 他の生徒の事も考えて欲しい。 不登校なんだから転校したら?』と言われ、とても辛かった」

と話してくれた。

また、加害児童らがいて教室に入れないことを被害女児が教員に訴えると、教員はこともあろうに、それは被害者のわがままにすぎないと断じて3択を迫った。ちょうど給食時間であったので

「我慢して教室に入るか」
「職員室にいくか」
「一人で別教室で給食」

結果、被害女児は一人で別教室で給食を泣きながら食べたのだ。しかし、この対応について被害保護者が説明を求めると、くだんの教員はこう説明したのだ。

「いえいえ、違いますよ。何かあってはまずいので、男性の空いている教員が一人、教室には一緒にいましたから」

もはや、言葉にもならないだろう。問題の本質に大きなズレを感じる残念な対応である。

冒頭の手紙には「先生をあまりさいしょからしんらいせず」というところがあるが、このようないじめ対応をしていれば、どこをどう信頼すればよいのかわからなくなってしまうのは当然のことであろう。

学校では誰も助けてはくれない、無視をされ、仲間外れをされ、教員すら守ってくれず、何かを言えば、自作自演、あなたは嘘つきだと言われる。

教育委員会に助けを求めても、激高され怒鳴られ、家には加害者の親が酔っ払って怒鳴り込みに来る。もう限界であったのだろう。

この件に詳しい第三者や専門家は全てにおいて「不足」があったのだと説明してくれた。不足とは、「対応の不十分」「理解不足」「知識不足」ということであった。

学校の対応や教育委員会の対応に問題があったことが重く受け止められているという印象であり、すでに起きてしまい、積み重なった収まらないいじめや差別、学校や教育委員会の誤った対応が、被害女児を追い詰めていったことは、すでに取り返しのつかない状態を招いてしまっており、取り返しのつかい状況となっている。

被害側の要望

被害保護者が要望したことの中に、「堺市市長への面談」がある。被害児童がある意味元気に過ごせるようにするにはどうすればよいか、今後のいじめの対応はどうするのか、市行政のトップが問題から逃げることなく、将来の展望をしっかり示すことが望まれるだろう。

未だに返事はないと被害保護者は言っていたが…、誰もが無責任にいじめ問題から逃げるのではなく、そこには多くの子どもたちの人生がかかっていることを理解し、責任ある立場であればあるほど、向き合ってもらいたいと思う。

編集後記

新型コロナ感染症の問題は深刻ですね。テレビでは国民全体からすればごくわずかなことだと示すようなものもありますが、感染症自体に恐ろしいと思うのは当然のことだし、事実としてコロナによって命が奪われている現在、コロナ対策に行政が全力を向けるのは当然のことだと思います。

しかし、一方で関連する問題として、経済的な問題や将来が見えない不安など、強いストレスや事実上の生活苦が存在し、それによって自ら命を絶ってしまう悲しい問題が起きています。これはもはや、政府を含め行政や環境による人災であると言わざるを得ません。

こと、いじめに関し、いじめの末その行為で命を奪われる自死問題もありますが、学校や教師、教育委員会や地域社会の対応によって、いわゆる二次被害を受け、その末に命にかかわる問題が発生することがあります。冒頭の新型コロナ感染症問題とあわせてみれば、これも二次被害としての人災といえるのだと思うのです(そもそもいじめは人が行うので、ある種の人災ともいえますが…)。

二次被害による問題は、いわゆる対応の問題が最も多く、その根底には知識不足や想像力欠如などが挙げられます。ですから、いくらでも防ぎようはある問題であるのです。

しかし、どの地域もいつまで経っても、本気で対応しようともしないから、その数は日に日に増え、減少傾向となることもないままに被害者ばかりが増え続けていくのです。

そろそろ本気でやりませんか?今まで私はそう問いかけてきましたが、それも疲れました。いっそ、できないなら、しがみ付いていないで、できる人や組織に依頼したらどうですか?と思います。無能対応のせいで、被害者が増えるのは組織的な問題であり、ある種の公害のようなものです。

少々熱くなってしまいましたが、今日はこの辺で。

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image by: 伝説の探偵

阿部泰尚この著者の記事一覧

社会問題を探偵調査を活用して実態解明し、解決する活動を毎月報告。社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータも公開する。2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
まぐまぐよりメルマガ(有料)を発行するにあたり、その1部を本誌でレポートする社会貢献活動に利用する社会貢献型メルマガ。

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