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妻の不倫相手が逆ギレ&慰謝料の値引き要求。それでも夫が間男を許した裏事情

不倫や浮気は夫がするもの、と相場が決まっていたのは昔の話。今では不倫も男女差のない時代に突入したようです。無料メルマガ『10年後に後悔しない最強の離婚交渉術』の発行者で、開業から6年で相談7,000件の実績を誇る行政書士の露木幸彦さんは、あるキッカケで妻の不倫に気づいた夫が、いかにして相手の男から妻とおカネを奪い返したか、そのドロ沼劇の一部始終を紹介しています。

「寝取られ不倫」を成敗! 間男に白状させ、慰謝料を払わせて愛妻を取り戻すまで

独身でもないのに恋愛に夢中になり、こつこつ貯めた貯金にまで手を出して、せっかく築いた家庭を壊そうとする……。この手の悪行を仕出かすのは昭和の時代まで遡ると、それは夫(男性)の仕業というケースが多かったのではないかと思います。

しかし、2021年は平成を通り越し、令和の時代。女性の社会進出が進み、男性と同等かそれ以上の賃金を得ている女性も増えつつあります。筆者は夫婦の悩み相談にのっていますが、いま相談の現場では昭和時代に比べて「男女逆転」の現象が起こっているのです。例えば、夫が家事や育児を担当しているのをいいことに、外で別の男と遊ぶ。そんな妻(女性)が増えてきた印象です。

そんな今時の「不倫様式」に悩まされているのは今回の相談者、木下誠也さん(仮名、36歳)。誠也さんは妻(35歳)、そして娘(9歳)と暮らしており、一見すると絵に描いたような幸せな家庭そのもの。しかし、実際には家庭崩壊の危機に直面していたのです。一体、何があったのでしょうか?

もともと、かんしゃく持ちの妻。些細なことで怒りだし、夫に「馬鹿」「ボケ」「死ね」と暴言を浴びせることも。しかし、最近はいつも機嫌が良く、笑顔が絶えず、家庭内は平和を保っていたのです。誠也さんは逆に「何かおかしい」と勘付いたようで……。

きっかけは妻のスマホでした。ホーム画面にLINEのメッセージや電話の着信があったことが通知されるのですが、誠也さんが目にするとき、送信主はいつも「ドコモショップ」。先週も今週も同じことが続いたのですが、妻がスマホを紛失したり、プランを変更したり、機種を変更したりしたことはありません。誠也さんは「なぜだろう?」と首をかしげるばかりでした。しかし、妻は「何もないよ」の一点張り。着信履歴を確認すると20時~21時の時間帯に着信が残っており、電話番号は市外局番ではなく「090」から始まる携帯番号なのです。

おかしな出来事はそれだけではありません。娘さんのスマホにおかしな写真が届いたのです。それは妻と見知らぬ男性とのツーショットでした。妻は娘さんに機種変更した後の古い機種を渡していました。オンラインストレージ(iCloud、Yahoo!ボックス、Dropboxなど)に写真を同期しているのですが、妻のアカウントが娘さんのスマホと紐付けられた様子。つまり、娘さんの写真フォルダに表示されたのは妻が保存した写真です。ショックを受けた娘さんが、誠也さんに泣きついてきたことで不倫が発覚しました。

さらに妻はパソコンにスマートフォンのバックアップ(電話帳や写真などのデータ、アプリ、そしてSMSメールの送受信やLINEのトーク、そしてFacebookのメッセージなど)を取っていました。パソコンは家族の共有物なので、バックアップの中身は見放題の状態。そこには、男が妻に送ったLINEのメッセージ「愛している」「早く一緒になりたいね」「世界で一番大事な人」など、甘い言葉のオンパレートが残っていたのです。

誠也さんはついに我慢の限界に達し、「ドコモショップ」からの着信に対し、妻のスマホを取り上げ、「どちら様ですか?」と相手先に尋ねたのです。本当に電話の主がドコモショップなら、「ドコモです」と答えるでしょう。しかし、相手先は最初に「チッ」と舌打ちをするだけで、その後は無言のままでした。誠也さんは電話を切ると、妻に対して「これは誰なんだ!」と詰問。妻いわく相手はドコモショップではなく、同じ会社に勤める同い年の男性だというのです。所属は別の部署ですが、合同の飲み会で知り合い、意気投合したようです。

もし不倫相手の素性に全く見当がつかない場合、「元彼」「職場の上司」「旧友」などに目星をつけることが大事です。なぜなら、彼らは相談相手から不倫相手へと発展することが多いからです。

妻は「しつこく誘われて断れなかったの」と懺悔しますが、数回にわたりカラダの関係を持ったことを白状したのです。 

緊急事態宣言中で直接会えない日は、テレビ電話のアプリ(LINE,FaceTime,Skypeなど)で愛を育んでいました。そして、ご丁寧にもその一部始終をパソコンやスマートフォンに動画形式で保存していたのです。妻側の背景をチェックしたところ、撮影場所は夫婦の寝室。誠也さんが帰宅するまでの間、妻は男との会話を楽しんでいたのです。ネット上に残された不倫の足跡はいつ消されるか分かりません。誠也さんは妻の裏切りを目の当たりにしてショックでしたが、それらの画面を即、写真に撮っておいたのは大きな収穫でした。

とはいえ、不倫は連帯責任です。相手の男を直接やっつけないと気が済まない。そう思い立った誠也さんは妻に協力を依頼。デートの口実で男を喫茶店に呼び出し、そこで尻尾を捕まえる作戦をとることに。

そして、男の待つ喫茶店に現れたのは妻ではなく、夫の誠也さんでした。男は「ヤバい」と気付くも逃げきれず、誠也さんは直談判に持ち込むことに成功したのです。「しかるべき責任をとるのが筋なんじゃないか? あんたのせいでうちの家庭はめちゃくちゃだよ!100万円くらい(の慰謝料)は払えるだろ?」と切り出したのですが、男は「それなら証拠を出せよ、証拠を!」と反論。

誠也さんはLINEのメッセージ、電話の着信履歴、そしてツーショットの写真などを用意したのですが、いかんせん肉体関係の証明にはなりません。しかし、今回の場合、妻は肉体関係を認めています。双方ではなく片方(妻)の証言があれば十分です。証拠が不十分でも、十分な証言があれば事足ります。

そこで誠也さんは「妻はすべてを白状しているんだ!」と切り出したのですが、男はさらに抵抗。「彼女に家庭があるなんて知らなかった」と言い逃れをしたのです。しかし妻は男に対して家庭の愚痴や不満、悪口をこぼしているはず。誠也さんは「全く何も言っていなかったのか」と追及。さらに「同じ会社なのに結婚しているかどうか分からないなんておかしいだろう。(妻の)スマホの待ち受けは家族の集合写真だし、指輪もつけているだろ?」と畳みかけたところ、男の言い訳が嘘だということが明らかになったのです。 

すると男は、妻に不倫の責任を押し付けようと画策。「彼女だって自分の夫子がいるのに積極的に付いてきたんだから、慰謝料の一部を彼女に請求したらどうなんだ!」と逆ギレしたのです。婚姻期間中に起こったトラブルについては、慰謝料をその都度、清算するのではなく、「離婚時にまとめて清算する」のが原則です。今回の場合、誠也さん夫婦は離婚しません。そこで誠也さんは「妻は今のタイミングで慰謝料を支払う必要がない」とやり込んだのです。

いいかげん男は慰謝料を払わないと解放されないと悟ったようですが、この期に及んで「今、手持ちがないんだ」と釈明。「80万なら何とか」と値引き交渉に切り替えたのです。誠也さんの希望額は100万円。例えば一括ではなく、残りの20万円を次回のボーナス月に支払うという分割の条件なら100万円に達します。

しかし、残りの20万円を回収するまで気が休まりません。本当に振り込まれるのか、振り込まれなかったらどうするのか。数ヵ月先なら男は携帯の番号、LINEのID、メールアドレスを変更し、連絡をとれなくする可能性もあります。しかし、今回の目的は夫婦関係の修復です。いつまでも男の存在がちらつくようでは悪夢を忘れることはできません。そのため、誠也さんは減額に応じ、80万円だけを受け取って男を許したのです。 

最後に筆者は「きちんと水に流すことが大事ですよ」と誠也さんに言い添えました。悪いのは妻ですが、努力しなければならないのは妻だけではありません。誠也さんも「忘れる努力」をする必要があります。結婚生活を続ける上で、今後も意見が合わず、喧嘩になる場面があるでしょう。そこで誠也さんがもしも「不倫した分際で何だ!」と一蹴すれば、妻は絶望し、コミュニケーションをとるのをやめ、家庭内別居の状態に陥ります。実際のところ、不倫発覚から数年後に性格の不一致で離婚することも多いのです。誠也さんがいつまでも根に持たず、きちんと妻を許し、前向きに進んでいくことを期待します。

image by:Shutterstock.com

露木幸彦この著者の記事一覧

行政書士の露木幸彦が夫婦の離婚、不倫、未婚出産、婚活の法律、交渉術、会話技術を解説明石家さんまさん司会のホンマでっかTV,ブラマヨさん司会の世界のこわ~い女たち、小倉さん司会のとくダネ、バナナマン設楽さん司会のノンストップなどに登場。11冊の著書を持ち累計部数は
5万部を突破。日本経済新聞、朝日新聞電子版では連載を担当。開業から16年で相談2万件の実績。

注)離婚手続に関する一般的説明や経済的観点から必要な離婚条件に算定を超え、個別事情を踏まえた離婚手続や離婚条件に関する法的観点からの助言が必要な場合は弁護士に依頼してください。

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【著者】 露木幸彦 【発行周期】 ほぼ 月刊

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