危険性も隠蔽か?菅政権下でコロナワクチン接種という大きな不安

 

政府を信じてとにかく接種を、というのでは誰でも二の足を踏む。なにせ、世に出たばかりのワクチンである。自分に副反応が起こるかどうかは打ってみなければわからない。過去にワクチンでアレルギー症状を起こした経験がないからといって、今度もそうとは限らない。

国としては、社会全体を守るための「集団免疫」獲得にワクチン接種が必要で、どんなワクチンでも多少の犠牲者が出るのは仕方がないということになるのだろう。だが、それとて思い通りにコトが運ぶ保証はない。

国民の60~70%が、感染したり、ワクチンを接種することで獲得できるとされるのが「集団免疫」だが、ワクチンで得た抗体がいつまでもつかは今のところ定かでなく、あくまで長期にわたる検証が必要なのだ。

国民が抱く不安を、詳細で明確な情報公開によって払しょくすることなくして、ワクチン接種が菅政権の思い通りスムーズに進むとは思えない。「実験台にされたくない」「しばらくは様子見だ」などと尻込みする人もいるだろう。

実際、すでにスタートしている欧米諸国のワクチン接種も、フランスなど一部の国で、もたつきを見せている。トランプ前大統領が政権浮揚の切り札としてワクチンの早期開発を促していた米国では、医療従事者の約25%がワクチン接種を拒んでいるといった報道もあり、1月7日までに1回目の接種を受けたのは600万人ていどだった。

だが、ここへきてようやくスピードアップしてきたようで、米疾病対策センター(CDC)によると、1月22日までには、約4,000万回分のワクチンが全米に配布され、約1,910万人が接種を受けたという。

スピードアップの背景には、米政府が、ワクチンに関する情報公開を徹底したことがある。ワクチンの緊急使用許可を決めるFDAの審議の様子や、臨床試験の最終報告などを、誰でも見られるよう、なんとYouTubeで公開したのである。

こんな芸当が、菅首相にできれば国民は苦労しない。なにしろ、情報公開どころか情報隠蔽ばかりしているのだ。

さりとて、菅首相が一大国家プロジェクトといわれるワクチン接種の成功に政治生命をかけざるを得ない状況であるのも確かだ。逆に、しくじれば、それこそ自民党内から菅降ろしの嵐に見舞われる。

そこで、菅首相は、得意の人事カードを切った。河野太郎規制改革担当相を、ワクチン接種の担当大臣に任命したのがそれだ。

ワクチンの接種に向けた調整は、総務省や厚労省のほかにも、保管する冷凍庫の確保は経産省、輸送は国交省と、複数の省庁にまたがるため、全体を統括して調整し動かす大臣が必要であるとの理由で今回、規制改革・行政改革担当である河野大臣の起用になったという。
(FNNプライムオンライン)

これで一気に、ワクチン接種に世間の関心が集まった。人材不足が深刻な自民党にあって、数少ないスター選手を勝負どころで使ったというところだろうか。

河野氏は、ブログやツイッターでこまめに発信し、ときおり正論めいた思い切りのいい発言ができるものの、結局は日和見の方向に落ち着くか、単なるスタンドプレーに終わりがちだ。

ワクチンについても、平井卓也デジタル担当大臣の唐突な提案に乗って、関係者をざわつかせた。

河野氏は25日、マイナンバーを用いて個人の接種記録をリアルタイムで管理できるシステムづくりを国の費用で進める考えを示した。…混乱の始まりは19日。平井卓也デジタル改革相が記者会見で、マイナンバーの活用を唐突にぶち上げた…その日のうちに、ワクチン担当になったばかりの河野氏と新システムの検討を確認した。
(1月27日朝日新聞朝刊)

すでに自治体へのワクチン流通管理システムに取り組んでいた厚労省の担当部課が驚いたのは言うまでもない。

マイナンバーカードを普及させるのにいいチャンスだと平井大臣は気持ちをはやらせたのだろうが、1ヶ月後には接種が始まるというこの時期、新システム導入はどう考えてもムリがある。

さすがに河野氏も、26日の衆院予算委員会では「ワクチン接種そのものにマイナンバーカードもマイナンバーも必要ない」と、トーンダウンし、ひとまず騒ぎはおさまった。

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