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The winning team in the supermarket holds out the thumbs up, laughing

儲け方は現場に聞け。精肉店が男子高校生バカウケの新商品を作った方法

起業として少しでも利益を多く生むために、設備投資や金融投資は欠かせません。しかし、そうしたことばかりに目が向かい、大切なことを見失いがちだといいます。今回の無料メルマガ『販促アイデアと経営活性化』では著者で販促専門家として活躍中の前沢しんじさんが、ご自身のクライアント企業の例を出してその方法を紹介。「お金のかからない利益作り」のカギは“内部”にあるようです。

100万の札束

たとえ話としてよく書くのですが、ここに100万の札束がある。それが消えた!えらいこっちゃ!家中探しますよね。従業員や、あるいは家族に「100万が消えたぞ!」「さがせ!」と大騒ぎになる。でも、目に見えない「本来ならあるべき利益」がなくなってもだれも騒がない。見えてないからです。

「本来ならあるべき利益」。これ、けた違いに多いですよ。100万どころの騒ぎじゃない。じゃあ、「本来ならあるべき利益」ってたとえばどんな?

一例をあげましょう。私は30年あまり、牧場直売の精肉チェーン店の販促と組織活性化を担当してきました。従業員は70人ほど。営業部長と毎週オープンな話し会をしていてそこにはだれでも参加できる。

あるときパートさんが

「うちの息子、野球やってるけどものすごく肉が好きなの。でもねえ、予算があるし」

営業部長

「よし、考えてみるわ」

後日、部長が提案してきた。「パンチ焼肉」というネーミングの脂多めの手切り焼肉。バラ肉を脂多めにカットしてまさにパンチのある焼肉。それを100g248円で売ると。試食した。ああ、こりゃ、高校生よろこぶわ。ジュージューうまい。そして大ヒット。高校生に口コミで広がり大人気商品になった。

もともとバラ肉は部位的にたくさん取れて、部位ではいちばん安いところだ。そこにふだんよりすこしだけ多めに脂をつけてカットする。荒利も確保できる。枝肉がまんべんなく捌けるので効率もいい。なによりお客さんがよろこぶ。名物商品になった。

本来なら、「こんな商品がほしい」という声を吸い上げる仕組みがあって、それを検討して商品化する仕組みがあるべきなのです。それがないばかりに利益を生む商品を創りだせない。こういう「ロス」がものすごく大きいのです。

だから「ロス退治」の、全従業員運動では、「たとえばこんなロスはないか?」と聞きだす、考えさせることも大事になります。

こんな例は腐るほどある。すべて従業員から出たアイデア。それを形にしただけ。本来儲けの源泉は内部にある。みんなの頭の中にあるのです。

「こんなことしたらお客さんよろこぶんちゃう?」
「こんな商品があったらなあ」
「こうしたらもっと早くできるのに」
「お客さんこんなこと言ってたなあ」
「こうしたらもっと安くできるんじゃない?

…などなど。

ロス退治というのは、名前はロス退治だが、その本質は、

・本来売れるべきもの
・本来儲かるべきこと

を従業員に考えさせる仕組みのこと。だから、ロス退治とは

・本来なら儲かるべきだった利益を失う=ロス

を撲滅すること。みんなで考えて実行するだけだから現状ですぐできてお金がかからない。

こんな利益創りの方法、たぶんない。

設備投資にしても金融投資にしても新たな仕入れにしても利益を生むためには費用がかかる。

費用のかからない利益創りなんて…ウソみたいな、ほんとうの話。

image by: Shuttestock.com

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30年以上の販促・営業企画の経験から「こうして売上げを伸ばした!100のアイデア」というテーマで、実際に行った実例を具体的に紹介します。販促以外にも経営活性化に役立つアイデアがたくさん。前沢しんじの販促ビジネス本はアマゾンや大手書店でランクイン。雑誌「月刊商業界」にも販促特集などを執筆しています。

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【著者】 前沢しんじ 【発行周期】 ほぼ 週刊

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